国際アグリバイオ事業団

アグリバイオ最新情報【2019年4月】

(2019.05.10 08:00)

(編集部注)この記事は、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によるアグリバイオ最新情報【2019年4月】から話題を抜粋し、日本語訳を掲載したものです。抜粋していない全文はこちらをご覧ください

世界

遺伝子組換え種子市場はアジア太平洋地域で急速に成長と予想

 アジア太平洋地域は、今後数年間にGM種子市場が最も速い成長をすると予測されている。これは、遺伝子組換え種子市場に関する総合的な作物別、世界動向、展望および需要性の面から解析したCoherent社の市場調査報告によるものである。

 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のGM作物導入データを用いた報告によると、2016年の遺伝子組換え種子市場を支配したのは遺伝子組換え作物またはバイテク作物の高い導入率を果たした北米だった。 GM種子の販売促進におけるカナダ政府の支援は、同国における市場の成長を促進する主な要因の1つであると強調されている。さらに、アジア太平洋地域は、これから最も速い成長を示すと予測されている。この地域の新興国、特にインドと中国で力強い成長が見られる。 GM種子の導入は、殺虫剤の使用によるコスト削減や作物収量の向上など、様々な利点につながっている。これらの要因は、アジア太平洋地域におけるGM種子の需要の増加に貢献している。

詳しくは以下のサイトをご覧下さい。 Coherent Market Insights

アジアの農業者はグリホサート使用制限に伴う雑草防除費用増に直面と予想

アジアの7カ国の農家は、グリホサートを使用できなくなった場合、雑草防除コストの増加、非効果的な雑草防除、耕地利用の困難さ、収量の低下に直面するとの新たな調査結果が報告された。この調査では、年間の雑草防除コストは7カ国で14億ドルから19億ドルの間で増加し、平均コストは22ドル/ haから30ドル/ haの範囲で増加すると推定している。

研究結果は、PG Economics社のGraham Brookes氏による査読付論文に要約されており、グリホサートの現在の使用状況、その使用の理由、および今後使用できない場合に農家が雑草防除法の変更策について検討している。この研究に含まれている7カ国は、農業におけるグリホサートの使用が重要であるオーストラリア、中国、インド、フィリピン、インドネシア、ベトナム、およびタイであり、また、グリホサートの使用制限を検討している国、および農家がグリホサート耐性バイオテクノロジー作物を栽培している国についての検討も行われている。

詳細は以下のサイトにあるニュースリリースをご覧ください。PG Economics

南北アメリカ

ボリビアがバイオ燃料用のダイズ生産にバイオテクノロジーの利用承認

ボリビア政府は、2019年3月18日にバイオディーゼル生産のためだけにバイオテクノロジーを使用してダイズを生産することを承認した。発表は、Santa Cruzの民間起業家とEvo Morales大統領の会談中に行われた。また、これにはAlvaro Garcia Linera副大統領と炭化水素省のLuis Alberto Sanchez大臣も出席していた。政府の決定はバイオ燃料への政策決定に基づいている。これはまたボリビアが2018年9月にガソリンとディーゼル燃料添加剤の輸入に代わるバイオエタノールを大量生産するように促すことにも合致する。

Sanchez大臣によると、バイオテクノロジーは、新しいバイオディーゼルグリーン燃料の製造のためだけに大豆生産に使用される予定である。この施策実施の初期投資額は200万米ドルを超えると推定されており、ボリビアのダイズ農業生産量は25万ヘクタール増加すると予測されている。彼はまた、今後数週間以内にボリビアの規制上の枠組みで、政令を通じて活動を規制するための作業が行われると述べた。

詳細な公式情報は、以下の公式サイトをご覧ください。news release

ヨーロッパ

「欧州連合はEUGMO法により農薬削減の機会喪失」と欧州議会の報告書

欧州議会の科学技術の将来に関するパネルが、報告書「植物保護製品なしの農業」を発表しました。 この報告書は、世界の食料生産の確保、生物多様性の保全、そしてEUにおける農業者の収入の確保に対する植物保護製品(plant protection products 、PPP)の現在の役割を示している(PPPとは、消泡剤、希釈剤および湿潤剤を含む農薬)。

報告書の「農薬使用に関する新技術とその効果」に関する項では、バイテク、作物保護製品、新しいゲノム編集ツールCRISPRを含む農業技術について説明している。 しかし、遺伝子組換え作物およびゲノム編集作物は、EU GMO法の厳しい条件に従う必要がある。 著者らは、「我々の意見では、ヨーロッパではPPPの使用を減らすためにこれらの技術を実装する大きな機会を逃している」と述べた。

