日本の株式市場に上場するバイオスタートアップの株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年12月17日金曜日の終値が、前週の週末(12月10日)の終値に比べて上昇したのは11銘柄、不変だったのは2銘柄、下落したのは35銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はステムリムで+60.7%だった。第2位はスリー・ディー・マトリックスで+17.3%、第3位はサンバイオで+10.4%と続いた。一方、下落率では大きい順にセルソースが-39.4%、リボミックが-12.7%、メディシノバが-12.3%となっている。

ステムリム(821円、前週比+60.7%)

 12月14日から16日にかけてストップ高が続き、16日は1069円(前日比+59.8%)を付けた。ステムリムが保有する再生誘導医薬のレダセムチド(HMGB1ペプチド)について、権利導出先の塩野義製薬が13日、脳梗塞急性期を対象とした第2相臨床試験で主要評価項目を達成したと発表したことが材料となった。ストップ高が2営業日続いたことで、東証が2020年6月に設けた新ルールによって、3営業日目の16日は値幅制限が4倍となり、669円から一気に+400円の上昇となった。

 これだけの上昇が見られた背景としては、脳梗塞急性期への効果に対する市場の期待値が低かったことが挙げられる。ある市場関係者は、「表皮水疱症に対する承認申請が延期となり、脳梗塞急性期も結果発表が予定されていた第3四半期が終わりに近づき、『ダメだったんじゃないか』との観測が広がっていた」と話す。あきらめムードの中で出たサプライズが、低迷していた株価を大幅に押し上げた格好だ。

 また、塩野義製薬が「グローバル」の第3相臨床試験を実施する方針を明言したこともプラスに働いている。グローバルの開発には大規模な投資が必要になるが、そのゴーサインの判断を塩野義製薬が下した点は大きい。レダセムチドは表皮水疱症と急性期脳梗塞以外にも、変形性膝関節症で医師主導治験(第2相相当)が患者組み入れ完了、慢性肝疾患で医師主導治験(第2相相当)が進行中のステータスにある。これらの疾患はいずれも患者数が多いため、期待が高まる要因となっている。

 ただし、現時点では試験結果のデータが発表されておらず、医療現場にもたらすインパクトの大きさはまだ読めない。塩野義製薬の広報は「今後、データは発表する予定で、R&D説明会や学会など、どういった形がいいか検討中だ」と話している。

サンバイオ(1132円、前週比+10.4%)

 12月16日にストップ高となる1097円(前日比+15.8%)を付けた。同社が15日の引け後に開示した第3四半期決算短信において、同社が開発する細胞医薬SB623の慢性期外傷性脳損傷(TBI)に対するプログラムが、「先駆け総合評価相談」のフェーズにあると公表されたことが材料視されている。

 同社のTBI向けプログラムは、2018年11月に第2相臨床試験で良好な成績を収めたことにより、先駆け審査指定制度の対象品目に選ばれ、日本医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議が進んでいる。当初、サンバイオは承認申請の時期を2020年1月期中としていたが、これまでに2度延期され、その動向が注目されていた。今回、先駆け総合評価相談のフェーズに入っていることがはっきりしたのは明るい材料だ。

 ただ、1つ気がかりなのは、いつ先駆け総合評価相談のフェーズに入ったかが明確にされていない点だ。アナリスト向け説明会でも、同社はその点に対する回答を避けたという。ある市場関係者は「実際は、以前から先駆け総合評価相談に入っていたのではないか。2018年11月にTBIの第2相臨床試験成功を発表して、もう3年以上たつ。もしこの第3四半期に初めて先駆け総合評価相談になったのであれば、これまで何をしていたのか、何をもって申請時期の目安を2度にわたって発表していたのか、となってしまう」と指摘する。

