皆様、おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本です。連休を利用して四国を訪問したところ、台風のせいで高知で足止めをくらってしまいました。このメールが届くころには台風16号は太平洋上に去っているとは思いますが、地盤のゆるみなど、様々な影響が各地に残っているでしょうから、皆様お気をつけください。

 さて、9月7日に開催した腸内菌叢のセミナーには大変たくさんの方に参加いただきました。あらためてお礼を申し上げます。

 セミナーのディスカッションで議論した1つのテーマが、標準化をどうするかということです。というのも、各研究グループによる研究が進められることによって、腸内菌叢が様々な疾患と関係があることが明らかになりつつあるものの、そのサンプルの採取方法や前処理方法などが研究グループによって標準化されていないため、再現したり、データを共有することが困難な状況だからです。

 そこで現在、国内の製薬企業やバイオベンチャー企業などが集まり、アカデミアと共同で腸内菌叢の研究開発の促進を図る「マイクロバイオームコンソーシアム」を設立しようとしているということで、セミナーでは塩野義製薬シニアフェローで大阪大学サイバーメディアセンター招聘教授の坂田恒昭さんに登壇いただき、コンソーシアムの内容を紹介いただきました。

 しかし、ディスカッションを通じて、標準化がそんなに簡単ではないことがよく分かりました。研究者にとっては自分の研究のために必要なデータが取れればよく、標準化として行わなければならない作業の大半はその研究者の研究には必要のないことである場合もあるからです。標準化されていれば、他の研究者とデータの共有も可能になり、研究者にもメリットはあるはずですが、何を標準とするのかについて研究者の考えには幅があります。また、いったん標準を決めても、時代が変われば研究の進展により標準方法を見直していかなければならない可能性もあります。ただ、標準化は確かに難しい課題でしょうが、それでも標準化しておけば腸内菌叢と疾患や健康の関係に関する研究が大きく進展するのは間違いありません。ディスカッションでは、研究者ではなく研究費を出す側が決めるべき課題であるといった意見も出ていましたが、コンソーシアムを通じてこの分野の研究手法が標準化されることを大いに期待しています。

 11月にはゲノム編集の医療応用に関するセミナーを開催します。そちらもぜひご参加ください。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/161109/

 本日はこの辺りで失礼します。            日経バイオテク 橋本宗明