新春展望2017

技術革新を活用した新しい治療法の提供

(2017.01.02 00:01)
芹生卓=大塚製薬取締役新薬開発本部長

 近年の技術革新により、いわゆるアンメットメディカルニーズに対する、社会からの医薬品への期待は大きく変化しつつあります。弊社は、中枢神経領域や癌領域のアンメットメディカルニーズが高い疾患や、今まで十分な治療法が確立していない重篤な希少疾患の治療法の提供に集中し、医薬品の開発を推進しています。

 2016年の成果として、米国で抗精神病薬「REXULTI」の統合失調症の維持療法の追加が米食品医薬品局(FDA)に承認されました。国内では抗精神病薬「エビリファイ」の小児期自閉スペクトラム症治療の適応拡大、慢性骨髄性白血病・フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を適応症とする「アイクルシグ」の上市、 緑内障・高眼圧症薬の新規配合剤「ミケルナ」の上市を実現しました。2017年も社会的なニーズを満たすことができるよう、「隅から隅まで創造性」を発揮し、「ものまねはしない」で新たなカテゴリーの新薬や製品の開発にエネルギーを注ぎ続けていきます。

 次世代の医療に対応する革新的医薬品を創生するために、社外で進化する高度な技術を活用することにも取り組んでいます。米国では慢性腎臓病の患者さんにより適した経口腎性貧血治療薬の共同開発・共同販売契約を締結し、また国内では、癌局所に注入することによって顕著な抗腫瘍作用を示す腫瘍溶解性ウイルスの独占的ライセンス契約を締結してきました。今後も積極的な導入戦略により、医療現場に多くの治療選択肢を提供していきます。

 一方、近年の動向として、Internet of Things (IoT) や人工知能(AI)を活用した「医工連携」という言葉が現実味を帯びてきました。AIは、個別化医療を行う上で重要な技術ですが、例えば、医療上必要な情報をAIが理解できるデジタル言語に置き換えるのは容易でなく、課題も多いのが現状です。弊社はNEC社と脳梗塞再発抑制薬プレタールの飲み忘れを防ぐ服薬支援容器の共同開発に取り組んでおり、またエビリファイに独自の極小センサーを組み込んだセンサー入り製剤とパッチ型シグナル検出器を組み合わせて、服薬アドヒアランスを測定するデジタルメディスンの開発が進行中です。その他、日本IBM社と中枢神経領域におけるデジタルヘルス・ソリューション事業の合弁会社を設立し、精神科領域において数値化しにくい症状や病歴などの記述を自動的に統合・分析してデータベース化することも進めています。IoTシステムを導入したePlatformの構築により、質の高い臨床試験データを効率的に創出することも試みています。

 この10年における医療の進歩は目覚ましいものですが、まだまだ多くのアンメットメディカルニーズが存在します。医工連携など専門性の融合といった技術革新を反映し、ひとつでも多くの解決策を提供していきたいと思います。

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