【日経バイオテクONLINE Vol.2633】

「日本の技術も負けていないのに」と感じるもどかしさ

(2017.03.03 08:00)
山崎大作

 日経バイオテク副編集長の山崎大作です。

 先日、「IndieBio」のプログラムに参加した13社のプレゼンテーションのビデオを、全世界1500社以上に出資するベンチャーキャピタル米500 Startups社の日本法人の澤山陽平マネージングパートナーや、デジタルガレージ傘下のDG Labの谷口明依アドバイザーなどの説明を受けながら見るイベント、「BIO HACK THE FUTURE」に参加しました。

 IndieBioは米SOS Ventures社が運営するバイオテック専門の4カ月間のアクセラレータープログラムで、製薬会社やベンチャーキャピタルなどに所属するメンターからの助言のほか、25万ドルの資金と米サンフランシスコにある24時間使えるバイオセーフティーレベル2までの実験施設を自由に使う権利が与えられます。このプレゼンテーションは、プログラムに参加した企業が行う半年に1度行われるもので、今回は2017年2月10日に、200人ほどのベンチャーキャピタルやメディアからの参加者を集めて行われました。

 13社のプレゼンテーションは、DNAを用いた記録媒体あり、マイクロバイオームを用いた家畜の生産性の向上あり、胚への顕微注入を自動で行う装置あり。澤山氏によると、Indie BioのRon Shigeta CSOは「ハンマーやコンピューターと同じで、バイオは何かを解決するためのツール。何にでもバイオロジーを使える領域があるはずだ」と話していたそうで、そんな思想が現れていたとも言えそうです。

 ただ、登壇者のプレゼンテーションはおもしろかったものの、「これは日本のあの会社のあの技術で、同じようなことができる」「日本のあの会社と同じだなぁ」と感じたことが多かったのも事実。にも関わらず、登壇したベンチャーたちは、シードラウンドで200万ドルから300万ドルの調達を希望しており、既に調達に成功していると話す企業も複数ありました。

 日本でも三井不動産が音頭を取って、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)を立ちあげ、東京・日本橋近辺を中心にバイオベンチャーを活性化しようとしています。ただ、LINK-Jの中核施設とも言える日本橋ライフサイエンスビルも共用のウェットラボまでは持っていませんし、国内でバイオに投資しようという動きが目立ってきているとはいっても、シードラウンドで億単位の調達ができている会社はそうそうありません(もちろん、最初からそんな巨額な調達が必要かどうかという議論はあると思いますが)。

 国を挙げて、日本でどのようにしてベンチャーのエコシステムを作るかの議論が繰り返され、前述のLINK-Jなどの動きも出てきています。ただ、世界は日本の議論を待っていてはくれません。改めてそれを認識させられた一夜でした。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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