新春展望2018

協和発酵キリン、次なる飛躍へ

(2018.01.02 08:00)
佐藤光男=協和発酵キリン執行役員・研究開発本部長

 当社は、「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により世界の人々の健康と豊かさに貢献します」という経営理念のもと、新たな付加価値を社会に提供するという、研究開発型ビジネススタイルを追求し続けている企業である、ということができるかと思います。2016年度よりスタートした5ヶ年の中期経営計画では、「グローバル競争力の向上」、「イノベーションへの挑戦」、「卓越した業務プロセスの追及」、そして「健康と豊かさの実現」の4本の戦略を掲げ、真のグローバル・スペシャリティファーマ(GSP)に向け着実に成果をあげ、大きく脱皮しつつあります。

 当社のやるべきことは、GSPとして、社会のニーズを満たす薬をグローバルに医療の現場に提供することに尽きます。2017年を振り返ってみると、いずれもFDAよりブレークスルーセラピー指定を取得した、X染色体遺伝性低リン血症(XLH)治療薬である抗FGF23完全ヒト抗体burosumab、および、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)治療薬である抗CCR4ヒト化抗体モガムリズマブの欧米での承認申請という目標を達成し、私たちが創製した新薬をグローバルに患者さんに届ける日が近づいていることを実感できました。

 2018年は、両薬剤の欧米での承認取得、さらにパーキンソン病治療薬であるイストラデフィリンの米国再承認申請の達成を目指します。また、これらに続くパイプラインも充実してきています。国内においても、血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症治療薬であるエボカルセトの承認取得、burosumabの承認申請、バルドキソロンメチル(RTA 402)のフェーズ3開始を控えており、これらも着実に進めることで強みとする疾患カテゴリー領域の更なる強化を図っていきます。

 さらに、アジア地域での開発にも一層注力し、持続型赤血球造血刺激因子製剤ダルベポエチン(KRN321)、トロンボポエチン受容体作動薬ロミプロスチム(AMG531)、抗IL-17受容体A完全ヒト抗体ブロダルマブ(KHK4827)などの開発を進めることにより同地域でのプレゼンス向上を目指します。

 研究開発型企業を標榜する当社は、次世代抗体医薬、核酸医薬、新たな低分子創薬、再生医療という4大モダリティを軸としたTechnology-driven創薬の深耕により、真にアンメット医療ニーズを満たし、グローバルに通用する画期的新薬の創製研究をさらに推進していきます。新しい価値を生み出すためには、当社の重点領域である腎、癌、免疫・アレルギー、中枢神経の各カテゴリーにおいて、創薬に徹した組織力を高める努力を継続していくとともに、個々の研究者および開発担当者のセレンディピティ(serendipity)を引きだし、活かしていくことが重要です。

 一方で、各国で打ち出されている医療費抑制策に加え、創薬成功確率の低下や開発費用高騰などの製薬業界を取り巻く環境変化が、異業種によるAIやゲノム解析データの活用などのイノベーションを生み出し、治療体系の大きな変化に繋がる動きを見せています。これらの迫りくるパラダイムシフトを一社単独でキャッチアップすることは非常に困難な時代に入り、オープンイノベーションの取り込みが一層重要になっていることはもはや論を俟ちません。

 モガムリズマブをはじめ、当社が手掛けた多くの新薬はいずれもアカデミアとの共同研究により見いだされたものであり、当社の研究開発の歴史は、常にオープンイノベーションと共に歩んで来たといえます。今後も様々な連携を進めつつ、社会的に付加価値の高い開発パイプラインの継続的な創出に弛まずに取り組み、世界の人々の健康と豊かさに貢献していきます。

 当社中期計画の3年目である2018年は、「投資フェーズ」から「飛躍フェーズ」への移行の年と位置付けられています。真のGSPへと変貌していく、飛躍への挑戦が始まります。

                                                                                                                                                                

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