新春展望2017

バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流

~スマートセルインダストリー時代の幕開け~
(2017.01.01 00:03)
西村秀隆=経済産業省商務情報政策局生物化学産業課長

 現在、バイオ産業は更なる大きな飛躍に向けたとば口に立っていると感じている人は多いのではないだろうか。次世代シーケンサーやゲノム編集技術の登場など、バイオテクノロジー分野において重要な技術革新が次々と起こっていることに加え、そうした技術の社会実装が着実に進行しつつあることがその要因であろう。その顕著な兆候を医療分野に見ることができる。この10数年の間に、医薬品の主流は低分子医薬品からバイオテクノロジーを駆使して製造されるバイオ医薬品へと大きく変貌を遂げた。また、再生医療や遺伝子治療といった新たな手法が現実の治療法として結実してきており、医療技術の分野にも新風をもたらしている。

 これまでもバイオテクノロジーは、医療・健康分野をはじめとして、物質生産、エネルギー・環境、農畜林水産など幅広い分野で利用されてきているが、近年、生物情報とAIやITといった情報技術の融合によって急速に生物機能の解明が進むとともに、生物の持つ能力を引き出す技術においてもゲノム編集技術という大きな革新がもたらされたことによって可能となってきた「スマートセル」(※)が、バイオ産業の新たな可能性を拡大してきている。
 ※特定の機能や性質を高度に発揮するようデザインされた“賢い”生物細胞

 世界を見渡してみても、欧米諸国はこの5年ほどの間に新たなバイオ戦略を次々と策定しBioeconomyの形成に向けた取り組みを強化してきており、また、最先端のスマートセルテクノロジーを利用した生物由来製品の生産や新たな機能物質の実現にチャレンジする企業も多く出現してきている状況である。こうした中、我が国としても今後、バイオテクノロジーの革新が生み出しつつある新たな潮流をしっかりと捉え、産学官が一致協力した戦略的な取組みを強化していくことが必要であろう。本年が我が国バイオ産業の更なる飛躍の年となることを期待したい。

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