おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 まさかの米大統領選挙の結末には、Brexitのデジャブを感じました。Donald Trump大統領の誕生によって、米国のオバマケアや高額薬剤費問題、科学技術政策はどのような影響を受けるのか。そして、それが世界に何をもたらす可能性があるのか。選挙結果の影響については米国在住の専門家に解説をお願いしているので、近くONLINEニュースなどの形で紹介していきます。

 それにしても2017年は驚くような出来事が次々に起こりました。ちょうど今、日経バイオ年鑑2017の編集作業の追い込みをしているところなのですが、バイオ・医薬分野でも様々な出来事があったことを再認識させられています。こちらの発行は1カ月ほど先になりますが、どうぞ楽しみにしていてください。

 日経バイオテクでは11月9日に東京・品川で、「ゲノム編集の医療応用」をテーマとするセミナーを開催しました。講師の先生方にはゲノム編集の基本的なところから国内外の研究開発の最先端の動向までを解説いただき、非常に勉強になりました。特にCRISPR/Cas9の特許が難しい状況になっていることがよく分かりましたが、一方で「重要なのは技術よりも戦略だ。戦略が優れていれば技術は買ってくることもできる。技術が無いからとあきらめるのは思考停止だ」というEdiGENEの森田晴彦CEOの言葉は名言だと思いました。

 日本では何かと「国産技術」にこだわる傾向があり、もちろん国産技術が世の中に貢献するのは素晴らしいことだとは思いますが、ビジネスにおいては技術の出所は関係ありません。やりたいことを明確にイメージし、それに必要な技術をインテグレートしてビジネスを作り上げていく、その戦略が重要だということなのでしょう。基礎科学では欧米に劣らない成果を挙げている日本で、研究開発に基づく事業の創出がどうしてうまくいかないのかが、少し分かったような気がしました。

 さて、12月1日には今年最後の日経バイオテクプロフェッショナルセミナー「ゲノム医療」が変える、製薬企業のR&D」を開催します。例年同様日本PGxデータサイエンスコンソーシアムの共催で、東京・永田町で開催します。

http://nkbp.jp/2dHxi4b

 癌治療の分野と、未診断疾患の分野で始まったゲノム医療が臨床現場にどのようなインパクトをもたらそうとしているのかを、実際にゲノム医療を推進しておられる先生方に紹介いただくと同時に、製薬企業の研究部門のリーダーも交えて、これが医薬品の研究開発をどう変えていくのか、どのようなインパクトを与えるのかを議論します。日本の医療システムの中で、これまで「診断」の部分はないがしろにされてきたため、その品質や精度の管理、薬事承認制度、診療報酬制度など様々な部分に課題を抱えています。ゲノム医療を推進しようとすると、そうした「診断」が抱える問題が表面化して、なかなかスムーズには広がっていかない状況となっています。こうした議論を聞く機会は多かったのではないかと思います。

 ただ、今回のセミナーではこうした「診断」の問題ではなく、「医薬品の研究開発」にスポットを当てます。というのも、ゲノム医療は診断を付けるだけで完結するものではありません。様々なゲノム変異に応じた治療が提供されるようになることこそが、ゲノム医療の目指すところだと思います。

 一方で、よく分からなかった症状や、癌化をもたらしている原因が、特定のゲノム変異であることが突き止められたなら、医薬品や治療法を開発する可能性はぐっと高まるはずです。それでは取り組みが始まったゲノム医療に、製薬企業はどのように関わっていくことができるのでしょうか。ゲノム情報の活用において、どのような課題があるのでしょうか?

 今回のセミナーでは、希少疾患向けの医薬品メーカーとしてグローバルに大きな存在感のあるアレクシオンファーマの和田道彦・ヴァイスプレジデント兼研究開発本部長と、中堅ながらユニークな創薬戦略を取る小野薬品工業の中出進・トランスレーショナルメディシンセンターセンター長、ライフサイエンス分野の倫理問題などに詳しいベーカー&マッケンジー法律事務所のChia-Feng Lu 氏に参加いただき、ゲノム医療時代の製薬企業の研究開発の在り方などを議論していきます。皆様の参加をお待ちしています。

■詳しいプログラム内容はこちらから■
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 本日はこの辺りで失礼します。