【日経バイオテクONLINE Vol.2645】

製薬企業にも関係あるTrump政権の予算案

(2017.03.22 08:00)
高橋厚妃

 皆様、おはようございます。日経バイオテクの高橋厚妃です。先週2017年3月16日に、米国のTrump政権が2018年度の予算案を公表し、医療や生命科学分野の予算を減額する予定であることが分かりました。これが正式な予算となれば、アカデミアの研究者だけではなく、米国で開発を行う製薬企業などにも影響が出そうです。

Trump政権の2018年度予算案、NIHの予算は2割削減!?
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/03/20/02468/

 Donald Trump大領領は、国防予算を2017年度と比較して540億ドル増やす代わりに、その他の幾つかの領域の予算を削減しているもようです。その中の1つが医療や生命科学分野の予算で、特に、健康や福祉に関する事業を手掛ける米保健福祉省(HHS)と、医学研究拠点である米国立衛生研究所(NIH)に対する予算はそれぞれ、HHSが前年度比17.9%減の690億ドル、NIHは同22.3%減の259億ドルとする方針が示されました。毎年日本政府のバイオ関連予算案を取材していますが、生命科学の研究に関する厚生労働省や経済産業省、文部科学省の各予算の変動は数%台で収まり、10%台で増減することは滅多にありません。そう考えると、今回の米国のHHSやNIHの予算の削減はかなり大きいことが想像できると思います。米国の各報道で、関係者の落胆や不満などが報じられています。

 また、これらの他にも、今後注目していく必要があると思ったのは、米食品医薬品局(FDA)の予算です。FDAの予算の削減については、今回の予算案では具体的な数値で言及していないものの、製薬企業が負担する医薬品等の審査手数料を引き上げることを示唆しているからです。政府は、FDAが製薬企業などから得る審査手数料の合計を、2017年度と比較して10億ドル増加の20億ドルに調整する予定です。予算案には、「限られた予算の中で審査手数料はFDAと産業界で共有するべきだ」との旨が書かれており、政府がFDAの予算そのものを増額させる考えは無いようです。

 今回提出された予算案は、今後議会で審議され、変更が加えられたのちに最終案が決定されます。そのときに発表される予算案にも注目したいと思います。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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