アクテムラと我が研究人生(第12回)

カルフェニールの育薬研究

(2016.11.28 00:00)1pt
大杉義征=元中外製薬、 現大杉バイオファーマ・コンサルティング

 カルフェニールの臨床開発は順天堂大学医学部膠原病内科の塩川優一教授を中心に進められた。初めて先生にカルフェニールの概要を説明した際に、先生が私の考えを受け入れて、ゆがんだ免疫のバランスを是正できる「免疫調節作用」という斬新な作用機序に理解を示していただくことができて本当にほっとした。当時としては全く新しい概念であり、専門家筋に受け入れられるのかどうか半信半疑だったからである。カルフェニールが臨床第I相試験、第II相試験と段階を踏んで、全国規模での多施設二重盲検試験まで進んだのは、新しい概念を許容し挑戦的な試みを受け入れた塩川先生の抱擁力と、リウマチ学界の重鎮として自ら先頭に立って道を切り開いた指導力と行動力に負うところが大きかったと思う。

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大杉義征(おおすぎ よしゆき)
薬学博士 大杉バイオファーマ・コンサルティング代表取締役会長
大杉義征 1944年大阪府和泉市生まれ。69年大阪大学大学院薬学研究科修士課程修了と同時に中外製薬に入社。78年から81年 米California大学Davis校医学部へ留学。92年 創薬第一研究所長、97年中外分子医学研究所代表取締役社長、2001年グローバルプロジェクトリーダー(アクテムラ)、04年定年退職後プロフェッショナル契約社員として勤務を継続、2010年退社。2011年から2015年 一橋大学イノベーション研究センター特任教授。東京医科歯科大学大学院、秋田大学大学院、日本薬科大学、北里大学などで非常勤講師。2010年以降現在までAMED-Astep評価委員、専門アドバイザー、AMED-CREST「慢性炎症」領域アドバイザーなど兼務。
日本で創製された初めての抗体医薬「アクテムラ」の発明者である著者が自らの研究人生を振り返る。新薬の成功率は、3万分の1ともいわれる難業である。科学的に極限まで考え抜いた末に到達した自説には強固な信念が宿る。その信念を粘り強く持ち続け、逆風に立ち向かっていく強靭な精神力が求められる。米国留学から数えて30年を費やし、この間幾つもの死の谷を越え、成功を勝ち取った経験を語ることで、若手研究者の皆さまに、イノベーション創出に挑戦する勇気を与えることができれば本望である。

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