日本の株式市場に上場するバイオスタートアップの株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2022年7月29日金曜日の終値が、前週の週末(7月22日)の終値に比べて上昇したのは12銘柄、不変だったのは2銘柄、下落したのは37銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はジーエヌアイグループで+17.9%だった。第2位はサスメドで+15.0%、第3位はメディネットで+11.9%と続いた。一方、下落率では大きい順にサンバイオが-18.5%、プレシジョン・システム・サイエンスが-11.9%、レナサイエンスが-9.2%となっている。

そーせいグループ(1430円、前週比+9.6%)

 7月29日に1430円(前日比+8.0%)を付けた。同日、米Pfizer社との提携パイプラインであるGLP-1作動薬PF-07081532に関する進捗がそーせいの広報ブログで紹介され、材料視されている。Pfizer社が米国時間28日に開催した第2四半期決算説明会で、この化合物について、「既存薬に対して差別化できる」「ベスト・イン・クラスになり得る」と評価したことで、今後のマイルストーンやロイヤルティー収入などに期待感が高まっているようだ。

 PF-07081532は、そーせいとPfizer社の提携によって見いだされた低分子の新薬候補だ。GLP-1受容体作動薬は、血糖値が高いときにインスリン分泌を促進し、食後高血糖を抑えることができる。GLP-1受容体作動薬は低血糖のリスクが少なく体重減少効果も高いためよく用いられている。だが、これまで注射薬が中心だったところ、2019年9月に経口GLP-1作動薬の「リベルサス」(セマグルチド)が登場し、浸透し始めた。リベルサスの売上高は2022年第1四半期に20億6300万デンマーククローネ(約380億円)を計上、前年同期比+167%と大きな伸びを見せている。

 Pfizer社のプレゼンテーションの中で、9月開催の欧州糖尿病学会で公開される予定の第1相臨床試験のデータの一部が紹介された。それによれば、服薬6週間後の日平均血糖値低下量がプラセボ群29mg/dLに対して実薬群は99mg/dL、体重減少量がプラセボ群2kgに対して実薬群は5kgだったという。

 PF-07081532のリベルサスに対する差別化のポイントは幾つかある。リベルサスはペプチドで分子量が4000超と大きく、親水性かつ易分解性のため通常は消化管膜を透過できないが、SNACと呼ばれる吸収補助剤を配合することで胃での吸収を可能にしている。リベルサスはこの吸収を安定化させるため服薬に手間がかかり、具体的には1日の最初の食事や飲水の前に、空腹の状態で120mL以下の水と一緒に服用し、服用後30分以内は飲食や他剤の服用を避ける必要がある。

 一方、PF-07081532は低分子であり、1日1回の服用において、リベルサスのような特筆すべき条件が今のところ示されていない。また、6週後のプラセボに比べた体重減少量の差が3kgというのは、リベルサスの第3相PIONEER 1試験で見られた2.3kg(14mg、26週後)に比べて大きい数字だ。HbA1cに関してはまだ不明だが、効果の面で期待が持てる。

 また、PF-07081532にはもう1つライバルがある。Pfizer社が自社で創製した低分子の経口GLP-1作動薬のダヌグリプロン(Danuglipron、PF-06882961)で、これと社内競合している。ただし、ダヌグリプロンは1日2回の投与が必要で、アドヒアランスの観点から1日1回のPF-07081532が有利だ。また、空腹時血糖値の低下量もダヌグリプロンは32.7mg/dLで、PF-07081532の102mg/dLの方がかなり大きい。6週後の体重減少量のプラセボとの差分もダヌグリプロンが2.25kg(120mg)で、差分が3kgのPF-07081532の方が今のところ有利に見える。

 Pfizer社にとってはダヌグリプロンの良好なデータで盛り上がっていたところ、それを上回るPF-07081532の結果が今回得られたことで、このプロジェクトを非常に有望視しているようだ。Pfizer社はこれを「光速プロジェクト(light speed project、Project Lightspeed)」に指定して、最速で開発を進めていく計画だとしている。

ジーエヌアイグループ(1863円、前週比+17.9%)

 7月中旬から値上がりが続いており、7月29日は4連騰の1863円(前日比+5.0%)で取引を終えた。値上がりの要因としては複数あるが、まず挙げられるのは、同社の子会社である米Cullgen社が保有する蛋白質分解誘導薬(PROTAC)パイプライン、CG001419(TRK分解薬)の進捗への期待が大きいと考えられる。

 CG001419は独自のプラットフォームであるuSMITEで創製された化合物で、5月に中国でのIND申請が受理された。このため、間もなく申請が承認されるとの予想が広がっている。同社の2022年度上期決算の開示が約2週間後に近づいているが、これが投資家の大きな関心事になりそうだ。

 このほか、同社の中国子会社で、特発性肺線維症治療薬の「アイスーリュイ」(ピルフェニドン)の中国における販売や新薬候補の探索を手掛ける、中国北京コンチネント薬業(Beijing Continent Pharmaceuticals)社の上場に関する期待も高まっている。香港証券取引所への上場申請が2月に行われ、現在は審査中にある。これも、上期決算の段階で進捗の報告に注目が集まる。

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順位社名株価(終値)騰落率
7月22日7月29日
1ジーエヌアイグループ1580186317.9%
2サスメド1040119615.0%
3メディネット677511.9%
4そーせいグループ130514309.6%
5ペプチドリーム158216554.6%
6ステムセル研究所417043454.2%
7デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2162254.2%
8ナノキャリア2032103.4%
9セルソース450046052.3%
10Green Earth Institute7077232.3%
11ユーグレナ9149322.0%
12免疫生物研究所4214220.2%
13オンコセラピー・サイエンス67670.0%
14ファーマフーズ146414640.0%
15モダリス474473-0.2%
16タカラバイオ21532146-0.3%
17ソレイジア・ファーマ9392-1.1%
18カイオム・バイオサイエンス176174-1.1%
19ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング615607-1.3%
20メドレックス133131-1.5%
21オンコリスバイオファーマ555545-1.8%
22トランスジェニック387380-1.8%
23ファンペップ217213-1.8%
24リボミック209205-1.9%
25カルナバイオサイエンス933915-1.9%
26DNAチップ研究所510500-2.0%
27ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ834812-2.6%
28ラクオリア創薬828805-2.8%
29ステムリム864840-2.8%
30フェニックスバイオ698677-3.0%
31キャンバス856830-3.0%
32アンジェス381369-3.1%
33ブライトパス・バイオ9188-3.3%
34総医研ホールディングス338326-3.6%
35テラ10197-4.0%
36ステラファーマ453434-4.2%
37セルシード159152-4.4%
38坪田ラボ12101155-4.5%
39ペルセウスプロテオミクス439417-5.0%
40Delta-Fly Pharma1025968-5.6%
41シンバイオ製薬721676-6.2%
42メディシノバ335314-6.3%
43リプロセル222207-6.8%
44スリー・ディー・マトリックス337313-7.1%
45クリングルファーマ755695-7.9%
46ヘリオス413380-8.0%
47窪田製薬ホールディングス292267-8.6%
48キッズウェル・バイオ265241-9.1%
49レナサイエンス413375-9.2%
50プレシジョン・システム・サイエンス739651-11.9%
51サンバイオ13121069-18.5%