新春展望2017

プレシジョンメディシン進展の年

(2017.01.02 00:01)
浅野薫=シスメックス取締役常務執行役員

 新年、明けましておめでとうございます。

 2016年11月に放映されたNHKスペシャル「“がん治療革命”が始まった〜プレシジョンメディシンの衝撃〜」をご覧になった方も多いと思います。この中で、遺伝子解析によって、新たな治療機会が見出された患者さんの姿も写し出されていました。

 プレシジョンメディシンと個別化医療の違いは何かということはさておき、“ゲノム情報に基づいて治療法が選択される”いわゆるゲノム医療が、我が国においても現実のものとなりつつあります。ゲノム医療が現実化するにつれて、ゲノム解析の精度をいかに担保するかが重要な課題であり、この部分は企業が果たすべき役割の一つと思っています。

 さて、そのプレシジョンメディシンですが、これは“患者さんのあらゆる情報を活用して、より精密な診断(疾患の詳細グループ分け)を行い、それに基づいて治療すること”で、ゲノム医療に限った話ではありません。ゲノム情報(点の情報)に加えて、患者病態のモ二タリング情報(線の情報)が、より精緻な医療を実現するために重要と考えており、弊社では、繰り返し測定が可能なリキッドバイオプシー技術の開発に力を入れています。
 リキッドバイオプシーとは、血液や体液から疾患由来の成分を従来よりも高感度に検出する技術であり、具体的には、血中循環DNAを検出するBEAMing技術や血中循環癌細胞を検出する新たなフローサイトメーター、血中蛋白を超高感度に検出する技術などに取り組んでいます。リキッドバイオプシーは、リアルタイムのプレシジョンメディシンを実現するためのツールとも言えると思います。

 さらに、プレシジョンメディシンは、予防・先制医療の概念も含みます。ゲノム情報を含む患者の膨大なデータは、ビッグデータ化され、人工知能を使って予防・先制医療に活用されていくでしょう。 ただ、この場合も、点の情報と線の情報を組み合わせることが肝要と考えています。

 本年は、ゲノム医療をはじめとするプレシジョンメディシンが、実用化・浸透していく年だと思います。 弊社も、その一端を担えるように努力していきたいと思います。本年もよろしくお願い申し上げます。

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