おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 1月9日に武田薬品工業が米ARIAD Pharmaceuticals社の買収を発表。また、1月10日に第一三共が米Kite Pharma社からキメラ抗原受容体(CART)細胞治療薬の日本での権利の取得を発表するなど、年初から買収や提携の報が相次いでいます。

 実はバイオ分野においては、日本企業による国内外ベンチャーなどのM&A(買収・合併)の話題が昨年暮れから急増しています。

 大きな話題になったのは、12月15日に富士フイルムホールディングスが武田薬品傘下の和光純薬工業の買収で合意したと発表したことですが、同日にはタカラバイオも、1細胞などから抽出した超微量DNA用の前処理試薬を販売する米Rubicon Genomics社を買収することを発表しています。

富士フイルムが和光純薬を1547億円で買収
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/16/02048/

タカラバイオ仲尾社長、「買収で1細胞解析に必要な装置や試薬揃った」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/18/02056/

 週が代わって12月20日には旭硝子が、バイオ医薬品の開発製造受託(CDMO)大手のデンマークCMC biologics社を買収すると発表し、翌21日には大日本住友製薬が、抗癌剤などの開発を手掛ける米バイオベンチャーのTolero Pharmaceuticals社の買収に合意したと発表しました。さらに26日にはラクオリア創薬が、バイオベンチャーのテムリック(東京・新宿、浴本久雄社長)を買収すると発表しています。

旭硝子がデンマークCDMO大手を買収
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/22/02084/

大日本住友、CDK9阻害薬を血液癌に対して開発中の米Tolero社を買収へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/21/02080/

ラクオリア創薬がテムリックを買収へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/26/02104/

 これに加えて、出資や提携なども含めると、日本企業が昨年暮れあたりからバイオ分野への投資を活発化させていることが分かります。

小野薬品、ヒト型抗体の作製技術で米Ligand社と提携
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/28/02107/

大塚製薬、タカラバイオの腫瘍溶解性ウイルスの国内共同開発で提携
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/16/02049/

NEC、癌ペプチドワクチンを開発するベンチャー企業を設立
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/12/19/02067/

 このうち、製薬企業による欧米バイオベンチャーの買収や提携は、創薬関連の技術やテーマが多様化する中で、ある程度芽を出しつつあるシーズを買収によって入手しようという、言うなれば業界内での投資ということになりますが、異業種からのバイオ分野への投資拡大は、人口減少で多くの産業が市場縮小に直面する中で、バイオ分野が数少ない成長産業と見られていることの証といえそうです。

 日本では緩和的な金融政策が続くことから、当面、日本企業による活発な投資は続くものと思います。ただし、期待通りに成長しなければ、異業種参入組の投資が長続きしないというのは、これまでに多くのバイオ関係者が経験してきたことです。この勢いが今後どうなっていくのか、注目していきたいと思います。

             日経バイオテク編集長 橋本宗明