日本の株式市場に上場するバイオスタートアップ企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年11月26日金曜日の終値が、前週の週末(11月19日)の終値に比べて上昇したのは13銘柄、下落したのは35銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はリボミックで、+57.0%だった。第2位はデ・ウエスタン・セラピテクス研究所で+34.1%、第3位はそーせいグループで+29.4%と続いた。一方、下落率では大きい順にシンバイオ製薬が-16.7%、サンバイオが-12.0%、メドレックスが-10.9%となっている。

リボミック(581円、前週比+57.0%)

 2021年11月22日から、4営業日連続で上昇した。加齢黄斑変性(wet AMD)を対象に開発を進めているRBM-007に対する期待感の高まりが、今週の株価値上がり率1位に同社株を押し上げている。

 材料となったのは、11月18日に同社が開催した第2四半期説明会での内容だ。FGF2阻害核酸アプタマーであるRBM-007について、加齢黄斑変性を対象とした第2相臨床試験(TOFU試験)が米国で進行中だ。この試験のトップラインデータを、2022年1月に公表予定であることを説明会で明かした。

 その発表予定の場が、世界のバイオ業界関係者が注目するイベント、J.P. Morgan Annual Healthcare Conferenceであったことが期待感に拍車をかけている。J.P. Morganのカンファレンスでは提携交渉の場も設けられるため、導出契約につながりやすい。TOFU試験は9月30日に中間ブラインドデータが米網膜学会で公表されており、その結果は成功を予感させる内容だった。

 さらに、リボミックに対して現段階で複数のメガファーマを含む製薬企業から提携の打診や問い合わせなどが来ており、結果判明前の提携提案もあったことなどを説明会の質疑応答で明らかにした。この内容がリボミックのウェブサイトにアップされ、RBM-007の良好な試験結果に対する自信の裏付けと捉えられているようだ。

 加齢黄斑変性は失明に至る疾患で、既存薬の「アイリーア」が売上高83億ドル(約9500億円)、「ルセンティス」が34億ドル(約3900億円)など、上市すれば大ヒット薬となる可能性が高い。加えて、アイリーア・ルセンティスともにVEGF阻害薬であり、FGF2阻害薬であるRBM-007は作用機序が異なるため、これに上乗せすることで相乗効果が期待できる。単剤だけでなく併用療法のチャンスがあるところも評価されるポイントとなっている。

そーせいグループ(2232円、前週比+29.4%)

 2021年11月22日に、同社が保有するムスカリン受容体作動薬プログラムについて、米Neurocrine Biosciences社に対してライセンス導出および研究開発に関する契約を締結したと発表した。契約一時金は1億ドル(約114億円)、マイルストーンは最大26億ドル(約2973億円)に上り、総額3000億円超の大型契約となった。

 契約の詳細は既報の通りなので省くが、金額もさることながら、その契約内容に対する市場の評価も高い。まず挙げられるのが、M1受容体作動薬について、日本での開発の権利をそーせいが手元に残している点だ。仮にNeurocrine社が開発を遅延させたとしても、そーせい自身の手で日本でムスカリン受容体作動薬プログラムを前に進めることができる。

 また、大企業ではなく神経疾患に特化したNeurocrine社を選んだのもポイントだ。売上高1000億円規模のNeurocrine社にとって安くない買い物で、獲得した以上、大企業よりも積極的な姿勢で開発を進めるに違いない。ある市場関係者は「あえて中小規模のNeurocrine社を選び、さらにM1の権利を手元に残したところに、そーせいの『塩漬けを許さない』という強い意思を感じる」と評価する。

 さらに、契約期間を本契約のリリース文言に入れている点に注目だ。契約期間を(1)対象特許権などの特許期間満了日、(2)法令上の独占期間の終了日、(3)市販開始から10年経過後──のいずれか遅い日までとした。これにより、最低でも市販後の10年間は権利が保証され、将来の収益の見通しが立てやすくなっている。「ムスカリン薬プログラムはアイルランドAllergan社(現、米AbbVie社)に導出してから5年以上が経過しており、特許期間のリスクが意識されるところ。上市に成功してすぐに特許切れするのではとの不安もある中で、10年間は守られることが明示されたのは大きい」(同)。市場に安心感を与える材料になっているようだ。

