日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年10月15日金曜日の終値が、前週の週末(10月8日)の終値に比べて上昇したのは27銘柄、下落したのは20銘柄、不変だったのは1銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はレナサイエンスで、+15.0%だった。第2位はナノキャリアで+9.5%、第3位はジーエヌアイグループで+9.4%と続いた。一方、下落率では大きい順にテラが-21.3%、ステラファーマが-16.9%、ペプチドリームが-9.1%となっている。

テラ(148円、前週比-21.3%)

 10月13日に、東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されるとともに、上場契約違約金2000万円の請求を受けたと発表し、大幅に下落した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の開発をめぐって虚偽の発表を繰り返したことで、大きなペナルティーを科されることになった。

 特設注意市場銘柄とは、適時開示の規定に違反したり、有価証券報告書などに虚偽の記載を行ったりした企業が対象となる。指定から1年以内に、内部管理体制の状況などについて記載した「内部管理体制確認書」を提出することが義務づけられる。改善がなされなかったと東証が認める場合、上場が廃止される。

 上場廃止リスクが意識されたためか、株価は前週末比で20%以上も下落した。しかし同社は2021年3月に、金融商品取引法違反の疑いで証券取引等監視委員会によって強制調査を受けており、また8月には虚偽の発表を繰り返した経緯をまとめた報告書を自ら公表した。にもかかわらず、ここまで株価がさほど下がらず維持されていたのは驚きだ。東証の処分とは別に、強制調査で不正が明らかとなった場合は行政処分や捜査当局への告発が行われるが、その行方はまだ分からない。東証の処分が明けたとしても、テラの前途は多難だ。

レナサイエンス(873円、前週比+15.0%)

 10月13日にストップ高となる864円を付けた。翌日も高騰し一時は1000円を超えたが、後場に崩れて前日比マイナスで引けた。その後800円台中盤で推移している。

 高騰のきっかけとなったのは岸田文雄首相の国会での発言で、COVID-19に対する国産の経口治療薬開発を支援する方針を掲げたことによる。レナサイエンスは、同社取締役会長でもある東北大学の宮田敏男教授らが創製したプラスミノーゲン活性化抑制因子1(PAI-1)阻害薬のRS5614を、COVID-19治療薬として開発を進めている。軽症から中等症の肺炎を伴うCOVID-19患者を対象に、第2相臨床試験が日本、米国、トルコの3地域で別々に実施されている。2021年3月には第一三共が同社と優先交渉権を得るオプション契約を交わし、話題を呼んだ。

 ただし、PAI-1阻害薬のターゲットはウイルスではなく、血栓症や肺線維化などの合併症だ。これらに対して抑制効果が得られれば有望だが、ここは多数の既存薬がドラッグ・リポジショニングでひしめき合う領域でもある。安全性も確認されている既存薬を駆逐して同薬が選ばれるようになるには、有効性および安全性でかなり高いハードルを超えなければならない。

スリー・ディー・マトリックス(316円、前週比+4.6%)

 同社は自己組織化ペプチドによる創傷治癒剤や止血剤などの研究開発を手がける。10月11日と13日に、材料が相次いだ。11日は米国で、口腔粘膜炎向けの創傷治癒剤として医療機器クラスIIの承認を受けた。また13日は日本で、消化器内視鏡治療時の出血に対する局所止血材「ピュアスタット」の保険適用が、中央医療社会保険協議会(中医協)で審議され、承認された。

 これにより今週、同社株価は大幅な値動きを見せた。まずは11日に382円(前日比+26.4%)まで高騰し、翌日に329円まで戻した。そして13日に再度380円まで値上がりし、週末は316円に落ち着いている。結果、前週末比4.6%の値上がりとなった。

 11日の米国での承認自体は、同社の売上高に対するインパクトがさほど大きくない。がん化学療法や放射線療法に伴う口腔粘膜炎の治療は、米国市場規模が数十億円程度で、同社の売上高への貢献も数億円台の前半といったレベルとなりそうだ。これを足がかりに、同社はより大きな放射線性大腸炎の市場(50億~100億円)を狙う。口腔粘膜炎は放射線性大腸炎と類似しているため、その承認によって放射線性大腸炎への承認確度が高まったといえる。最終的な本丸は炎症性腸疾患(IBD)の領域で、ここは治療薬を含めて2兆円レベルの市場が存在する。同社は2022年に日本、米国、欧州でそれぞれIBDの領域で臨床研究あるいは企業治験を開始し、適応拡大に挑む計画だ。

 一方、13日の日本での保険収載はそこそこ大きい。1ml当たり1万3200円という価格は外国において平均1万6000円程度で販売する同社にとって想定内だろう。同社は中期経営計画で2023年4月期の総売上高を55億円、営業利益を2.5億円の黒字としているが、そのうち日本での売上高を5.3億円と見込んでおり、ほぼ10%の売上高を日本市場でカバーする考えだ。その翌年度は日本で13.5億円を見込んでおり、中医協で公表されたピーク時(10年目)売上高14.9億円は早期に超えていく可能性が高そうだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
10月8日10月15日
1レナサイエンス75987315.0%
2ナノキャリア2953239.5%
3ジーエヌアイグループ161317649.4%
4サンバイオ114812408.0%
5オンコリスバイオファーマ107411597.9%
6メディシノバ4064357.1%
7セルソース18330194205.9%
8プレシジョン・システム・サイエンス6276625.6%
9フェニックスバイオ6366695.2%
10ユーグレナ8328724.8%
11デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2372484.6%
12スリー・ディー・マトリックス3023164.6%
13タカラバイオ286930004.6%
14カイオム・バイオサイエンス2262364.4%
15リボミック3433584.4%
16シンバイオ製薬100110393.8%
17Delta-Fly Pharma119812393.4%
18ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング6706913.1%
19DNAチップ研究所5435592.9%
20ブライトパス・バイオ1391432.9%
21ペルセウスプロテオミクス5705842.5%
22キッズウェル・バイオ5045162.4%
23ソレイジア・ファーマ1191211.7%
24窪田製薬ホールディングス1931961.6%
25メディネット68691.5%
26リプロセル2602631.2%
27メドレックス1671680.6%
28オンコセラピー・サイエンス83830.0%
29ラクオリア創薬10101009-0.1%
30ヘリオス19551951-0.2%
31カルナバイオサイエンス10541050-0.4%
32免疫生物研究所473471-0.4%
33セルシード232231-0.4%
34ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ782778-0.5%
35クリングルファーマ898891-0.8%
36ステムセル研究所52205170-1.0%
37総医研ホールディングス339334-1.5%
38トランスジェニック584575-1.5%
39モダリス12321213-1.5%
40そーせいグループ19771944-1.7%
41ファーマフーズ26902596-3.5%
42ステムリム625601-3.8%
43ファンペップ371356-4.0%
44キャンバス257246-4.3%
45アンジェス622595-4.3%
46ペプチドリーム29832711-9.1%
47ステラファーマ686570-16.9%
48テラ188148-21.3%