日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年7月16日金曜日の終値が、前週の金曜日(7月9日)の終値に比べて上昇したのは12銘柄、下落したのは32銘柄、不変だったのは3銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はステムセル研究所で+26.4%だった。第2位はトランスジェニックで+10.4%、第3位はDelta-Fly Pharmaで+5.1%と続いた。一方、下落率では大きい順にカルナバイオサイエンスが-17.4%、メディネットが-11.8%、ユーグレナが-8.9%となっている。

ステムセル研究所(6850円、前週比+26.4%)

 7月16日に一時7000円超を付けるなど、上場来高値を更新中だ。同社は臍帯血バンクを運営しており、臍帯血に含まれる幹細胞を採取し、保管する事業が主軸だ。現状、臍帯血の保管件数は2021年3月期に5695件で、出産件数全体の1%に満たない。このため市場拡大の余地があると考えられ、その期待が株価を押し上げる要因の1つとなっている。また、15日の売買代金は91億円で、東証マザーズ市場の第4位に付けた。値幅が大きいため、デイトレーディングの対象になっていることも要因としてあるようだ。

 事業の推進に関連する今後のイベントとしては、脳性まひなど脳神経疾患への研究の進展に期待がかかる。高知大学で、小児の脳性まひに対する臍帯血を用いた臨床研究(第1相相当)が行われており、その結果発表が待たれるタイミングにある。2021年5月に6例の経過観察期間が終了しており、同社によれば論文は既に執筆を終えている段階だという。また、その後継として新たな臨床研究の開始が2020年10月に発表されており、脳性まひおよび低酸素性虚血性脳症を対象に、近く投与が始まる見込みだ。

 なお、米国ではDuke Universityによって小児の脳神経疾患に対して臍帯血を投与する63例の第2相試験の結果が2017年10月に論文発表され、運動機能の有意な改善などが示されている。その結果を基に、米国では拡大治験の枠組みであるExpanded Access Program(EAP)が米食品医薬品局(FDA)によって認められ、投与が進む。高知大学の論文発表や臨床研究などをきっかけに同様の動きが日本でも進めば、ステムセル研究所の臍帯血事業に追い風となりそうだ。

Delta-Fly Pharma(1762円、前週比+5.1%)

 同社は抗がん薬のパイプラインについて複数の臨床試験を進めている。中でも注目を集めているのはDFP-14323(ウベニメクス)だ。同薬には免疫調節作用があり、患者の免疫力を高めることで治療効果を発揮すると考えられている。そのDFP-14323をEGFRキナーゼ阻害薬の「ジオトリフ」(アファチニブ)と併用する、国内第2相臨床試験の経過が注目されている。

 既に患者登録が終了し観察期間に入っているが、無増悪生存期間(PFS)が7月中旬時点で中央値に未到達の状態を継続しており、PFS中央値がピボタル試験において18.9カ月だった「タグリッソ」(オシメルチニブ)に並んだ可能性が高い。治験医師による正式な報告待ちの状況ではあるものの、タグリッソ超えが現実味を帯びてきた。同社株は5月中旬から順調に値を上げていたが、7月1日に急落した。特段の材料は無かったため、空売りなどによる下げをトリガーとした調整と考えられるが、そこから再び株価は上昇基調に入ってきたようだ。

カルナバイオサイエンス(1321円、前週比-17.4%)

 7月15日に1332円(前日比-16.0%)を付けた。14日に36億円の資金調達を発表し、株式の希薄化を嫌った売りを招いた。資金調達の方法はQualified Institutional Placement(QIP)という比較的新しい手法によるものであることがポイントだ。これは、行使価額修正条項付きの新株予約権の発行ということでは従来と同じだが、引受先の米Cantor Fitzgerald(キャンターフィッツジェラルド)社は、カルナの承諾無しに、その得られた株式を海外の機関投資家以外に売ってはならず、また売買は株式市場外で行わなければならない、という約束が取り決められている。

 これにより、通常の増資よりも株価変動に与える影響が小さいこと、海外機関投資家が保有することで株価の安定化や今後の海外投資家の増加、海外での知名度アップなどのメリットが生じる。もっとも、将来の株式希薄化を懸念した株価への直接的な影響は免れなかったようだ。なお、アンジェスもこの方式で2021年3月に168億円を調達しており、QIPという手法は今後広がる可能性がある。

 同社はこの資金を、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬のAS-0871、AS-1763、およびCDC7阻害薬AS-0141の開発費に主に充当する。同社は3月末時点で37億円の手元資金を有していたが、前回の資金調達で目標額に達しなかったこと、および臨床試験が1本増えたことから(AS-0141)、資金需要が増加したため、新たな調達が必要と判断した。

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順位社名株価(終値)騰落率
7月9日7月16日
1ステムセル研究所5420685026.4%
2トランスジェニック51156410.4%
3Delta-Fly Pharma167717625.1%
4アンジェス7677973.9%
5そーせいグループ169617372.4%
6キャンバス3823902.1%
7総医研ホールディングス4354431.8%
8ファーマフーズ282428751.8%
9スリー・ディー・マトリックス3453501.4%
10ファンペップ4144201.4%
11ヘリオス164516590.9%
12タカラバイオ281728210.1%
13免疫生物研究所5135130.0%
14リプロセル3273270.0%
15ブライトパス・バイオ1781780.0%
16シンバイオ製薬20072000-0.3%
17デ・ウエスタン・セラピテクス研究所280279-0.4%
18メドレックス201200-0.5%
19プレシジョン・システム・サイエンス795789-0.8%
20ラクオリア創薬1008999-0.9%
21オンコセラピー・サイエンス109108-0.9%
22ナノキャリア300297-1.0%
23DNAチップ研究所686679-1.0%
24ステムリム756747-1.2%
25ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング745735-1.3%
26ペプチドリーム48354770-1.3%
27テラ215212-1.4%
28ジーエヌアイグループ20301991-1.9%
29フェニックスバイオ633620-2.1%
30窪田製薬ホールディングス242237-2.1%
31クリングルファーマ10361013-2.2%
32ペルセウスプロテオミクス796777-2.4%
33キッズウェル・バイオ574559-2.6%
34リボミック323314-2.8%
35モダリス16291581-2.9%
36メディシノバ420407-3.1%
37セルシード254246-3.1%
38サンバイオ12861234-4.0%
39ステラファーマ532508-4.5%
40ソレイジア・ファーマ151144-4.6%
41ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ861819-4.9%
42セルソース1626015360-5.5%
43オンコリスバイオファーマ13881301-6.3%
44カイオム・バイオサイエンス328301-8.2%
45ユーグレナ1078982-8.9%
46メディネット10290-11.8%
47カルナバイオサイエンス16001321-17.4%