新春展望2017

「デジタル技術の融合」と「エコシステムの構築」

(2017.01.01 00:06)
塚本芳昭=バイオインダストリー協会専務理事

 新年明けましておめでとうございます。一般財団法人バイオインダストリー協会(JBA)専務理事塚本です。昨年はめまぐるしい国際政治の変化を感じた年でしたが、バイオの分野でも大きな変化を感じました。そうした点も踏まえ、本年は特にバイオとデジタル技術の融合およびバイオベンチャーエコシステムの構築に関し本年の抱負を述べさせていただきます。

 近年ロンドン、サンフランシスコ、サンディエゴ、ケルン等を訪問し多くのバイオクラスター関係者と論議しましたがデジタル技術(AI、IoT、ロボティクス)の活用への関心が大きく高まっていることを肌で感じました。バイオとデジタル技術の融合については、どの様なビジネスが生まれるかは予想がつかない面もあります。しかしながら従来のバイオ分野にとどまるだけではイノベーションの限界があるのも事実ですので、本年から本格的に模索を開始したします。JBAでは年間80回ほどのセミナーを実施していますが、年初よりデジタル技術の関係者を招き議論を始めたいと考えております。また多くの関係者の御支援もありアジア最大のバイオビジネスのマッチングイベントに成長したBioJapan(2017年10月横浜にて開催予定)においても、バイオとデジタル技術の融合に関する取組を開始いたします。同時期に幕張で開催予定の家電・IoTの世界最大級の展示会であるCEATECとの協同の企画によりバイオとデジタルの融合によるイノベーションの可能性を探ってみたいと考えています。加えて世界中のバイオクラスターに声をかけバイオ分野の技術と接合の可能性の高いデジタル技術を担うベンチャー企業を集める予定です。多くの方々の御参加を期待しております。

 次にバイオベンチャーエコシステムについて述べたいと思います。バイオ関係企業の経営者の方とお話しすると、「日本にはバイオベンチャーの担い手もいないし育つカルチャーもないので日本でベンチャー育成をやっても無駄である」「海外からベストのバイオベンチャーを買うのが合理的である」等の意見が多く聞かれます。確かに個別の企業の経営の立場からすると合理的な判断だと思いますが、中長期的には別の判断があっても良いのではと思うこともあります。欧米では特にバイオベンチャーの育成にベンチャーキャピタルが大きな役割を担い、優れたバイオベンチャーも多く育っていますが、買収金額はうなぎのぼりです。また日本のバイオ関連企業が買収できるバイオベンチャーは、欧米の大手企業と契約が成立しなかったもので、なんとか日本企業でもアプローチができたというケースに限られるように感じます。

 欧米の大手企業の近年の動きを見ると、良いバイオベンチャーをハンティング的に買収するスタイルでは資金的にもリスクが高くなっているため、アーリーの段階からバイオベンチャーのインキュベーションに取組み地域のエコシステム形成に貢献しつつ、協業ができるバイオベンチャーを早期に見極め、必要に応じ提携等を行うというスタイルを取り入れつつあるように思います。一方、日本に生まれた研究成果を既存の企業のみでビジネスにつなげることはその研究成果が革新的なほど困難であるという面があり、新たなイノベーションの担い手としてバイオベンチャー自体が必要であるという状況もあります。このため本年は賛同が得られたバイオ関連企業や国・地方のバイオベンチャー育成機関とともにバイオベンチャーのインキュベーションに本格的に取り組み、日本でエコシステムを構築する努力を展開していきたいと考えています。

 本年掲げたテーマはどちらも成果を挙げ社会の発展に貢献するまでには難易度も高く時間もかかるテーマだと思いますが、関係各位のご支援ご協力をお願いし新年のご挨拶とさせていただきます。

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