新春展望2017・記者の目

新たな創薬の標的は?

(2017.01.04 00:10)
高橋厚妃

 明けましておめでとうございます。2016年の本誌では、エクソソームや腸内細菌など、創薬の新たな標的の可能性となる研究対象が多く登場したように思います。エクソソームや腸内細菌は、本誌の特集で取り上げただけではなく、本誌主催でセミナーを開催し、多くの方に参加して頂きました。

 特に腸内細菌に関しては、製薬企業や食品企業などが、細菌叢の解析法を標準化し、健常者の細菌叢を定義することを目指して「マイクロバイオームコンソーシアム」を立ち上げようとしている動きがあり、応用研究まで拡大している勢いを感じました(関連記事)。

 一方で、腸内細菌叢の研究を取材している際によく聞いたのは、「菌の基礎研究は、日本が古くからリードしていたのに、大規模なシーケンスや配列のデータベース構築などは欧米にリードを奪われ遅れてしまった」という意見です。欧米では、腸内細菌を標的とした創薬を行う製薬企業やベンチャー企業が既に続々と現れています。日本での実用化に向けた動きは、世界の流れにのったといえるでしょう。取材をしながら、日本がリードしている基礎研究が、応用研究でもそのままリードするにはどうすればよいかと考えさせられました。応用研究に拡大する可能性があるのなら、取材をしてそれを整理して示すのが、私にできることです。そこで2017年は、「将来の創薬の標的」について積極的に取材していきたいと考えています。

 今、目をつけているのは、オートファジーです。オートファジーは、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大学の大隅良典栄誉教授の研究テーマで、基礎研究で日本がリードしている分野です。近年、神経変性疾患や癌の悪化などと関係していることが明らかになり、注目を集めています。現在、医薬品や化粧品などへの応用に向けた研究について取材を実施しているところです。加えて、2017年3月6日(月)には、オートファジーを標的とした創薬や化粧品の研究開発の可能性に関するセミナーを企画していますので、こちらも楽しみにして頂ければと思います。

 2017年もどうぞよろしくお願い致します。 

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