本村聡士(もとむら さとし)
大和企業投資株式会社 台北事務所所長
大和企業投資株式会社 台北事務所所長

台湾は今、ビジネス面で大きな転換期にあります。シャープを買収した鴻海精密工業や世界最大の半導体受託製造(ファウンドリー)であるTSMC(台湾積体電路製造)などの名は、日本でも多くのビジネスパーソンがご存じでしょう。ただ、エレクトロニクス産業の一本足打法から抜け出すために、台湾は国を挙げて「バイオ先進国」に生まれ変わろうとしています。ますます経済力を高める中国に対して自分たちの存在感を示し続けるためにも、中国生産モデルや中国市場だけに頼らない、強い「経済」と「経済的自主」が不可欠だと冷徹に見極めているからです。旗振り役は、自身もバイオベンチャーの経営者であった蔡英文総統です。米国の製薬企業で経験を積んだ台湾人が次々と帰国して、バイオベンチャーの創業ラッシュが続いています。台湾駐在歴10年の著者がベンチャーキャピタリストの視点から、台湾のバイオテク業界の最新動向をお伝えしていきます。