バイオ村の住民投票

ゲノム編集技術、利活用の本丸は「遺伝子治療や細胞治療」

カルタヘナ法との整合性や組換え技術との違いに理解求める声も
(2016.12.06 00:10)
日経バイオテク編集部
図1 ゲノム編集技術の利活用が最もインパクトを与える分野
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図2 ゲノム編集技術の利活用に向けた研究が進んでいる分野
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 日経バイオテク編集部では、2016年11月21日から30日にかけて、第2回バイオ村の住民投票と題して、読者を対象にゲノム編集技術に関する調査を実施した。

 有効投票数は85人。うち、ゲノム編集技術の利活用が最もインパクトを与える分野について聞いたところ、47%の住民が「遺伝子治療や細胞治療などへの応用」と答え、ゲノム編集技術の治療応用への期待が高まっていることが示された(図1)。ただし、住民の多くが製薬企業に勤めている影響は否めない。

 ゲノム編集技術の利活用が最もインパクトを与える分野(ひとつだけ回答)については、その他にも、創薬研究(18%)、農作物の育種(11%)、組換え技術を用いた医薬品の生産(5%)が続いた。数は少なかったものの、不妊治療への応用と答えた村民もいた。

 また、海外(米国と中国)と日本それぞれについて、ゲノム編集技術の利活用に向け研究が進んでいる分野(複数回答可)について聞いたところ、海外については複数の分野について研究が進んでいると回答した村民が多く、日本に比べて海外では、様々な分野で研究が進んでいる傾向が見て取れた。分野別では、海外では、「遺伝子治療や細胞治療などへの応用(69.4%)」「創薬研究(54.1%)」「農作物の育種(40.0%)」「家畜の育種(34.1%)」の順に多かったのに対し、日本では、「創薬研究(51.8%)」「遺伝子治療や細胞治療などへの応用(49.4%)」「農作物の育種(31.8%)」「組換え技術を用いた医薬品の生産(20%))という順になった。海外では農林水産畜産分野で応用研究が進められているのに対し、日本では医薬分野の創薬研究や医薬品の生産で応用研究が進んでいる違いが示唆された。

 ゲノム編集技術の利活用に関して、自由意見を聞いたところ、数多く寄せられたのが、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)との整合性の明確化」や「従来の遺伝子組換え技術との整理」と求める声だった。中には、「遺伝子組換えとは異なり、育種に近いことを社会的に認識させるべき」「遺伝子組換えとの相違を社会に理解してほしい」といった声が多かった。また、「食品(農畜産物)へのゲノム編集技術の利用についての社会的許容(PA=Public Acceptance)が必要」といった意見など、技術に対する社会の理解をどう進めるべきかが大きな課題であるとの問題意識を持つ住民が少なくなかった。

 ゲノム編集技術の医療応用に関しては、「倫理や法律が絡むとともに、グレー領域が存在する。日本が遅れをとらないためにも、政府にはグレーゾーン解消の施策を出してもらいたい」といった声や、「生殖医療、特に受精卵を扱う場合には、第三者機関のルートを通ってのみ、研究に入れるように世界的に取り組むべく、研究者が立ち上がるべき」「生命倫理に敏感になるべき」といった意見も散見された。

 投票者の背景は、男性が82.4%、女性が17.6%。勤務先は、大学・研究機関が30.6%と最も多く、製薬企業(16.5%)、その他企業(11.8%)、化粧品・化学企業(10.6%)が多かった。年齢は、50歳代が36.5%と最も多く、次いで40歳代(24.7%)、60歳代(16.5%)、30歳代(15.3%)が続いた。最終学歴は、国内大学の博士修了が47.1%で最も多く、次いで国内大学の修士修了(24.7%)、国内大学の学部卒(23.5%)が多かった。

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