【日経バイオテクONLINE Vol.2618】

共同研究先を求めて、無駄な研究を行っていませんか?

(2017.02.10 08:00)
山崎大作

 日経バイオテク副編集長の山崎大作です。

 先日、旧知の某製薬大手の開発の担当者と飲んでいたときのこと。担当者が「無駄なことをしているアカデミアが多いんだよね」とこぼしていました。開発担当者が問題視していたのは、大学の研究室で学生が黙々と市販の化合物ライブラリーを用いてスクリーニングを行っていたことでした。

 大学への運営費交付金が削減される中で、大学などの研究者にとって企業との共同研究によって民間資金を得ることが年々重要になっています。そのため、その研究室では、「薬になる化合物が無いと、共同研究を行ってもらえない」と考えて、市販の化合物ライブラリーを使ってスクリーニングを行っていたということのようです。ですが、「製薬会社には独自のライブラリーもあるし、ハイスループットスクリーニングシステムもある。大学の研究室にそんな期待はしていないのに」と前出の担当者はばっさり。もちろん、大学の研究者側からすれば、共同研究を打診した製薬会社の担当者の「現在の状況では薬にならないのでちょっと…」と言う、製薬会社からの“断り文句”を正面から受けただけなのかもしれません。その開発担当者は、「そういう先生に限って、特許周りがまるでむちゃくちゃなんだよね」と続けていました。

 国を挙げて、医療分野の研究の実用化に向けた取り組みが進み、予算も付けられています。ですがもし、この担当者の愚痴が、ごく一部の研究室の話でないのだとすれば、大学に実用化につながる研究を求める前に、企業が大学に何を求めているのかに関する啓発活動が必要なのかもしれません。

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