【日経バイオテクONLINE Vol.2665】

癌検診の安、近、短

(2017.04.19 08:00)
小崎丈太郎

 たった15分、1000円でできる検診を先日、受けてきました。
 検査を行うクリニックのホームページから希望の日時を予約して、その時間に行きます。IDの確認と問診票の簡単な質問に答えてチェックした後にすぐ採血です。採血が終わって10分後には精算を済ませて、クリニックを後にすることができました。結果は1週間以内にスマホかパソコンで閲覧することができます。つまり結果を聞くためだけにクリニックを再訪しなくてよいわけです。忙しい人にお薦めのシステムです。

 今回の検査には腫瘍マーカーは含まれていませんが、国立がん研究センターを中心に進展している「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」事業と結びつくと面白いなと思いました。なにしろこの事業は血液1滴で13種類の癌を早期発見しようというものです。1000円というわけにはいかないでしょうが、15分あれば十分有効な検診ができるはずです。

 癌の再発を早期発見するための経過観察にも有効かもしれません。わずか15分で終わる検査ならば、既存の検査よりも気軽に頻繁に利用できます。サラリーマンならば昼食で社外に出たついでに採血できればいいのです。「どのような頻度で行うことが最も有効か」を検証するためにランダム化試験もいらなくなるかもしれません。

 現時点で健康な人にとっても、癌は身近な病気です。国立がん研究センターが公表しているところでは、40歳の男性が向こう20年間に癌に罹患する確率は7%、50歳では20%、60歳では39%にもなります。女性が20年以内に癌になる確率は40歳で9%、50歳で14%、60歳で21%です。
癌を100%予防することはできませんが、早期に見つけることができれば、心身への負担も経済的な負担も、仕事や学業、家事、育児への影響も小さくすることができます。

 癌検診無用論、もしくは有害論を説く書籍も出版され続けていますが、自己防衛手段として癌から自分の人生や仕事を守る意義は少なくありません。技術も開発され、それを活用するシステムもあります。両者を融合することで、より実効性が高い癌検診が実現するのではないでしょうか。
 以前、日本人の旅行が安価に近くに短期間行くという傾向が強まったことを受けて、「安、近、短」という言葉が流行したことがありました。癌検診の安、近、短が癌医療のブレークスルーになるかもしれません。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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