三週に一度、メルマガを担当しています久保田です。今朝は風も吹いて、相当な冷え込みでした。本格的に冬がやってきた感じです。

 さて、本誌12月7日号に掲載したリポート「激化するバイオ後続品の開発競争」は、もうお読みいただいたでしょうか。リポート執筆のため、ここ2カ月ほど、バイオ後続品(バイオシミラー)の開発を手掛ける企業の取材にあちこち回っていました。

日経バイオテク12月7日号「リポート」
激化するバイオ後続品の開発競争
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/100900002/120300007/

 取材を通じてはっきりしたのは、これまでのG-CSF(フィルグラスチム)やEPO(エポエチンアルファ)などのバイオ後続品と、抗体医薬のバイオ後続品では、開発に必要な投資の規模が大きく違うということです。その投資を効率よく回収するためには、グローバルでの開発・販売が不可欠な情勢です。しかし、国内でバイオ後続品に参入した企業には、グローバルでの開発力や販売力が乏しいところが少なくありません。また、グローバルでの開発を行うとして、その際、各国の規制の調和も課題になっています。

 一方で国内では、医療費の伸びを抑制する観点から、従来の後発医薬品同様、バイオ後続品の利用拡大が望まれるところです。しかし、高額療養費や難病指定といった日本の優れた公的な医療費助成制度によって、バイオ後続品を使った方が患者負担が重くなるという逆転現象を生じさせています。政府は、2020年までに後発医薬品のシェアを数量ベースで80%以上とする目標を設定しましたが、金額ベースではなく数量ベースのため医療機関にとって、バイオ後続品を使ううまみはありません。こうした影響もあり、インフリキシマブの市場において、バイオ後続品のシェアは1%程度というのが現状です。

 こうした状況を改善しようと、2015年春、超党派のバイオシミラー使用促進議員連盟(会長は自由民主党の松本純衆議院議員)が立ち上がりました。同議連は、バイオシミラーの使用を促進するための基本法案をとりまとめる予定でしたが、安保法案などの影響でのびのびになっています。それ以前に、世界でのバイオ後続品の研究開発では、国内企業が韓国企業やグローバルの製薬企業に後れをとっているのが実情で、「国内企業の存在感が薄く、国内で使用促進の機運を盛り上げにくい」(議連の関係者)という本音も漏れ聞こえてきます。

 今回の取材では、バイオ後続品の国内市場の拡大が進まない中、「シェアが取れていない企業が値引きを始めたようだ」との話も耳にしました。もし値引き合戦が始まれば、参入企業はどこも痛手を被ることになります。国内ではこれまで、バイオ後続品に対して、「国内企業の参入を促して経済成長につなげる」「使用を促進して医療費の抑制につなげる」という2つの期待が混在していました。しかし、とりあえず後者だけにでもつなげられるように、まずは健全な市場の育成が求められるところです。

ファイザー、バイオ後続品開発では「同等の範囲」が難点
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/120700190/

持田製薬、ハンガリーRichter社と複数の後続品開発中
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/120700194/

協和キリン富士フイルム、アダリムマブの後続品は日本でも申請する
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/120700193/

Meiji、トラスツズマブ後続品のPIIIはグローバル開発も視野
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/120700196/

日本化薬、トラスツズマブの後続品は2017年に申請したい
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/120700195/

富士フイルムファーマ、「ランタス」のバイオ後続品を承認申請中
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/120100168/