日経バイオテク副編集長の山崎大作です。

 10月31日、厚生労働省が癌免疫細胞療法を手掛けるアクティクリニックに対して、再生医療の提供の一時停止と細胞加工施設の製造停止を命じたとのニュースが流れてきました。

厚労省、クリニックに第3種再生医療の一時停止とCPCでの製造停止を命令
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/11/02/01799/

 厚労省が再生医療の提供の一時停止を求めるのは、今回が初めてのことです。このニュースを聞いた際、医薬品医療機器等法が改正された2013年、当時厚労省でこれらの法律をとりまとめた、現日本医療政策機構の宮田俊男エグゼクティブディレクターが、「今回の法整備は、規制緩和と規制強化の両方の側面がある」と繰り返しおっしゃっていたことを改めて思い出しました。

 規制強化が求められた背景には、2010年頃から、韓国の患者が日本で幹細胞製品の投与を受けて、相次いで死亡する事故が起こったことがありました。韓国では幹細胞製品の投与が規制されていたため、日本で投与を行い、死亡事故が起こったのです。しかも当時、日本では医療機関が自分の培養施設を利用して独自に提供することに対して何も規制がなかったため、厚労省は自由診療で何が行われていたのかさえも把握できていませんでした。

 そこで国は、再生医療等製品の早期承認への道を開く薬機法を改正すると共に、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)を作り、再生医療を提供する医療機関に登録の義務を課したわけです。

 誤解を恐れずに言えば、「法律が施行されて2年、やっと適用事例が出てきたか」というのが個人的な感想です。薬機法による再生医療等製品の実用化へのアクセルは、安全性確保法によるブレーキとのバランスがあってこそ、正しい速度で開発が進むのでしょう。ともすれば(我々メディアも悪いのですが)、新しい技術の可能性ばかりをあおりがちですが、有効性と安全性をきちんと検証・担保することにも気を配っていくべきだと改めて感じました。