 今後のそーせいに対する注目点としては、M4受容体作動薬の第2相試験入りが順調に進むかどうか、あるいは米Pfizer社に導出しているプログラムの第2相試験入りなどが挙げられる。また、東証のプライム市場への移行が計画されているが、今回の契約で数字上のクライテリアを達成した。もっとも、東証が収益の継続性を重視すれば、移行が保留される可能性がある。継続的に収益を上げるには製品を持つ企業を買収するのが手っ取り早いが、M&Aの相場は加熱し過ぎている。そーせいがどのような手を打ってくるのか、注目したい。

デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(283円、前週比34.1%)

 11月26日に283円(前日比+39.4%)のストップ高を付けた。同社はROCK阻害薬のリパスジル(単剤の商品名はグラナテック)を開発し、権利を興和に導出していたが、興和がリパスジルとα2作動薬のブリモニジンとの配合薬(K-232)を日本で承認申請したことが11月25日に発表され、買いが集まった。ROCK阻害薬とα2作動薬を組み合わせた配合薬は世界初となる。

 これまでK-232については、興和による第3相試験が2020年2月に始まってから、試験実施中とのステータスが変わっておらず、今回の承認申請はサプライズとなった。ここのところ株価が低下していたため、揺り戻しが大きかったものと思われる。

 参天製薬の調べによると、緑内障のグローバル市場は2020年の7300億円から、2030年には1兆3000億円に上ると考えられており、成長性は高い。リパスジルおよびその配合薬も、世界展開に成功すれば数百億円規模の売上高が期待できる。デ・ウエスタン・セラピテクス研究所によれば、2018年の国内市場は950億円で、うちリパスジルのシェアは6%だ。配合薬の上市に成功すれば、その利便性によってシェアは2桁台に伸びると考えられ、興和として国内で100億円程度の売上高も視野に入るだろう。とはいえ、リパスジルのロイヤルティー率は5%に満たないとみられ、配合薬もそれを上回ることはないと考えられる。デ・ウエスタン・セラピテクス研究所が収益を上げるには興和の積極的な海外展開が期待されるところだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
11月19日11月26日
1リボミック37058157.0%
2デ・ウエスタン・セラピテクス研究所21128334.1%
3そーせいグループ1725223229.4%
4総医研ホールディングス3433759.3%
5メディシノバ3844034.9%
6フェニックスバイオ5585844.7%
7ペプチドリーム270528164.1%
8ジーエヌアイグループ147015263.8%
9キッズウェル・バイオ4975133.2%
10クリングルファーマ6086222.3%
11ブライトパス・バイオ1171191.7%
12キャンバス2022041.0%
13リプロセル2222240.9%
14ステムリム546545-0.2%
15セルシード223222-0.4%
16ソレイジア・ファーマ107106-0.9%
17ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング619613-1.0%
18ステムセル研究所54605390-1.3%
19レナサイエンス891877-1.6%
20ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ656645-1.7%
21プレシジョン・システム・サイエンス524515-1.7%
22オンコリスバイオファーマ652640-1.8%
23スリー・ディー・マトリックス355347-2.3%
24ナノキャリア302294-2.6%
25タカラバイオ27272651-2.8%
26ペルセウスプロテオミクス465452-2.8%
27窪田製薬ホールディングス175170-2.9%
28ステラファーマ610591-3.1%
29免疫生物研究所435420-3.4%
30ファンペップ302291-3.6%
31オンコセラピー・サイエンス8077-3.8%
32カイオム・バイオサイエンス225215-4.4%
33ラクオリア創薬969924-4.6%
34DNAチップ研究所512488-4.7%
35カルナバイオサイエンス1008960-4.8%
36メディネット6057-5.0%
37トランスジェニック487458-6.0%
38Dlta-Fly Pharma13231240-6.3%
39テラ10396-6.8%
40ファーマフーズ27082500-7.7%
41アンジェス462424-8.2%
42セルソース75506860-9.1%
43ユーグレナ949861-9.3%
44モダリス867781-9.9%
45ヘリオス14791328-10.2%
46メドレックス156139-10.9%
47サンバイオ12311083-12.0%
48シンバイオ製薬17741477-16.7%