新春展望2017

2017年、人がやらない、気づいていない、狭間の研究を、面白く

(2017.01.03 00:10)
石井健=日本医療研究開発機構(AMED)戦略推進部長、医薬基盤健康栄養研究所兼任

 皆様、明けましておめでとうございます。

 2016年は日本の基礎医学研究や医療研究開発にとっても感慨深い一年となりました。基礎研究では大隅先生がオートファジーの研究でノーベル医学生理学賞を受賞され、医療現場でもC型肝炎やがんの新たな治療薬が普及し、医療費の高騰から薬価の引き下げにいたるまで、多くのニュースがありました。これらの先駆的、または破壊的なイノベーションを目の当たりにして痛感する事は、人のやらないこと、流行りそうにないことをはじめる勇気と、成果が出る前にサポートや開発にコミットすることの重要性でした。

 2016年、日本医療研究開発機構(AMED)では末松誠理事長のリーダーシップの下、数々の改革が進み、新たなプログラムや仕組みが動き出しました。略語も含めて詳細はAMEDのウェブサイトを参照いただければと思いますが、縦割り医療の狭間であった難病研究のコンソーシアムである「IRUD(未診断疾患イニシアチブ)」に始まり、産学官連携研究の狭間を埋めるべく立ち上がった「GAPFREE」、今までの医薬品、医療機器開発の狭間に埋もれていた分野に光を当て、第3の柱とする「メディカルアーツ」といったプログラムも立ち上がりました。また、色々な事業で多岐にわたっていた審査方法の一本化、各種プロセスの英語化への準備などが着手されました。

 2017年は日本の基礎研究と医療研究開発では何が起こるのでしょうか?

 私は上記タイトルにも述べている通りですが、今年特に、一個人として、注目している研究領域や分野を簡潔な箇条書きの形でお伝えしたいと思います。キーワードはタイトルのとおり、人のやらない研究、狭間の研究です。私の専門であるワクチン、免疫学はあえて除外します。

(1)Communicable (感染症)と non-communicable diseases (NCD)(生活習慣病)、そしてその狭間の研究 (NCDが「感染しない」というFactもチャレンジされるドグマだと思います。流行ってしまってはいますが、Microbiomeであるとか、栄養や早期診断マーカーといった予防を目指した研究も含みます)

(2)人生(ライフステージのほうです)のはじめと終わりの部分の研究 (倫理の問題や、時間がかかるといった理由で治験のしにくいライフステージともいえますが、いわゆる再生、老化研究も含まれます。個人的には小児科、産科領域のリバースTR研究の必要性を強く感じています)

(3)(俗に)儲からないとか、いい論文にならないと(産や学に)誤解されている研究分野 (AMR:antimicrobial resistanceや熱帯感染症、小児希少疾患など)

(4)既存のドグマにチャレンジする研究(医療や医学において人がやらない、気づかない研究:大御所には「無理」とか「あほか」と言われるようなことが逆説的には良いと思います。個人的には基礎、臨床の境はなく、研究として面白ければいいと思っています)

(5)医療経済的視点も踏まえた医療の研究開発(AMEDで昨年末にまとまったものが下記リンクに出ていますのでぜひご参照ください。2017年の展望として実はこれが一番重要かもしれません) http://www.amed.go.jp/content/files/jp/other/20161226_arikataiinkai_matome.pdf

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