皆様、おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 編集部の毎年恒例のプロジェクトである「日経バイオ年鑑2017」の発行を12月16日に果たし、そのONLINE版も同日中に公開しました(日経バイオテクONLINE、法人版のPharma Businessに契約いただいている方はご利用いただけます)。

 ちょっと前のメールマガジンでも紹介しましたが、今年の日経バイオ年鑑の一番のセールスポイントは、各種データを充実させたことです。

 例えば、「世界の製薬企業売上収益ランキング2015年度」という解説記事では、20億ドル以上の売上収益を上げる世界の製薬企業60社の2015年度の業績データに基づいてランキングを作成しました。会社全体の売上収益、医療用医薬品事業の売上収益のランキング、研究開発費のランキングの他、経営効率を見比べる観点で従業員1人当たりの売上収益などのランキングも作成しました。20億ドル以上の売上高というと日本企業は大正製薬ホールディングス、塩野義製薬などまでが入っていますが、欧米、アジア・オセアニア、南アフリカの企業なども含めたランキングを眺めると、世界における日本企業の状況が把握できます。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atclyb/17/120700005/

 また、「世界の医薬品売上高ランキング2015」という記事では、2015年(決算期が12月期以外の企業は2015年度)において、年間10億ドル以上を売り上げたブロックバスター111品目のプロフィールを分析しました。領域別品目数では、抗癌剤が19製品で全体の17%を占め、抗感染薬の17製品、神経精神系用薬と循環器官用薬の14製品、代謝性疾患系用薬の11製品が続きました。企業別のブロックバスター数では、米Johnson & Johnson社と米Amgen社がトップの10製品。日本企業ではアステラス製薬の7製品がトップで、4製品の田辺三菱製薬、3製品の武田薬品工業が続きます。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atclyb/17/120900010/

 このうち生物学的製剤のみを抜き出した「世界の生物学的製剤売上高ランキング2015」によると、生物学的製剤のブロックバスターは38製品。スイスRoche社の7製品がトップで、米Amgen社とデンマークNovo Nordisk社の6製品が続きます。日本企業で生物学的製剤のブロックバスターを複数有していたのは田辺三菱製薬のみ。生物学的製剤での日本企業の出遅れが、いまだに響いているようです。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atclyb/17/120900012/

 一部推定値を含む「日本市場における医薬品売上高ランキング2015年度」によると、日本市場での売上高トップはC型肝炎治療薬の「ハーボニー」で、2位もC型肝炎治療薬の「ソバルディ」。日本市場で200億円以上を売り上げる医薬品は60製品あり、うち500億円を超える売上高の製品は18品目で、さらにそのうち1000億円を超える製品は3品目ありました。世間では高額薬剤費問題がクローズアップされていますが、どの薬の売上高が伸びているのかが改めて確認できます。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atclyb/17/120900013/

 この他、日経バイオ年鑑2017では、欧米大手製薬企業の2015年決算、2016年第2四半期決算の状況や、日本の製薬企業27社の業績ランキング、上場バイオベンチャーの株価動向など、データ集的な解説記事を充実させました。もちろん、従来から掲載しているリポート、個別の項目を解説した分野別各論の記事も充実しています。

 日経バイオ年鑑は何しろ1000ページを超える大部ですから、その全ての記事を読み通すのは大変ですが、キーワードを手掛かりにして、日本の製薬、バイオ産業の全体像、研究開発のトレンドなどを理解するのにお役立て頂ければと思います(なお、ONLINE版では書籍版の記事の一部の掲載を省略しています。また、Pharma Businessご契約の場合、日経バイオ年鑑の解説記事を1つ読むのに3ポイントを要します。どうぞご了承ください)。

 編集部では2016年は、日々のONLINEニュース配信と日経バイオテク本誌、日経バイオ年鑑の発行、セミナーなどの開催に加えて、「世界の創薬パイプライン総覧」「新薬創製」という2つの書籍の編集に携わりました。

 世界の創薬パイプライン総覧は、製薬企業およびベンチャー企業の500社(海外420社、国内80社)が臨床開発を進めている、約3000の創薬プロジェクトを領域別に網羅して各領域別の創薬トレンドを分析した画期的な一冊です。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/book/160513.html

 新薬創製は、オプジーボやアクテムラ、ブロプレスなど、日本の製薬企業が創出し、難治疾患に新しい治療法を提供した革新的医薬品12品に光を当て、当事者へのヒアリングなどから、その開発背景や技術ポイントを分析した創薬の教科書的な書籍です(編著者は元一橋大学イノベーション研究センターにおられた東京経済大学の長岡貞男教授)。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/book/160323.html

 また2015年12月に発行した「革新的医薬品審査のポイント」(編著者は北里大学大学院 薬学研究科の成川衛准教授)も専門家から大変好評をいただいています。この書籍は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で承認審査に携わった専門家9人に、個別の医薬品の審査報告書を読み解いて、近年の医薬品開発と承認審査のトレンドなどを解説いただいたもので、医薬品の開発や臨床試験に携わる人たちに有益な書籍だと思います。

http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/book/151207.html

 編集部では2017年も引き続き、専門性の高い書籍を数点発行する計画です。どうぞこれを機会に日経バイオテクの書籍をあらためて手にとっていただければ幸いです。

 年内に私が執筆するメールマガジンの記事はこれが最後となります。日経バイオテクONLINEでは、例年通り正月元旦から1月4日にかけて、識者による「新春展望」や編集部員による「記者の目」などを掲載します。2016年は暮れも押し迫ってから、富士フイルムや味の素、旭硝子などによるM&Aが伝わってきましたが、景況感の改善や、低金利の継続などを背景に、異業種などによるバイオ分野でのM&Aがしばらく相次ぐのではないかと見ています。どうぞ皆様の2017年が幸多き一年となりますように。良い年をお迎えください。