おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 まずは訂正とお詫びです。昨日(20日)朝8時過ぎに、セミナーの開催をお伝えするために日経バイオテクONLINEメールの号外を配信しましたが、そのタイトルを「濡木教授が創業したベンチャー企業が登場! 11月9日セミナー開催【日経バイオテクONLINE 号外】とすべきところを、お名前を一字欠いてしまい、大変失礼しました。また、メルマガの名称も【PharmaBusinessメール 号外】と誤ってしまいました。お詫びして訂正します。

 さて、先週配信したメールマガジンで、国内大手ワクチンメーカーである化学及血清療法研究所が再び厚生労働省から法違反を指摘されている旨を「混迷の度を増す化血研問題の先行き」というタイトルで紹介しました。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/btomail/16/10/11/00124/

 これは、厚労省が9月6日、7日に無通告で行った立ち入り検査で、化血研が乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン「エンセバック皮下注用」の製造工程において、製造販売承認書の内容とは異なり、病原体不活化処理工程を経ていない原材料を用いた製造を行っている実態が確認されたとして、その経緯などを報告するように命じたニュースを受けたものです。ところが、化血研は18日、「承認された内容の通りで製造していると確認した」として、法違反の指摘を完全に否定しました。

化血研、厚労省への報告書でワクチンでの製造不正を真っ向から否定
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/18/01715/

 これに対して厚労省がどう反応するのかはまだ分かりませんが、厚労省は同18日に「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」の顧問による提言を公表し、その中でワクチンについては、「メーカーの統廃合による企業規模の拡大」が必要である旨を指摘しています。

厚労省「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」が、実質的なとりまとめを公表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/19/01723/

 つまり、GMP違反への対処という観点だけでなく、企業としての競争力を高めるためにも、M&Aが不可欠と打ち出して、厚労省は化血研のアステラス製薬への事業譲渡を後押ししようとしたのだと思ったのですが、アステラスと化血研は19日に事業譲渡の協議が終了したと発表。事態はさらに流動的になってきました。

化血研のアステラスへの譲渡協議が物別れに終わる
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/19/01721/

 化血研の報告に厚労省がどう対応するのか。また、化血研の再建の行方がどうなっていくのか。予断を許しませんが、本誌では引き続きフォローしていきたいと思います。

 今週はもう1つ注目すべきニュースがありました。

富士フイルム、CDI社の臨床向けiPS細胞作製法の特許が日本で成立
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/19/01719/

 つまり、富士フイルムの子会社である米Cellular Dynamics International(CDI)社が出願していた、エピソーマルベクターを用いて末梢血からiPS細胞を作製する作製法に関する特許が日本で成立したというものです。これにより、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトの計画が大きな影響を受ける可能性が出てきました。末梢血由来のiPS細胞を使って、細胞医薬などを開発・販売するなど事業を行う場合には、CDI社の特許のライセンスが必要になる可能性が出てきたのです。逆に言うとこれまでライバル関係のように思われていたCiRAとCDI社が手を組むきっかけとなるかもしれません。いずれにせよ、これを契機にiPS細胞研究がさらに厚みを増し、実用化に向けた取り組みが加速するのであれば歓迎すべきことだと思います。

 本日はこの辺りで失礼します。

             日経バイオテク 橋本宗明