日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年10月1日金曜日の終値が、前々週の週末(9月17日)の終値に比べて上昇したのは5銘柄、下落したのは43銘柄だった。今週は中国発の株安の影響がバイオ関連銘柄にも波及し、株価は全般的に低調だった。

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 この間、上昇率の第1位はステラファーマで、+25.1%だった。第2位はスリー・ディー・マトリックスで+19.0%、第3位はジーエヌアイグループで+12.0%と続いた。一方、下落率では大きい順にキッズウェル・バイオが-19.9%、ペルセウスプロテオミクスが-15.7%、総医研ホールディングスが-9.9%となっている。

 なお、9月24日にレナサイエンスが上場し、初値は976円、10月1日終値は886円で、公開価格の670円を上回る水準で推移している。

ステラファーマ(688円、前々週比+25.1%)

 株式市場の地合いが非常に悪い中、強い値動きを見せたのがホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用の薬剤を製造販売するステラファーマだ。8月30日~9月3日の週に値上がり率1位となっていた(431円から505円、前週比+17.2%)が、今回も引き続き好調をキープした。9月27日に608円(前日比+12.0%)を付けたが、その値上がりの材料としては、26日にテレビ番組でホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が紹介されたことが挙げられる。放射線被曝が非常に少ない治療法として評価されていると報じられ、また他のがん種に対する適応拡大への期待も語られたことから、人気銘柄化しているようだ。

リボミック(358円、前々週比+2.6%)

 wet型の加齢黄斑変性(AMD)を対象に同社が開発を進めている核酸アプタマーのRBM-007について、臨床試験の好調な進捗を期待させるデータが公表された。AMDの標準薬であるアイリーアが奏効しない患者86人を対象に行われているTOFU試験について、9月30日に暫定的中間ブラインドデータが米国網膜学会で発表された。それによると、主要評価項目(16週後の視力平均変化測定)を完了した約50人のうち、約70%が視力の改善または安定が得られたという。試験はアイリーア群、RBM-007群、アイリーア+RBM-007群に分けて実施されている。

 ただし、公表されたのはブラインドデータであり、約50人のうち、どのアームが何人含まれているかなどの詳細は不明なため、薬効が得られたとは判断できない。例えばアイリーア群の多くで視力が改善または安定した可能性もあるからだ。とはいえ、アイリーアを使用しても奏効せず悪化する患者が対象であることからすると、被験者の7割が改善または安定という結果は、RBM-007の薬効を示した可能性が高いと予想するのに十分な説得力を持つ。

 TOFU試験と、TOFU試験完了者を対象としたエクステンション試験(RAMEN試験)は2021年12月に終了する予定で、トップラインデータは2022年3月に公表される予定。その結果をもって、導出契約締結および第3相試験の開始まで持っていきたいところだ。

ジーエヌアイグループ(1750円、前々週比+12.0%)

 9月30日に1644円(前日比+5.5%)を付けた。米Jefferies 証券が同社に関するカバレッジを開始して調査リポートを公表、目標株価として2500円を設定したことから上昇したものとみられる。肺線維症治療薬(ピルフェニドン)の中国における売り上げが好調であることに加え、ジーエヌアイが資金を拠出して設立された蛋白質分解誘導薬のスタートアップ、米Cullgen社の創薬活動が順調に推移していることなどが評価されている。

 Cullgenは、E3リガーゼを用いてユビキチン・プロテアソーム系を介した蛋白質分解を促進する、蛋白質分解誘導薬の研究開発を進めている。対象はがん、痛み、自己免疫疾患としており、同社は候補薬の治験開始申請を2021年の後半に提出する方針で、そのイベント発生に対する期待感の高まりも背景にありそうだ。

 なお、肝線維症治療薬のF351(ヒドロニドン)については、中国当局との協議の結果、第3相試験として248人を対象とした3年間の試験が計画されている。第3四半期中(9月末まで)に開始が予定されていたが、まだアナウンスされていないため、これが直近のイベントになりそうだ。

ステムリム(685円、前々週比-2.0%)

 同社の主力パイプラインであるレダセムチドの栄養障害型表皮水疱症に対する開発について、承認申請が延期される見込みとなった。導出先の塩野義製薬が9月29日に開催したR&D説明会で、当局との協議の結果、追加の臨床試験を要求されたことが明らかになった。レダセムチドは2017年から2020年にかけて第2相相当の医師主導治験および企業治験が行われ、患者9例中7例で有効、うち4例は著効と判断された。しかし、さらなる有効例の積み上げが必要だという。

 このため、承認申請が1年以上後ろ倒しになる可能性が出てきた。追加試験の内容にもよるが、ステムリムにとってはロイヤルティーの計上などが遅れるため痛手となる。ただ、これまで承認申請に向けた具体的なハードルが投資家には見えていなかったが、追加試験をクリアすれば良いことが分かったのはプラスだろう。今回の発表では、同社の株価はほとんど動かなかった。

順位社名株価(終値)騰落率
9月17日10月1日
1ステラファーマ55068825.1%
2スリー・ディー・マトリックス26331319.0%
3ジーエヌアイグループ1563175012.0%
4トランスジェニック58864810.2%
5リボミック3493582.6%
6カルナバイオサイエンス10971092-0.5%
7メドレックス178177-0.6%
8フェニックスバイオ657653-0.6%
9メディシノバ430426-0.9%
10オンコセラピー・サイエンス8988-1.1%
11窪田製薬ホールディングス201198-1.5%
12クリングルファーマ936919-1.8%
13ブライトパス・バイオ159156-1.9%
14ステムリム699685-2.0%
15ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング709693-2.3%
16免疫生物研究所500488-2.4%
17テラ200195-2.5%
18ナノキャリア309301-2.6%
19DNAチップ研究所574559-2.6%
20デ・ウエスタン・セラピテクス研究所254247-2.8%
21セルソース1980019110-3.5%
22アンジェス725699-3.6%
23ラクオリア創薬10501012-3.6%
24キャンバス299288-3.7%
25シンバイオ製薬10701029-3.8%
26リプロセル295283-4.1%
27カイオム・バイオサイエンス243233-4.1%
28そーせいグループ20221936-4.3%
29ユーグレナ901860-4.6%
30ソレイジア・ファーマ126120-4.8%
31ファーマフーズ28102671-4.9%
32サンバイオ12591189-5.6%
33Delta-Fly Pharma13401265-5.6%
34タカラバイオ33403145-5.8%
35ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ860805-6.4%
36セルシード248232-6.5%
37ファンペップ415386-7.0%
38プレシジョン・システム・サイエンス704648-8.0%
39ペプチドリーム38753555-8.3%
40オンコリスバイオファーマ12191117-8.4%
41ステムセル研究所61605610-8.9%
42メディネット7669-9.2%
43レナサイエンス976886-9.2%
44モダリス15201378-9.3%
45ヘリオス21341931-9.5%
46総医研ホールディングス375338-9.9%
47ペルセウスプロテオミクス724610-15.7%
48キッズウェル・バイオ708567-19.9%
※レナサイエンスは上場初日(9/24)との比較