【日経バイオテクONLINE Vol.2606】

画像診断にもプレシジョン・メディシンがやってきた

(2017.01.25 08:00)
小崎丈太郎

末梢血中の遺伝子や細胞を採取し、診断する生検技術はリキッドバイオプシーとして注目されています。癌細胞は激しく変化し続けることが明らかになり、プレシジョン・メディシンを実現するためには、癌患者さんから頻回に生検を行う必要があります。リキッドバイオプシーは、癌の生物学的な特性にマッチした検査ということができます。日本でも承認されるキットが出てくるなど、今後研究が加速していきそうな気配です。
一方、米国では早くもこのリキッドバイオプシーの地位を脅かそうかという新概念(あくまで概念です)が登場しています。その名もRadiogenomicsといいます。

 RadiogenomicsはRadiologyとgenomeとomicsを重ね合わせた造語です。2016年11月に米国のシカゴで開催された第102回北米放射線学会では、日本では想像できないくらい、機械学習や人工知能という言葉が飛び交っていたそうです。その学会で、最もホットなトピックスがRadiogenomicsでした。

実は、この1つ前の概念としてRadiomicsという言葉があります。これはRadiologyとomicsを合わせた造語です。大量の画像データを系統的に扱う研究分野を指します。このRadiomicsに遺伝子情報を重ね合わせた研究分野がRadiogenomicsです。日本から参加した画像診断の専門医は、Radigenomicsの究極の目的は生検を不要として画像所見のみで病気を診断することだと言っています。もちろん、まだまだアイデアの段階ですが、米国はこのゴールに向かって進んでいるようです。

 撮影技術が進んで多くの画像を短時間で撮影することが可能になりました。ボトルネックはこれら大量の画像を解析し、将来は遺伝子発現パターンや遺伝子変異も読影できるようになるかもしれません。そのためには機械学習や人工知能が不可欠になります。次世代シーケンサーが登場して遺伝子の塩基配列を決めることはそれほど難しい作業ではなくなりました。代わりに膨大なゲノムデータを解析するためにスーパーコンピューターなどの高度な計算力が必要になってきました。遺伝子解析と画像診断は今や同じ軌跡の上にあるといえそうです。

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