本村聡士の台湾バイオ最前線 No.7

政府当局自らが企業を評価する、台湾の上場審査の強み

(2019.09.30 08:00)1pt
本村聡士

 2019年9月3日から5日まで、台湾政府主催のバイオ政策討論会であるBio Taiwan Committee(以下BTC)が、今年も台北国際会議センターにて開催された。BTCでは、台湾政府の主要閣僚をはじめ、産官学の代表者ら約300人が一堂に集まった。インターネットでライブ配信される中、3日間かけて台湾のバイオテク産業の課題やビジョン、振興策が議論された。各専門家から様々な意見が出る中、私が考えさせられたのは、上場申請前の赤字企業の評価を政府当局自らが行う、台湾独特の審査制度についてだ。

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本村聡士(もとむら さとし)
大和企業投資株式会社 台北事務所所長
本村聡士(もとむら さとし)  1982年福岡県生まれ。2004年上智大学外国語学部卒。アルバイト先のスペインバルで、常連客からベンチャーキャピタルという仕事を教えてもらったことがきっかけでVC業界を目指し、大学卒業後にNIFベンチャーズ(現 大和企業投資)入社。東京本社でIT・サービス分野のベンチャー投資を担当後、2008年から台湾赴任。赴任当初は自動車部品や医療機器等のメーカーへの投資が中心だったが、台湾バイオ産業の将来性に着目し、日台のバイオベンチャーに投資するファンドの設立に奔走。中小機構、台湾政府ファンドの支援を受けて同ファンドが設立した2015年以降、台湾バイオベンチャーの発掘・投資業務を担う。2014年10月より現職。
 台湾は今、ビジネス面で大きな転換期にあります。シャープを買収した鴻海精密工業や世界最大の半導体受託製造(ファウンドリー)であるTSMC(台湾積体電路製造)などの名は、日本でも多くのビジネスパーソンがご存じでしょう。ただ、エレクトロニクス産業の一本足打法から抜け出すために、台湾は国を挙げて「バイオ先進国」に生まれ変わろうとしています。ますます経済力を高める中国に対して自分たちの存在感を示し続けるためにも、中国生産モデルや中国市場だけに頼らない、強い「経済」と「経済的自主」が不可欠だと冷徹に見極めているからです。旗振り役は、自身もバイオベンチャーの経営者であった蔡英文総統です。米国の製薬企業で経験を積んだ台湾人が次々と帰国して、バイオベンチャーの創業ラッシュが続いています。台湾駐在歴10年の著者がベンチャーキャピタリストの視点から、台湾のバイオテク業界の最新動向をお伝えしていきます。

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