日本の株式市場に上場するバイオスタートアップ企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2022年8月5日金曜日の終値が、前週の週末(7月29日)の終値に比べて上昇したのは17銘柄、不変だったのは3銘柄、下落したのは31銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はそーせいグループで+12.8%だった。第2位はステムセル研究所で+7.8%、第3位は窪田製薬ホールディングスで+6.4%と続いた。一方、下落率では大きい順にソレイジア・ファーマが-21.7%、キャンバスが-20.1%、プレシジョン・システム・サイエンスが-10.3%となっている。

そーせいグループ(1613円、前週比+12.8%)

 前週に引き続き、今週も大型の発表が連続したことで上昇が続いている。8月2日、米AbbVie社との提携が発表された。神経疾患の領域で、3つのターゲットに対する化合物の取得を進め、開発を進めていく。契約一時金と初期マイルストーンの合計が最大8000万ドル(約106億円)、総額12億ドル(約1600億円)の大型の契約となった。

 AbbVie社とは2020年6月にも提携しており、その際は炎症性疾患と自己免疫疾患を標的とした契約だった。今回はその契約範囲が拡大した形となるが、前回の契約とは少し異なる点がある。2020年の契約では、ターゲットを最大4つまで拡大できる契約で、現状は1つのターゲットのみ研究開発が進行中である。一方、今回の契約では3つのターゲットに対して、いずれも研究開発を進めることが決まっている。このため2020年の契約が一時金と初期マイルストーンの合計で3200万ドル(約34億円)、最大マイルストーン3億7700万ドル(約402億円)だったところ、今回は大幅に増えた。AbbVie社によるそーせいへの信頼度が大幅に高まっていることがうかがえる。

 今週の材料はこれだけではなかった。8月5日には、そーせいが米Neurocrine Biosciences社にライセンスアウトしていた経口の選択的ムスカリンM4受容体作動薬NBI-1117568について、米国で新薬臨床試験実施申請(IND)が受理され、第2相臨床試験の開始が可能になったとアナウンスされた。マイルストーンは3000万ドル(約40億円)に上り、今年度の第3四半期に計上される見込みだ。

 前週のGLP-1受容体作動薬に続き、化合物探索力の強さと開発の順調さを証明する大型の発表となった。にもかかわらず、株価の値上がり幅は+12.8%と控えめだ。要因の1つとしては、Neurocrine社の案件が、ある程度織り込み済みであったことが考えられる。また、ネガティブサプライズが続くバイオ市場全体に対する警戒感の高まりもありそうだ。とはいえ、前週の米Pfizer社や今回のAbbVie社との事業進捗により注目度は高まっている。長期保有を前提とした機関投資家が新規に買いを入れるとすればこれからで、中長期的には上昇トレンドに入っていくのではないか。

ソレイジア・ファーマ(72円、前週比-21.7%)

 8月4日に74円(前日比-18.7%)を付けた。同日、開発品であるSP-05の大腸がん患者を対象とした第3相臨床試験のトップラインデータが公表され、主要評価項目および副次評価項目が未達となったことが響いて売られた。5日終値は上場来最安値の72円となった。

 SP-05はスウェーデンIsofol Medical社からソレイジアが導入した開発品で、抗がん薬の5-FU(フルオロウラシル)の効果を増強する薬剤だ。従来品のロイコボリンの最終代謝物そのものを製剤化しており、大腸がん標準治療のFOLFOX療法+アバスチンにおけるロイコボリンの代替薬として期待された。大腸がん患者の3分の1程度は、遺伝子タイプによってロイコボリンの代謝がうまく進まないことがあり効果を発揮できないが、最終代謝物のSP-05であれば遺伝子タイプにかかわらず有効性を示すと考えられていた。

 SP-05に対する市場の期待は高かったといえる。その理由としては、中間解析の段階で導入元のISOFOL社のCEOが、ポジティブなコメントを発表していたことが挙げられる。独立データ安全性モニタリング委員会が、中間解析の結果を踏まえて、「当初計画の440例~660例のうち、最小目標値の440症例を対象に試験を続行するように」と勧告を出した。これを受けてCEOは「(SP-05を含む併用化学療法が)安全かつ有効で、被験者数が440例で十分であるとの明解なメッセージであると認識している」とコメントした。さらに米国ではファストトラック指定も受け、期待が高まっていた。

