日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年8月27日金曜日の終値が、前週の週末(8月20日)の終値に比べて上昇したのは42銘柄、下落したのは4銘柄、不変だったのは1銘柄だった。上昇した銘柄数が下落した銘柄数を上回ったのは、7月2日金曜日の週以来、7週ぶりとなった(8月13日の週は休載)。

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 この間、上昇率の第1位はクリングルファーマで、+18.8%だった。第2位はリボミックで+17.0%、第3位はファーマフーズで+16.2%と続いた。一方、下落率では大きい順にカルナバイオサイエンスが-0.9%、ペプチドリームが-0.8%、ユーグレナが-0.6%となっている。

クリングルファーマ(1018円、前週比+18.8%)

 8月25日に、クリングルファーマが肝細胞増殖因子(HGF)の原薬を供給している提携先の米Claris Biotherapeutics社が、米国で第1/2相臨床試験を開始したと発表した。これが好感され、クリングル株が上昇しストップ高になった。対象疾患はこれまで眼科領域疾患としか発表されていなかったが、希少疾患の神経栄養性角膜炎であることが明らかになった。投与開始を受け、同社は毎年定額の技術アクセスフィーをClaris社から受け取る。

 今回は海外での第1/2相開始という話題で、米国でのIND申請も以前に発表されており、本来なら大きく動く材料ではない性質のものだ。それでもこれだけ市場が反応したのは、6月下旬に1200円台の高値を付けて以降、2カ月にわたって下落が続いていたことが大きく、市場が反転のきっかけを探していたタイミングに発表が重なったものと思われる。

 上昇しやすい素地は他にもある。8月24日に投資家向けの説明会が開催され、同社の開発品に対する市場規模が提示された。同社は、HGF蛋白質製剤を脊髄損傷急性期、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、声帯瘢痕、急性腎障害に対して開発しており、そのうち脊髄損傷急性期におけるHGF蛋白質製剤の市場規模として、国内100億円、海外500億円、ALSは国内200億円、海外1000億円を提示した。具体的な数字が出てきたことで、投資判断がしやすくなっていたこともありそうだ。

リボミック(353円、前週比+17.0%)

 核酸アプタマー創薬を手掛けるリボミックは、加齢黄斑変性に対する開発品RBM-007がリードプログラムで、その米国における第2相臨床試験(TOFU試験)の患者最終組み入れが完了したと発表した8月5日辺りから、上昇傾向が続いている。今週の上昇に関しては、特に材料視されるような発表は無かったが、8月6日には第1四半期決算が発表され、その中でTOFU試験のトップラインデータが2022年3月までに公表になると言及され、期待が高まる。

 RBM-007はFGF2に結合してその作用を阻害するアプタマーだ。FGF2はVEGFよりも強い血管新生作用を持つ他、線維化を誘導する。加齢黄斑変性の治療薬としてはVEGF阻害薬が実用化されているが、2、3年程度で薬効が低下してしまうことが知られている。これには線維化による瘢痕形成が関与していると考えられているが、VEGF阻害薬には瘢痕形成を防ぐ作用は期待できない。一方、RBM-007はモデル動物で瘢痕化抑制作用が示されているため、より長期に効果が持続する可能性がある。

 加齢黄斑変性治療薬は、「アイリーア」(アフリベルセプト、ドイツBayer社/Regeneron社)や「ルセンティス」(ラニビズマブ、スイスNovartis社)などのVEGF阻害薬によって約1兆円規模の市場が形成されている。それだけに新薬開発競争も激しく、スイスRoche社のファリシマブを筆頭に競合は多い。ただしほとんどはVEGFをターゲットとした薬剤だ。FGF2は新規ターゲットであることからRBM-007の注目度は高く、併用療法などの可能性も考えれば、成功した場合のポテンシャルは大きいといえそうだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
8月20日8月27日
1クリングルファーマ857101818.8%
2リボミック30535717.0%
3ファーマフーズ2671310516.2%
4カイオム・バイオサイエンス24428014.8%
5ナノキャリア25529214.5%
6アンジェス72182214.0%
7キッズウェル・バイオ71980612.1%
8ペルセウスプロテオミクス54561011.9%
9ファンペップ36540711.5%
10ステラファーマ38843111.1%
11セルソース14940163509.4%
12テラ1952139.2%
13オンコリスバイオファーマ120313119.0%
14トランスジェニック5145598.8%
15メディネット73798.2%
16スリー・ディー・マトリックス2542747.9%
17フェニックスバイオ6466957.6%
18プレシジョン・システム・サイエンス6296767.5%
19ラクオリア創薬95410206.9%
20窪田製薬ホールディングス1922056.8%
21モダリス132014046.4%
22オンコセラピー・サイエンス84896.0%
23デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2412555.8%
24リプロセル2953125.8%
25メドレックス1761865.7%
26セルシード2212325.0%
27Delta-Fly Pharma143915104.9%
28そーせいグループ168617684.9%
29ステムセル研究所443046003.8%
30メディシノバ3974123.8%
31タカラバイオ304031503.6%
32キャンバス3273383.4%
33ステムリム6606823.3%
34ブライトパス・バイオ1581633.2%
35ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ7587813.0%
36サンバイオ117011932.0%
37免疫生物研究所4844931.9%
38シンバイオ製薬106910851.5%
39ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング6846941.5%
40ジーエヌアイグループ161216230.7%
41総医研ホールディングス3513530.6%
42DNAチップ研究所5685710.5%
43ソレイジア・ファーマ1301300.0%
44ヘリオス22632259-0.2%
45ユーグレナ889884-0.6%
46ペプチドリーム39603930-0.8%
47カルナバイオサイエンス12091198-0.9%