日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年11月12日金曜日の終値が、前週の週末(11月5日)の終値に比べて上昇したのは18銘柄、下落したのは29銘柄、不変だったのは1銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はステラファーマで、+8.7%だった。第2位はテラで+8.4%、第3位はキッズウェル・バイオで+6.5%と続いた。一方、下落率では大きい順にタカラバイオが-13.1%、ペルセウスプロテオミクスが-11.1%、リボミックが-9.0%となっている。

シンバイオ製薬(1047円、前週比+4.8%)

 2021年11月11日に発表した第3四半期決算が材料となり、12日に1047円(前日比+16.7%)のストップ高まで買われた。同社は2021年1月~9月の累計売上高が55.5億円、同営業利益が4.2億円となり、1月~9月累計での黒字化が達成されたことが評価されたものとみられる。

 同社の株価はバイオセクターの中でも特に業績に敏感だ。1月~6月の上半期業績が発表された8月上旬には、前年同期に比べて赤字が10分の1に圧縮され、6月単体では黒字化を達成するなどまずまずの業績だった。にも関わらず、会社の想定よりも売上高が3億~4億円ほど下振れしていたためにストップ安となり、2000円近辺だった株価が1000円近くまで一気に急落した経緯がある。

 今回も、第3四半期決算発表が近づくにつれてじり安となっていた。同社によると、ここのところ業績の状況を問う質問が山のように寄せられ、決算の内容を不安視する株主が相当数いたようだ。同社が回答を控えていたことから、見切りで売られた面もあるとみられ、そうした層の買い戻しがストップ高につながったと思われる。

 上半期の不調はエーザイが販売していたトレアキシンの市中在庫消費や、COVID-19による受診抑制などが要因となっていた。また利益率が30%と低いフリーズドライ(FD)製剤が供給されていた面もあった。新型製剤の液剤(RTD製剤)は利益率が高く、その浸透が進んでおり、現在は75%前後まで利益率が高まっている。営業活動は上半期のマイナス分を取り返すペースで推移しており、同社は期初に掲げた通期売上高91.5億円、営業利益13.6億円は据え置いていることから、見直しの買いも、まだまだありそうな株価水準だ。

テラ(103円、前週比+8.4%)

 10月22日に監査法人から監査契約を解除されていたテラは、新たな会計監査人を探していたが見つからず、10月29日に第3四半期報告書の提出を断念すると発表していた。これにより監理銘柄入りして上場廃止に向けたカウントダウンが始まっていたが、テラは11月12日に監査法人が決まったと発表、12月15日の期限までに第3四半期報告書を提出できる可能性が出てきた。首の皮一枚でつながった状態と言える。

 新たに契約したのはHLB Meisei有限責任監査法人。監査法人は、監査意見を表明できることが見通せなければ、監査を受嘱してはならないといった業界内の規則があるという。つまり、残り約1カ月での報告書提出に一定の見通しを立てているということだ。担当者は「報告書作成まで1カ月というのは一般論として非常に厳しく、前例としてもなかなか無いが、全力を尽くす」と語っている。

 なお、報告書を提出できたとしても、事業の継続性という面での課題は残る。テラの本業は樹状細胞ワクチン療法だが、売上高は2019年度、2020年度ともに前年比-60%超と、非常に厳しい業績が続いている。2020年度の売上高はわずか7600万円で、営業損失は10億円以上に上る。新たなパイプラインを構築するにも資金が必要だが、現預金は6月末時点で3.9億円と、2020年12月末に比べて半減した。ここから巻き返しが可能なのか、引き続き注目したい。

ペプチドリーム(2830円、前週比-0.4%)

 11月12日に2830円(前日比+12.1%)を付けた。関連会社のペプチエイドが11月11日、COVID-19治療薬候補のPA-001について、非臨床試験の完了と2022年1月からの臨床試験入りの見通しを発表したことが材料視された。当初の予定だった年内には間に合わなかったものの、さほど大きな遅延ではなく、またパイプラインの進展が待望されていたため、大きく反応したようだ。

 PA-001は、スパイク蛋白質のS2領域をターゲットにしており、活性部位とは異なる部位に作用するアロステリック阻害により宿主細胞に対するウイルスの侵入を防ぐ。S2領域はコロナウイルス全般で保存性が高く、PA-001はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株に対して抗ウイルス活性が確認されているという。多くの既存のCOVID-19向け抗体医薬はS1領域をターゲットとしており、作用機序が異なることからそれらとの併用による相乗効果も期待できるという。臨床試験は、いわゆる企業治験ではなく臨床研究で進める。早期に臨床データを取得して開発を迅速化するためだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
11月5日11月12日
1ステラファーマ5526008.7%
2テラ951038.4%
3キッズウェル・バイオ4634936.5%
4シンバイオ製薬99910474.8%
5メディネット63664.8%
6オンコリスバイオファーマ6326513.0%
7カルナバイオサイエンス9759972.3%
8免疫生物研究所4474572.2%
9Delta-Fly Pharma122712532.1%
10スリー・ディー・マトリックス2922982.1%
11そーせいグループ176718011.9%
12ステムセル研究所523053301.9%
13総医研ホールディングス3203261.9%
14リプロセル2292321.3%
15ラクオリア創薬9829931.1%
16ジーエヌアイグループ160216170.9%
17セルシード2322340.9%
18メディシノバ3984000.5%
19オンコセラピー・サイエンス79790.0%
20モダリス10041003-0.1%
21ペプチドリーム28402830-0.4%
22ステムリム543541-0.4%
23ブライトパス・バイオ131130-0.8%
24レナサイエンス740733-0.9%
25キャンバス203200-1.5%
26ヘリオス16991671-1.6%
27デ・ウエスタン・セラピテクス研究所230226-1.7%
28ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ756741-2.0%
29DNAチップ研究所530519-2.1%
30セルソース72507090-2.2%
31プレシジョン・システム・サイエンス576563-2.3%
32窪田製薬ホールディングス189184-2.6%
33サンバイオ12251185-3.3%
34カイオム・バイオサイエンス238230-3.4%
35メドレックス164158-3.7%
36ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング653626-4.1%
37ナノキャリア316302-4.4%
38ユーグレナ878833-5.1%
39ソレイジア・ファーマ113107-5.3%
40ファーマフーズ26792510-6.3%
41トランスジェニック548513-6.4%
42フェニックスバイオ681637-6.5%
43クリングルファーマ666617-7.4%
44ファンペップ337311-7.7%
45アンジェス507462-8.9%
46リボミック399363-9.0%
47ペルセウスプロテオミクス532473-11.1%
48タカラバイオ32002782-13.1%