おはようございます。日経バイオテク編集の高橋厚妃です。すっかり秋めいてきました。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、皆様もどうかお気を付け下さい。
 さて先日、東京工業大学関連の民間ベンチャーキャピタル(VC)であるみらい創造機構(東京・千代田区、岡田祐之代表取締役社長)を取材してきました。

東工大関連の民間VC、40億円規模目指す1号ファンドを設置
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/18/01706/

 東京大学や京都大学、大阪大学、東北大学は、税金が投入されて設立された大学子会社のVC(東京大学協創プラットフォーム開発、京都大学イノベーションキャピタル、大阪大学ベンチャーキャピタル、東北大学ベンチャーパートナーズ)や、各大学に関連した民間VC(東京大学エッジキャピタル、みやこキャピタル、東北イノベーションキャピタル)が存在します。東工大は、言わずと知れた優秀な国内の大学の1つですが、実はそうしたVCが無く、みらい創造機構が第1号と言えそうです。同社は東工大と協定を締結し、東工大が持つビッグデータ解析や人工知能、IoT、ロボティクス、材料分野などの技術を生かし、ライフサイエンスや環境エネルギーなどの事業化を推進していく方針です。ライフサイエンスの分野では特に、バイオインフォマティクスやシミュレーションなどで東工大の強みが発揮できるのではないか、というお話でした。

 実は東工大自体が、創薬研究に力を入れています。東工大は、2016年4月に大学の組織を大幅に変更。その中で、特に活発に研究活動を推進している教員をリーダーに任命し、学内や他大学の教員などが参画して共同研究を進める「研究ユニット」の組織をつくりました。その中の1つが、情報理工学院情報工学系の関嶋政和准教授がユニットリーダーを務める「スマート創薬研究ユニット」です。東工大のスーパーコンピューター「TSUBAME」を用いた研究を実施し、製薬企業などによる生化学実験と併せて創薬を目指す方針です。みらい創造機構は、スマート創薬研究ユニットの共同研究を推進する役割も担うもようです。
 さらに、みらい創造機構は、2016年9月、第1号ファンドを設立しました。ファンドには、金融機関に加えて事業会社が出資しています。最近では、事業会社がファンドに出資する例が、ライフサイエンス分野に関わらず増えているそうです。シーズや技術に早くアクセスできたり、共同研究などにもつながりやすいメリットがあります。みらい創造機構の1号ファンドでは、創薬企業などのバイオ関連企業の出資を募集しているとのことでした。今後、東工大関連のライフサイエンスのベンチャー企業の誕生や、技術の導出などにも注目していきたいと思います。