 それにもかかわらず試験が失敗に終わったため、驚きも大きかったようだ。なぜCEOのコメントと相いれない結果に終わったのか。それは、モニタリング委員会の勧告の解釈が、全く真逆だったために起きたのではないか。

 「最少症例数でOK」ということは、その段階で有効性が十分に発揮できそうだと予測できた場合の判断であると解釈しがちだが、逆のケースもあり得る。有効性が見いだせる可能性は低いが、試験を早期中止しなければならないほどの有害事象が出ていない場合だ。今回は残念ながら、後者だった可能性がある。

 ソレイジアは今後、56症例の日本人での結果や、ロイコボリンの代謝に関わる葉酸トランスポーターABCC3遺伝子の発現の有無を踏まえたサブ解析を実施し、SP-05の今後の開発方針を決定していくとしている。新たな開発方針は年内にも発表される見込みだ。

キャンバス(663円、前週比-20.1%)

 8月2日、ストップ安となる682円(前日比-18.0%)を付けた。8月1日、開発中の抗がん薬CBP501について、第2相臨床試験への組み入れ患者数が7月は0人だったことが発表され、売られた。36症例を目標とした試験で、4月に5例、5月に5例、6月に9例と順調に患者が登録されていたため、残り6例の大詰めの段階で急ブレーキがかかった。

 とはいえ、同社によれば待機患者数が30~40例おり、また7⽉31⽇時点で4例が最終スクリーニングにあるとのことで、患者の組み入れが今後も難しくなるという状況にはない。7月は期待感から株価が一時1000円超にまで上昇し、そこから見れば大きく値下がりしたが、1カ月前の株価(598円)と比較すると株価は10.9%上昇しており、その間、同社からの発表は一切なかった。進捗に期待して買い支える動きはしっかりしているようだ。

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順位社名株価(終値)騰落率
7月29日8月5日
1そーせいグループ1430161312.8%
2ステムセル研究所434546857.8%
3窪田製薬ホールディングス2672846.4%
4ステムリム8408906.0%
5サンバイオ106911315.8%
6セルソース460548605.5%
7総医研ホールディングス3263394.0%
8ユーグレナ9329663.6%
9ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ8128352.8%
10ラクオリア創薬8058181.6%
11レナサイエンス3753811.6%
12ファンペップ2132161.4%
13Green Earth Institute7237331.4%
14ペプチドリーム165516771.3%
15ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング6076141.2%
16フェニックスバイオ6776841.0%
17メディシノバ3143150.3%
18カルナバイオサイエンス9159150.0%
19シンバイオ製薬6766760.0%
20リプロセル2072070.0%
21モダリス473472-0.2%
22DNAチップ研究所500496-0.8%
23デ・ウエスタン・セラピテクス研究所225223-0.9%
24スリー・ディー・マトリックス313310-1.0%
25テラ9796-1.0%
26トランスジェニック380376-1.1%
27免疫生物研究所422417-1.2%
28アンジェス369364-1.4%
29ナノキャリア210207-1.4%
30ジーエヌアイグループ18631835-1.5%
31ファーマフーズ14641430-2.3%
32リボミック205200-2.4%
33タカラバイオ21462091-2.6%
34クリングルファーマ695675-2.9%
35キッズウェル・バイオ241234-2.9%
36メドレックス131127-3.1%
37坪田ラボ11551116-3.4%
38ブライトパス・バイオ8885-3.4%
39オンコリスバイオファーマ545525-3.7%
40カイオム・バイオサイエンス174167-4.0%
41オンコセラピー・サイエンス6764-4.5%
42セルシード152145-4.6%
43ステラファーマ434411-5.3%
44メディネット7571-5.3%
45ヘリオス380358-5.8%
46Delta-Fly Pharma968910-6.0%
47ペルセウスプロテオミクス417390-6.5%
48サスメド11961118-6.5%
49プレシジョン・システム・サイエンス651584-10.3%
50キャンバス830663-20.1%
51ソレイジア・ファーマ9272-21.7%