━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【日経バイオテク/機能性食品メール】
   【2015.11.13 Vol.213】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 原則として毎週金曜日に「日経バイオテク/機能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクの河田孝雄です。

 まずは恒例の機能性表示食品の届出書受理情報から。この1週間では、月曜日(11月9日)に3件。火曜日(11月10日)に2件、木曜日(11月12日)に4件、今日金曜日(11月13日)に1件が加わり、計138件になりました。届出日は、11月9日公表分が9月14日、11月10日公表分が9月15日、11月12日公表分が9月16日3件と17日1件、11月13日公表分が9月18日です。届出日と公表日の時間差は、7週間余りですね。

 このうち11月10日公表分について、記事をまとめました。

※日経バイオテクONLINE
[2015-11-12]
伊藤園が「お~いお茶」で機能性表示
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/111200056/

 今週の10件のうち機能性関与成分の新規は、理研ビタミンの「わかめペプチド粒タイプ」(届出番号:A133)に含まれている血圧高め対策の「わかめペプチド」と、ファンケルの「快眠サポート」(A138)に含まれている「L-セリン」です。

 後者のファンケルは、「睡眠の質の向上(寝つきの改善、熟眠感の改善、起床時の満足感)に役立つ。日常生活のストレスによる一時的な睡眠の不満を持つ方におすすめ」という旨を表示します。睡眠対策は、トクホでは認められていない機能性ですし、魅力的な健康強調表示ですね。

 睡眠対策の機能性表示食品は、伊藤園「テアニンの働きで健やかな眠りをサポートするむぎ茶」(A41)のL-テアニン、味の素「グリナ」(A42)のグリシン、などに続くものです。

 一方、前者の理研ビタミンは、このペプチドについて、ゼリー食品4件について特定保健用食品(トクホ)の表示許可を取得し、商品化しました。表示許可取得は04年から06年にかけてです。

 これで、ACEを阻害して高めの血圧を下げる表示がトクホで認められている機能性ペプチドのうち、機能性表示食品に登場したものは、カルピスのラクトトリペプチド(A11、A25)、仙味エキスのイワシペプチド/サーデンペプチド(A26、A36)に次いで、3種類目になりました。

 トクホの許可取得実績(最新の2015年10月27日許可分まで)は、ラクトトリペプチドが12、サーデンペプチドが70、わかめペプチドが4です。

 トクホではこの他に、血圧高め対策の機能性ペプチドとして、KISCO・サントリーのゴマペプチドが2、アピのローヤルゼリーペプチドが2、クラシエのカゼインドデカペプヂトが1、キリンビバレッジのイソロイシルチロシンが1、キッコーマンの大豆ペプチドが1、それぞれ許可されています。これらの機能性ペプチドの中から、近く機能性表示食品として登場するものもあるのでは、と思います。

 機能性表示食品の発売に関する今週の話題は、月曜日(11月9日)にリコムが販売を開始した「蹴脂粒」(A8)を取り上げます。届出日は4月15日。消費者庁が、機能性表示食品の届け出受理を4月17日に初めて公表した8件のうちの8番目。リコムはこの機能性成分の商品について、トクホを申請していましたが、食品安全委員会の新開発食品専門調査会での審議で、申請者からの提出データのみでは安全性の確認はできない、としてトクホとして認められない機能性素材だったことから、大分話題になりました。

 それから半年余りが経過しまして、ようやくリコムが販売を開始することになりました。この間、届出情報の変更は2回ありましたが、安全性データに関するものではありません。9月1日に製造工場を追加(アピの池田工場に、アピのネクストステージ工場を追加)し、10月26日に販売開始予定日を変更(2015年9月1日から11月9日に変更)しました。

 食品安全委員会の新開発食品専門調査会は、最近では、10月29日に非公開で開催された第107回新開発食品専門調査会で、トクホ申請されている卓上甘味料「レア スウィート」について、継続審議になったと、11月10日までに公表されました。

 レア スウィートは、希少糖の1つであるD-プシコースを関与成分とし、食後の血糖値が気になる方に適する旨で、香川大学発ベンチャーの希少糖食品(香川県丸亀市)がトクホ表示許可申請を行ったのは2010年3月。それから5年半が経過しています。

 D-プシコースの審議内容はあまり公表されていないので、よく分かりませんが、安全性評価は、試験管内や動物の試験を基に、100倍や1000倍の安全性を考慮してヒトに外挿してなされることが多いようです。ごく少量を使用する食品添加物のような場合の安全性評価としては適切な場合が多いのでしょうが、摂取量がごく少量では無い食品そのものの評価だと、安全性の懸念が拡大解釈されてしまう場合も多いように感じます。

 今週火曜日(11月10日)の食品安全委員会では、天野エンザイムがプロテイングルタミナーゼの申請を取り下げたことが、発表されました。機能性食品素材ではなく、食品用酵素なのですが、プシコースと同じように、海外では安全性をクリアしているのに、日本では“大変”という状況です。

 TPPの基本合意もあり、国境を越えた食品の流通量は今後ますます増えます。日本が独自に厳し過ぎる評価をするのは、日本企業の国際競争力を削ぐと思います。

 企業が事業計画を立てやすいように、安全性評価の要件について基準を明確化するのが重要では、と思います。例えば、一部のアカデミア研究者らの意見によって審議が長引いてしまう、ということがあるとすれば、極力減らしていきたいものです。

※関連記事

[2015-7-21]
松谷化学、希少糖プシコースの米国での商品名は「ASTRAEA」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150721/186369/

[2014-7-1]
松谷化学、希少糖プシコースのGRAS認証をFDAから取得、
トクホ表示許可取得後に発売へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140701/177384/

[2014-10-21]
アクリルアミド対策のアスパラギナーゼ、
DSM社のセルフクローニング酵素製剤が近く日本でも解禁へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141020/179656/

[2011-10-21]
海外先行実用化で農芸化学会技術賞の天野プロテイングルタミナーゼ、
酵素で初の1日摂取許容量設定がパブコメに
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111021/157321/

[2010-3-17]
農芸化学技術賞は味の素「CORYNEX」と天野エンザイムのプロテイン
グルタミナーゼ、食品用酵素TGaseの事業化で深い関係の2社
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9642/