【日経バイオテクONLINE Vol.2662】

臨床研究法にアカデミアはついていけるのか

(2017.04.14 08:00)
山崎大作

 日経バイオテク副編集長の山崎大作です。

 2017年4月7日、臨床研究法が成立し、製薬会社が資金提供する臨床研究について、研究を行うアカデミア側には、第三者委員会による研究計画の審査と厚生労働大臣への報告などが、製薬企業には契約締結と、資金提供の情報等の公表が義務付けられました。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/04/09/02570/

 今回の法律制定のきっかけとなる、いわゆる「ディオバン事件」が大きな問題となる直前の2012年8月号に、私は当時所属していた日経メディカルで「臨床研究の助成は寄付から契約へ移行」という記事を書いたことがあります。

 文字通り、世界的に製薬会社と研究機関との関係について透明化が求められている中で、「日本でも旧来の奨学寄付金という制度が無くなり、研究者主導の臨床研究でも契約締結が求められていくのではないか」「製薬会社を納得させられるような研究計画を立てなければ、研究費を獲得できない」と書いた記事でした。

 ただ当時、記事を出した後に、企業の方、アカデミアの方の両方から、「変わるのは難しいのではないか。製薬会社が納得して出資できるレベルの研究計画を描ける研究者は限られる」とのご意見をいただいたことを覚えています。一方で、「確かに、きちんとした臨床研究ならば、付き合いで出す額と1桁違う額が取れる可能性がある」という意見もありました。

 臨床研究法に合わせて、アカデミア側として、これまでの研究を書類上整えて、製薬企業が出資できる研究計画を描くのも可能だとは思います。ですが、それでは研究者が書かなければいけない書類が増えるだけで獲得できる資金も変わりません。臨床研究法で定められたことを、うまく「攻め」に活用する例が出てくればよいのですが。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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