皆様こんにちは。日経バイオテク編集の高橋厚妃です。今週の水曜日に橋本編集長とメルマガの順番を交代したため、本日は私が担当させて頂きます(橋本編集長の化血研のGMP偽装に関するメールはこちら
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/100900001/120900009/)。

 さて、今週の水曜日は、大日本住友製薬が開催したR&D説明会に出席してきました。研究開発の考え方を拝聴できるのは、わくわくするものです。今回は、同社が2012年に買収した米Boston Biomedical社のChiang J. Li最高経営責任者(CEO)が初めて出席した説明会となりました。Boston社は、癌幹細胞を標的とするというコンセプトで低分子薬のBBI608やBBI503を創製し、それらの開発を手掛けています。

大日本住友製薬がR&D説明会を開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/121000216/

大日本住友製薬が統合失調症を対象としたラツーダの開発計画を公表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/121000217/

大日本住友製薬がBBI608の臨床開発戦略を公表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/092800003/121100218/

 2005年に大日本製薬と住友製薬が合併して大日本住友製薬が発足して、10年目を迎えました。同社の野口浩副社長は、10年間の研究開発で大きな転換の1つとして、同社が2011年にBBI608を導入し、2012年にはBoston社を買収して、癌領域の研究開発に本格的に乗り出したことを挙げました。説明会では、「急速な科学の進展により、そう遠くない未来に、癌が不治の病から治る病となる時代がくるだろう。今こそ、製薬企業が科学技術を応用し、医薬品に変える時が来ている」と野口副社長がコメントしていたのが印象的でした。

 ところで癌は、紀元前からその存在や治療についての記録が残っているそうです。以前、癌領域の研究開発を行う企業の取締役の方から、癌について知るならと、1冊の本を紹介して頂きました。米Columbia University医学部腫瘍内科の准教授を務めるSiddhartha Mukherjee氏が書いた「The Emperor of All Maladies: A Biography of Cancer」です。日本では、「病の皇帝『がん』に挑む 人類4000年の苦闘」という題名で早川書房から販売されています。古代エジプトから現代までの癌や治療法の歴史について書かれたもので、2011年には米国でピューリッツァー賞の一般ノンフィクション部門を受賞した作品です。

 紹介された当時この本について調べてみると、上巻下巻の長編であることが分かり、教科書のような本かと思ってとっつきづらく読み始めるのを躊躇していました。意を決して読み始めると、非常に読みやすく、気が付くと没頭してしまうほどです。普段、抗癌剤の研究開発に関する記事を書きながら、いかに自分が癌について知らないかということを思い知らされています。本を紹介して頂いたことに感謝しつつ、この年末年始は、癌の4000年の歴史についてじっくりと向き合ってみたいと思っているこの頃です。