日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年10月8日金曜日の終値が、前週の週末(10月1日)の終値に比べて上昇したのは4銘柄、下落したのは43銘柄、不変だったのは1銘柄だった。今週も連日の大幅な株安に引っ張られて、バイオ関連銘柄は全体的に軟調だった。

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 この間、上昇率の第1位はそーせいグループで、+2.1%だった。第2位はヘリオスで+1.2%、第3位はファーマフーズで+0.7%と続いた。一方、下落率では大きい順にペプチドリームが-16.1%、レナサイエンスが-14.3%、キッズウェル・バイオが-11.1%となっている。

ペプチドリーム(2983円、前週比-16.1%)

 今週のバイオ株の中で最大の注目銘柄は、ペプチドリームだろう。ここのところ株価の下落が続いており、ついに3000円を割り込んでしまった。同社の株価が3000円を割り込むのは2017年5月以来、約4年半ぶりとなる。あるアナリストは、「ペプチドリームの底は4000円だと踏んでいたが、まさか3000円を割るとは」とショックを隠さない。国内バイオスタートアップの雄であった同社の株価低迷は、バイオ株セクター全体に影響が波及する可能性があり、気がかりな状況となっている。

 明確な悪材料が発表されたわけではないにもかかわらず、下落が続く。2月には6000円を超えていたが、6月以降値下がりが続き、現在はその半分にまでなってしまった。主な要因は、パイプラインの進捗の乏しさにありそうだ。

 同社は2月に開いた決算説明会で、「2021年内に4~8本のパイプラインを臨床試験入りさせる」との目標を掲げた。臨床試験入りすれば上市への目算も立つし、提携パイプラインであればマイルストーンも入る。しかし、それが一向に進んでいない。8月に開いた決算説明会で、やや弱気の発言が出たのも下落に拍車をかけている。

 同社では、米Biohaven Pharmaceuticals社と共同開発する抗CD38ペプチド薬物複合体(CD38-ARM、自家NK細胞と併用)の第1/2相臨床試験の患者登録を進めている他、COVID-19に対する治療薬PA-001の2021年内の臨床試験入りを見込んでいるという。しかし、その2本以外の進捗が乏しい。8月の決算説明会の質疑応答でその点を問われると、この2本を引いた残り2~6本の臨床試験入りの実現見通しについて、同社は「(臨床試験入りできるのは)その前半(2、3本)に近づいている」と答え、目標の未達を感じさせた。2021年も残り3カ月を切った今、臨床試験入りはCD38-ARMの1本のみにとどまる可能性も考えられる。

 同社が創製したペプチドで治験入りしているのは、2016年スタートの米Bristol Myers Squibb社のパイプラインがあるが、これに関する進展はその後報告が無い。そのため、このパイプラインは塩漬け状態にあるとの見方が濃厚だ。臨床開発入りしたのはそれ以来無く、5年間で新たな臨床開発品目をほとんど生み出せていないことになる。同社の創薬プラットフォームに懐疑的な見方が出てきてもおかしくない状況といえる。期初目標である売上高110億円を達成できるかも含め、期末にかけて注視する必要がありそうだ。

アンジェス(622円、前週比-11.0%)

 2020年3月にCOVID-19ワクチンの開発を発表し、一躍コロナ銘柄の代表格となった同社だが、株価の下落が続いており、600円前後で推移していたコロナ禍以前の株価に近づいている。ワクチン開発への期待感から一時は2000円を超えた同社株の盛り上がりは、終焉を迎えつつある。

 アンジェスのワクチンに対する落胆が広がったのは6月上旬。日本医療研究開発機構(AMED)のシンポジウムなどで、第1/2相臨床試験の暫定データが公表されたが、2回接種した場合の中和抗体陽転率が60%(10例中6例)となり、米Pfizer社や米Moderna社のmRNAワクチン(いずれも90%台)に比べて大幅に低いことが明らかになった。中和抗体価は測定方法でばらつきが出やすいため比較は難しいものの、同社は2021年7月に高用量製剤で第1/2相臨床試験をやり直すと発表しており、効果の不十分さを証明した形となっている。さらに、第1/2相試験のデータは本来2020年末までに発表される予定だったが大幅に遅延しており、第2/3相試験のデータも初夏に発表される予定だったが、これも遅れている。理由は不明なままだ。

 このように同社のワクチン開発は先行き不透明感を増しているが、「ワクチンの開発に失敗しようが、アンジェスにとって大した問題ではない」という声があちこちで聞こえてくる。市場関係者の間では、同社のワクチン開発は資金調達を成功させるためのポーズに過ぎなかったという見方が強い。国庫から100億円以上の研究費を獲得している以上、開発に勤しむ姿を見せなければならないのだという。

 それよりも同社で注目されるのはゲノム編集技術だ。2020年にコロナ相場で株価が高騰している間に調達した資金を活用し、アンジェスはゲノム編集技術を持つ米EmendoBio社を買収した。これによる新たなパイプライン開発に期待が高まるが、今のところアンジェスによる具体的な開発方針は明らかにされていない。現状、一般投資家の間ではコロナワクチンのイメージが強く、ゲノム編集はその陰に隠れているが、もし開発プログラム決定が発表されれば再び人気が高まっていく可能性もあるだろう。

順位社名株価(終値)騰落率
10月1日10月8日
1そーせいグループ193619772.1%
2ヘリオス193119551.2%
3ファーマフーズ267126900.7%
4総医研ホールディングス3383390.3%
5セルシード2322320.0%
6ラクオリア創薬10121010-0.2%
7ステラファーマ688686-0.3%
8ソレイジア・ファーマ120119-0.8%
9メディネット6968-1.4%
10ナノキャリア301295-2.0%
11フェニックスバイオ650636-2.2%
12クリングルファーマ919898-2.3%
13窪田製薬ホールディングス198193-2.5%
14シンバイオ製薬10291001-2.7%
15ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ805782-2.9%
16DNAチップ研究所559543-2.9%
17カイオム・バイオサイエンス233226-3.0%
18免疫生物研究所488473-3.1%
19プレシジョン・システム・サイエンス648627-3.2%
20ユーグレナ860832-3.3%
21ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング693670-3.3%
22サンバイオ11891148-3.4%
23カルナバイオサイエンス10921054-3.5%
24スリー・ディー・マトリックス313302-3.5%
25テラ195188-3.6%
26オンコリスバイオファーマ11171074-3.8%
27ファンペップ386371-3.9%
28デ・ウエスタン・セラピテクス研究所247237-4.0%
29セルソース1911018330-4.1%
30リボミック358343-4.2%
31メディシノバ426406-4.7%
32Delta-Fly Pharma12651198-5.3%
33メドレックス177167-5.6%
34オンコセラピー・サイエンス8883-5.7%
35ペルセウスプロテオミクス610570-6.6%
36ステムセル研究所56105220-7.0%
37ジーエヌアイグループ17501613-7.8%
38リプロセル283260-8.1%
39ステムリム685625-8.8%
40タカラバイオ31452869-8.8%
41トランスジェニック648584-9.9%
42モダリス13781232-10.6%
43キャンバス288257-10.8%
44ブライトパス・バイオ156139-10.9%
45アンジェス699622-11.0%
46キッズウェル・バイオ567504-11.1%
47レナサイエンス886759-14.3%
48ペプチドリーム35552983-16.1%