本村聡士の台湾バイオ最前線

台湾バイオテク企業の”柔らかい”強さはどこから来るのか

(2019.07.23 08:00)1pt
本村聡士

 「台湾バイオテク企業」と聞くと、台湾に登記された台湾籍の企業だと思う方が大半だろう。しかし、必ずしもそうとは限らない。台湾バイオテク企業と呼ばれる企業の中には、ケイマン諸島(カリブ海の西にある3つの島)に持ち株会社を設立し、その下の台湾子会社に本部機能を持たせて事業活動をしているケースも少なくない。ケイマン籍の企業であれば、企業や株主が税務上のメリットを享受できる他、発行体自身が台湾株式市場にも海外株式市場にも上場可能となるため、上場市場の選択肢が増え、より多くの投資家を引き付けるエクイティストーリーを描くことができる。さらに、種類株の設計も自由で、かつ台湾政府による投資規制も受けないことから、海外投資家から出資をより受けやすくなるメリットもある。早期に営業キャッシュフローがプラスになることを期待できないバイオベンチャーにとって、資金調達は死活問題であるため、台湾バイオテク企業は投資家の需要に応じて会社スキームを柔軟に変更することもいとわないのである。

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本村聡士(もとむら さとし)
大和企業投資株式会社 台北事務所所長
本村聡士(もとむら さとし)  1982年福岡県生まれ。2004年上智大学外国語学部卒。アルバイト先のスペインバルで、常連客からベンチャーキャピタルという仕事を教えてもらったことがきっかけでVC業界を目指し、大学卒業後にNIFベンチャーズ(現 大和企業投資)入社。東京本社でIT・サービス分野のベンチャー投資を担当後、2008年から台湾赴任。赴任当初は自動車部品や医療機器等のメーカーへの投資が中心だったが、台湾バイオ産業の将来性に着目し、日台のバイオベンチャーに投資するファンドの設立に奔走。中小機構、台湾政府ファンドの支援を受けて同ファンドが設立した2015年以降、台湾バイオベンチャーの発掘・投資業務を担う。2014年10月より現職。
 台湾は今、ビジネス面で大きな転換期にあります。シャープを買収した鴻海精密工業や世界最大の半導体受託製造(ファウンドリー)であるTSMC(台湾積体電路製造)などの名は、日本でも多くのビジネスパーソンがご存じでしょう。ただ、エレクトロニクス産業の一本足打法から抜け出すために、台湾は国を挙げて「バイオ先進国」に生まれ変わろうとしています。ますます経済力を高める中国に対して自分たちの存在感を示し続けるためにも、中国生産モデルや中国市場だけに頼らない、強い「経済」と「経済的自主」が不可欠だと冷徹に見極めているからです。旗振り役は、自身もバイオベンチャーの経営者であった蔡英文総統です。米国の製薬企業で経験を積んだ台湾人が次々と帰国して、バイオベンチャーの創業ラッシュが続いています。台湾駐在歴10年の著者がベンチャーキャピタリストの視点から、台湾のバイオテク業界の最新動向をお伝えしていきます。

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