【日経バイオテクONLINE Vol.2608】

アニマルヘルスは創薬のステップに有効か?

(2017.01.27 08:00)
橋本宗明

 皆様、おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 先日、大日本住友製薬の子会社のDSファーマアニマルヘルスを取材する機会がありました。バイオ関連の話題をフォローしていると、動物薬のことも折に触れて耳にする機会はありましたが、その全体像も含めて取材できたのは大変貴重な機会でした。大日本住友製薬はこのところ、米バイオベンチャーなどの買収やライセンシングなどの活動を活発化させていますが、DSファーマアニマルヘルスも、ベンチャーなどとの提携を積極化しています。

 DSファーマアニマルヘルスとベンチャーなどとのアライアンスの例を挙げると、例えば2015年の7月に、J-ARMというバイオベンチャーと動物用の細胞医療の共同開発契約を締結しています。

大日本住友子会社、他家の間葉系幹細胞使ったイヌに対する再生医療製品を開発へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150706/186100/

 また、2015年10月にアンジェスMG、2016年8月9日にはそーせいの子会社のJITSUBOと、動物用医薬品の共同開発契約を締結しています。

アンジェス MG株式会社、DS ファーマアニマルヘルスとの高血圧DNAワクチンの動物用医薬品(犬慢性心不全への応用)に関する共同開発契約締結のお知らせ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/pressrelease/20151006/187798/

そーせい子会社、大日本住友製薬子会社と動物の食欲増進作用薬を共同開発へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/08/09/01328/

 さらに同社は昨年12月27日に、新規事業につながる技術シーズ・ビジネスの探索を目的とする新規事業を開始したことを発表しました。

DSファーマアニマルヘルスのリリース
https://animal.ds-pharma.co.jp/pdf/20161227_ahnewprogram.pdf

 取材時にこの発表の狙いを聞いたところ、「ヒト用の医薬品シーズを手掛けている創薬ベンチャーに対して、動物用に転用しようとした場合に、まず声を掛けてもらいたいと考えた」とのことでした。詳細はあらためて日経バイオテクONLINEなどで記事にしていく予定ですが、要するに、(1)ヒト用医薬品として開発するのに比べて動物用は臨床試験の症例数が少なくて済み、開発コストも開発期間も短くて済む、(2)そこで、ヒト用の医薬品の開発を目指すバイオベンチャーが同じシーズを動物用に転用すれば、前倒しで収益を獲得できる可能性がある、(3)動物薬開発のノウハウやネットワークを持つDSファーマアニマルヘルスとしては、それを積極的にサポートすることによって、創薬ベンチャーとWin-Winの関係を築きたい──という趣旨でした。

 ちなみに国内の動物薬の市場規模は約1100億円で、ヒト用医薬品市場の100分の1程度しかありません。動物用医薬品の開発に成功しても、1製品の売上高はさほど期待はできないかもしれません。

 しかし、それでもヒト用よりも早く製品化して収益につなげる可能性があるほか、動物に対して有効性が証明できれば、ヒト用として開発を進めるための根拠の1つにできるはずです。もちろん、ヒトと動物では必ずしも同じ薬理作用が得られるわけではありませんが、動物用としての開発を、ヒト用の開発を進める上での1ステップと位置づける考え方があってもよいかと思いました。

 動物用医薬品については、日経バイオ年鑑でも詳しくまとめていますので、興味がある方はどうぞお読みください。

日経バイオ年鑑2017「動物用医薬品」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atclyb/17/121600110/

           日経バイオテク編集長 橋本宗明
 

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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