より詳しい情報は以下のサイトをご覧ください。またはそのシンクタンク項その解析内容をダウンロードしてご覧ください。European Parliament

新育種技術

ゲノム編集高オレイン酸大豆油が米国で入手可能に

ゲノム編集によって開発された高品質の高オレイン酸大豆油は、現在米国市場で入手可能である。Calynoとして知られる大豆油は、米Calyxt社の専門家によって開発された。これは、米国の消費者向けに出された最初のゲノム編集食品である。

 Calyxt社の科学者たちは、脂肪酸合成に関わる2つの遺伝子の発現を止めた。従来の遺伝子組換え品種とは異なり、この特定のダイズは別の生物の遺伝子を挿入する代わりに自身の遺伝子の活動を停止した。これにより、Calyno油はオレイン酸が80%高く、飽和脂肪酸が20%少なくなった。1食当たりのトランス脂肪酸は0gであり、製品寿命は3倍に伸び、そして現在市場で売られているダイズ油と比較してより長い貯蔵寿命を有する。同じプロセスは従来の交雑育種によっても達成され得るが、ゲノム編集は科学者が所望の形質を有する作物をより正確にそしてより短時間で生産することを可能にした。

米国の食品産業への新しいダイズ油の導入が成功したことは、食品製造業者と消費者がより健康的な食品にアクセスするための科学的革新、特にゲノム編集を歓迎していることを意味している。

詳しくは、以下のサイトのプレスリリースをご覧ください。press release

ゲノム編集などの新植物育種技術は食品の安全性確保に貢献可能

Science誌に掲載された展望記事で、国際的な研究チームは、ゲノム編集などの新しい植物育種技術が食料安全保障と持続可能な開発に大きく貢献できると主張している。過去には植物育種およびその他の農業技術が食料安全保障に重要な役割を果たしていたが、農薬の使用の結果、強い農薬が深刻な環境問題を引き起こした。将来の技術は、環境への影響を減らし、気候ストレスに対して農業をより回復力のあるものにする必要がある。予想されることは特にアフリカとアジアの小さな農業者が、気候変動の影響に苦しむことを示唆している。ゲノム編集は、作物を害虫や病気に対してより耐性にし、干ばつや高温に対してより耐性にするために使用することができる。これは農作物の損失や化学農薬の散布を減らすのに役立つ。 CRISPR/Cas9などの方法を使用して、外来遺伝子を導入せずに正確な点突然変異を起こすことができる。これらの方法は低コストであり、豆類や地元の野菜のような以前には無視されていた作物にもこの手法を採用できる。

この論文の中で、著者らは今後5年以内にどの作物に対して具体的なゲノム編集作物が入手可能になるかを示している。しかし、彼らは、最貧国と最貧農家も恩恵を受けることができるようにするためには、国際協力、公的支援、そして効率的な科学に基づく規制が重要になるだろうと強調している。

論文を以下のサイトでご覧ください。Science

EU保健委員長が植物育種の革新に対応する新しい立法を呼びかけ

新しい植物育種の革新には、最新の先進技術を考慮した新しいEU法が必要である、と欧州連合(EU)保健委員長のVytenis Andriukaitis氏が呼び掛けた。彼は、この問題に対する大規模な操作と「恐怖の恐れ」を考慮してこれを述べた。Andriukaitis氏は、「私の立場からは、これらの新しい手法には新しい法的規制の枠組みが必要だ」と述べ、5月の選挙後にこの問題は新しい欧州委員会で議論される予定だと示唆した。

欧州司法裁判所(ECJ)は、2018年7月に、突然変異誘発、ゲノム編集、または植物育種技術によって得られた生物は遺伝子組換え生物(GMO)であり、原則としてGMO指令に該当すると判断した。 Andriukaitis氏は、「20年前に施行され、この分野での最新の進歩を考慮せずに古い技術を参照していたGM法を、ECJは解釈するように求められていた」と述べた。彼はまた、多国籍企業がバイオテクノロジーの適用を支持しているというほとんどの環境保護論者の主張を拒絶し、農薬を使わずに家族を養うためにバイオテクノロジーを使用し、良い作物を生産するバングラデシュ農業者の例を強調した。

原報告を以下のサイトでご覧下さい。Euractiv

国際アグリバイオ事業団
国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が配信するニューズレター「アグリバイオ最新情報」の中から幾つかの話題を抜粋し、日本語に訳したものを毎月第2木曜日に日経バイオテクONLINEに掲載している。ISAAAはニューヨーク州に本部を置き、米国、ケニア、フィリピンに活動拠点を有する非政府系の国際的ネットワーク組織で、政府機関や農業関連の団体、大学、農薬企業などの寄付によって運営されている。

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