 これまでサンバイオは、先駆け総合評価相談のフェーズに入っているか否かを決算説明会で問われても、「当局との協議事項に該当するため開示できない」と、頑なな姿勢を貫いてきた。もし入っていなければ否定すればいいところ、そうしなかったのは、既に先駆け総合評価相談に入っていたからではないか、とみられているのだ。もしそうなら、特に今回も進展がなかったということになりかねない。

 また、一転して開示に踏み切ったのはなぜか、という疑問も持たれている。想定されるシナリオとして、既に先駆け総合評価相談のフェーズに入っていたが、株価の上昇を狙ってこのタイミングで開示した、ということも考えられなくはない。その先には、当然のごとく資金調達が連想される。もちろん、まだ先駆け総合評価相談に入っていないことを公表しにくかっただけかもしれないが、こうした疑念や臆測が生じる余地をなくすためにも、開発状況を適切に開示する姿勢を同社に求める声は少なくない。

セルソース(4560円、前週比-39.4%)

 12月14日から17日にかけて、大幅に値を崩している。13日の引け後に2021年10月期の決算が発表され、翌日から市場が反応した。創業以来5期連続の増収増益を達成するなど好決算と呼ぶにふさわしい内容だったが、2022年10月期の業績予想が保守的であったことから、成長性に陰りが見え始めたとして売りを浴びせられている。

 確かに、2022年10月期の業績予想からは、伸びの鈍化は顕著だ。売上高の伸びは前年比+16.0%、営業利益は+12.7%と予想しており、それぞれ2021年10月期の+57.5%、+138.8%といった数字と比べれば見劣りする。

 ただ、事業に何らかの失敗や後退が見られたわけではない。また、見通しが保守的であることは同社経営陣も認識しているようだ。セルソースは今後、海外事業として住友商事と提携し、マレーシアへの進出を目指す。また、エクソソーム事業も1000万円程度ではあるが、研究用として売り上げを計上し始めており、新たな事業の成長性に期待する買いが売りと拮抗するタイミングも近く訪れそうだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
12月10日12月17日
1ステムリム51182160.7%
2スリー・ディー・マトリックス32337917.3%
3サンバイオ1025113210.4%
4窪田製薬ホールディングス1551592.6%
5キャンバス1791821.7%
6ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ5976031.0%
7タカラバイオ262326481.0%
8クリングルファーマ6426470.8%
9ステラファーマ5795820.5%
10ファーマフーズ215121620.5%
11シンバイオ製薬118011810.1%
12テラ1011010.0%
13リプロセル2222220.0%
14ユーグレナ722721-0.1%
15ヘリオス12321228-0.3%
16DNAチップ研究所450448-0.4%
17ブライトパス・バイオ113112-0.9%
18ペルセウスプロテオミクス367363-1.1%
19オンコリスバイオファーマ627618-1.4%
20キッズウェル・バイオ477470-1.5%
21フェニックスバイオ537527-1.9%
22ソレイジア・ファーマ102100-2.0%
23ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング585571-2.4%
24ラクオリア創薬905880-2.8%
25トランスジェニック458445-2.8%
26カイオム・バイオサイエンス203195-3.9%
27オンコセラピー・サイエンス7370-4.1%
28カルナバイオサイエンス957916-4.3%
29プレシジョン・システム・サイエンス497475-4.4%
30ステムセル研究所47604530-4.8%
31そーせいグループ19551855-5.1%
32レナサイエンス786744-5.3%
33アンジェス389368-5.4%
34ナノキャリア277262-5.4%
35メディネット5451-5.6%
36デ・ウエスタン・セラピテクス研究所234221-5.6%
37セルシード208196-5.8%
38ペプチドリーム27792618-5.8%
39ファンペップ267251-6.0%
40ジーエヌアイグループ14061317-6.3%
41免疫生物研究所407381-6.4%
42モダリス697652-6.5%
43メドレックス139130-6.5%
44総医研ホールディングス348322-7.5%
45Delta-Fly Pharma14301295-9.4%
46メディシノバ365320-12.3%
47リボミック895781-12.7%
48セルソース75304560-39.4%