日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年8月20日金曜日の終値が、前々週の週末(8月6日)の終値に比べて上昇したのは20銘柄、下落したのは27銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はキッズウェル・バイオ(KWB、旧ジーンテクノサイエンス)で、+31.7%だった。第2位はヘリオスで+25.6%、第3位はモダリスで+18.5%と続いた。一方、下落率では大きい順にスリー・ディー・マトリックスが-16.4%、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)が-11.8%、メディネットが-11.0%となっている。

キッズウェル・バイオ(719円、前々週比+31.7%)

 7月30日の株価週報でも取り上げたが、今回も大幅な上昇を見せた。7月30日の同社株の上昇は、ラニビズマブのバイオシミラーについて、承認の了承を得たことが材料となった。今回は8月12日に、2022年3月期の第1四半期決算が発表された直後から連騰している。これは、売上高が前年同期比+150%の3.0億円になったこともあると考えられるが、それ以上に再生医療プロジェクトの進展に対する期待感が寄与した部分が大きそうだ。

 同社は乳歯歯髄幹細胞(SHED)を複数の疾患に対して開発を進めている。同社が8月12日に公開した四半期決算の説明動画では、SHEDに関して「動物レベルではあるが、複数の対象疾患についてSHEDの明確な有効性を確認しており、そのデータをもって製薬企業への導出活動の加速を見込める状況に来たことをご報告したい」と説明した。ライセンスアウトへの期待を高めるような内容が好感され、買いが集まったものと推測できる。

 KWBは腸管神経節細胞僅少症などの希少疾患を対象としたSHEDの日本での独占的権利を、持田製薬に対して2020年3月に付与している。脳性まひや脊髄損傷、その他の複数のパイプラインも導出契約が続けば、さらに一段高となりそうだ。

ヘリオス(2263円、前々週比+25.6%)

 8月6日に、ヘリオスが日本で急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象に開発を進めていた骨髄由来間葉系幹細胞製品のHLCM051について、良好な結果が発表され、これをきっかけに連騰した。8月10日には脳梗塞急性期を対象とする第2/3相臨床試験の組み入れを完了したと発表したことも寄与したとみられる。ただし、17日以降は、高値圏に対する警戒感も出始めているためか、株価の小刻みな変動が続いている。

 脳梗塞急性期に対する第2/3相臨床試験では、投与90日目の機能評価で Excellent Outcome(優れた転帰)を達成した患者の割合を主要評価項目としている。同社では脳梗塞急性期についても2021年第4四半期にデータを公表する予定。またARDSについても、2021年第4四半期から2022年度第1四半期の間に承認申請が予定されており、次のカタリストが近いことから引き続き注目されそうだ。

プレシジョン・システム・サイエンス(629円、前々週比-11.8%)

 磁性体粒子を使った核酸自動抽出技術を活用した全自動PCR検査装置や検査用の試薬を販売している同社は、COVID-19関連銘柄として昨年から存在感が大きい銘柄だ。決算も好調で、5月に2021年6月期の売上高予測を上方修正し(77億円→90億円)、その修正金額を若干上回る数字で着地した。しかしその決算内容が発表された8月13日以降、株価は大幅な下落が続いている。

 下落の主な要因は、市場の期待に届かなかった点にあるようだ。例えば、アイフィスジャパンが公表しているアナリストのコンセンサスは、売上高101億円、営業利益12億円だった。対して実際の決算は売上高92.9億円、営業利益8.9億円と、いずれもコンセンサスを下回った。同社株は決算発表前の数日前から決算への期待で15%ほど上昇し811円を付けていたが、決算発表後から急落し、上昇前の水準を大きく割り込んでしまった。

 磁性体粒子を使った核酸抽出は、検体の種類を問わず適用できる点に強みがあるが、COVID-19の検査では検体の種類が多様になることはあまりなく、その強みは生かしにくい。COVID-19のPCR検査は、核酸抽出が不要なダイレクト法が、操作の簡便さや迅速さから最も使われる傾向にある。また、PSSの機器や核酸抽出試薬の利益率も、例えばダイレクト法のPCR試薬を販売する企業に及ばない。例えばタカラバイオは2021年3月期に、COVID-19検査用試薬が好調となった結果、売上高が約100億円増となり営業利益は約75億円アップした。対してPSSは売上高40億円増に対して営業利益は約10億円のアップにとどまった。こうした点も、同社株の緩やかな下落が続いている要因と考えられる。

スリー・ディー・マトリックス(254円、前々週比-16.4%)

 8月12日に270円(前日比-13.4%)を付けた。大幅な下落は、8月11日に発表した、合計26億円を見込んだ資金調達の影響による。株式の希薄化が19%から39%の間で生じることになり、嫌気した売りが出た模様だ。ただし、調達する26億円の用途がポイントで、臨床試験の実施費用ではなく、原料調達や営業体制の強化に用いる。2022年4月期は、既存市場である欧州やオーストラリアでの販売量増加が見込まれる他、新たに日本や米国での市場が立ち上がる。需要予測に応じて充分な量の製品在庫を確保する必要があり、今回の資金はその原料購入に充てる。つまりは本格的な製品販売体制に向けた先行投資という位置付けであり、その成否は比較的早い段階で判断できそうだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
8月6日8月20日
1キッズウェル・バイオ54671931.7%
2ヘリオス1802226325.6%
3モダリス1114132018.5%
4サンバイオ1060117010.4%
5アンジェス6637218.7%
6ステムセル研究所408544308.4%
7そーせいグループ156616867.7%
8セルソース13930149407.3%
9フェニックスバイオ6086466.3%
10リボミック2893055.5%
11オンコリスバイオファーマ115812033.9%
12ブライトパス・バイオ1531583.3%
13リプロセル2862953.1%
14タカラバイオ295030403.1%
15ラクオリア創薬9269543.0%
16オンコセラピー・サイエンス82842.4%
17ソレイジア・ファーマ1271302.4%
18ファンペップ3573652.2%
19ステムリム6496601.7%
20メディシノバ3953970.5%
21クリングルファーマ860857-0.3%
22メドレックス177176-0.6%
23ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング688684-0.6%
24免疫生物研究所488484-0.8%
25ジーエヌアイグループ16261612-0.9%
26セルシード223221-0.9%
27キャンバス332327-1.5%
28ペプチドリーム40353960-1.9%
29ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ779758-2.7%
30トランスジェニック532514-3.4%
31デ・ウエスタン・セラピテクス研究所251241-4.0%
32カイオム・バイオサイエンス255244-4.3%
33テラ204195-4.4%
34ファーマフーズ28032671-4.7%
35カルナバイオサイエンス12721209-5.0%
36Delta-Fly Pharma15361439-6.3%
37DNAチップ研究所607568-6.4%
38ナノキャリア274255-6.9%
39ユーグレナ961889-7.5%
40総医研ホールディングス383351-8.4%
41ステラファーマ427388-9.1%
42窪田製薬ホールディングス212192-9.4%
43ペルセウスプロテオミクス602545-9.5%
44シンバイオ製薬11911069-10.2%
45メディネット8273-11.0%
46プレシジョン・システム・サイエンス713629-11.8%
47スリー・ディー・マトリックス304254-16.4%