新春展望2017・記者の目

真価を試されるバイオベンチャー

(2017.01.04 00:00)
山崎大作

 読者の皆さま、明けましておめでとうございます。

 2016年はJCRファーマのテムセルとテルモのハートシート、2つの再生医療等製品が発売されたり、ヘリオスやサンバイオ、テラといった再生医療製品を手掛ける企業が治験の開始を発表するなど、医薬品医療機器等法が改正された“残り香”がまだ感じられる年でした。そのためか、一般紙でも再生医療や遺伝子編集についてプラスに捉えた記事の発信が多かったように感じています。合わせて、2016年1月4日に354.37だった日経BP・バイオINDEXが4月には600を超したり、政府が東北大学、東京大学、京都大、大阪大学の4大学に1000億円を供与して作ったベンチャーキャピタルが実際に動き出すなど、バイオベンチャーにとって調達環境でも追い風が吹いた1年だったと言えるでしょう。

 大手製薬会社がベンチャーと提携するケースも増えています。海外のメガファーマが日本でベンチャーやアカデミアと提携するための仕組みを整備していますし、かつてはベンチャーに見向きもしなかった日本の製薬会社も重い腰を上げ始めています。2000年代半ばから後半の冬の時期と比較すれば、ビジネスチャンスとしても高まっているはずです。

 ただ、金融系の方々と話していると、現在は一種のバブルで、2017年は後半に向けて決して甘くないのではないかという声が聞こえてきます。また、2016年春頃から免疫チェックポイント阻害薬の薬剤費に関する議論が活発化するなど、ただ新しい技術や効果があるだけでは価値が認められなくなりつつあります。医療技術評価の導入で先行する英国を見ていても、英国立医療技術評価機構(NICE)が価格で折り合いが付くか否かで使用を推奨するかどうかを決める例は少なくありません。

 言い換えれば、学術的に面白いだけでなく、本当に既存の治療法と比較して効果があるものが峻別される時が来ているのではないでしょうか。今年もより多く取材し、記事を書くことで、力のあるベンチャーのお手伝いをしていきたいと思います。

 本年もよろしくお願いいたします。

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