日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年6月25日金曜日の終値が、前週の金曜日(6月18日)の終値に比べて上昇したのは23銘柄、下落したのは18銘柄、不変だったのは4銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はクリングルファーマで、+26.6%だった。第2位はDelta-Fly Pharmaで+12.3%、第3位はスリー・ディー・マトリックスで+7.7%と続いた。一方、下落率では大きい順にファンペップが-11.8%、シンバイオ製薬が-8.9%、セルソースが-5.9%となっている。この他、ペルセウスプロテオミクスとステムセル研究所の2社が東証マザーズに新規上場した。

クリングルファーマ(1220円、前週比+26.6%)

 日本株式市場が急落した2021年6月21日、数少ない値上がり銘柄として週明けをスタートし、25日にかけて調整を1日挟みながら上昇を続けた。値上がり幅は対象バイオ企業45社の中で群を抜いた。シェアードリサーチによる初めての調査リポートが、21日に公開されたことが大きな材料となったようだ。同リポートで、クリングルファーマが開発する肝細胞増殖因子(HGF)製剤の対象疾患ごとの患者数に基づくパイプライン価値が記載され、その評価額の大きさに興味を示した投資家は少なくなかっただろう。

 同社は主に4種類のパイプラインを保有している。脊髄損傷急性期、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、声帯瘢痕、急性腎障害に対するHGFの適用で開発が進む。リポートでは、これらパイプラインの価値を試算しており、患者数×想定薬価の売上高に基づき、上市成功率や一般的な契約一時金およびロイヤルティーの利率、ロイヤルティー支払い期間(10年)などを掛けてはじき出したのが、国内で590億円、世界で1300億円という数字だ。一方、同社の時価総額は6月21日時点で43億円にとどまり、今回の値上がりは、割安との印象を持った一部の投資家が流動性の少ない同社株を集めているものと想像される。

 なお、先行して第3相臨床試験が進行中の脊髄損傷急性期では、現状で治療薬は存在せず、臨床現場でのニーズは大きい。第1/2相臨床試験では有効性が示唆され、学会で優秀賞を獲得するなど期待感が高まるような材料も最近発表されていた。希少疾病用医薬品に指定されており、上市の成功確率も高いと判断されやすい。市場性が脊髄損傷急性期よりも大きいALSの第2相臨床試験(医師主導治験)の結果が2021年後半にオープンされるが、ポジティブな結果であれば、さらに一段高を見せる展開もありそうだ。

ペルセウスプロテオミクス(公募価格870円、初値1005円、週終値805円)
ステムセル研究所(公募価格2800円、初値4830円、週終値4130円)

 今週はバイオ企業の上場が2社続いた。ペルセウスプロテオミクスが6月22日に、ステムセル研究所が6月25日にそれぞれ東証マザーズに上場した。いずれも2020年春に上場を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて延期していた。

 ペルセウスプロテオミクスは抗体関連技術に強みを持つ企業で、創薬事業、抗体研究支援事業、抗体・試薬販売事業を手掛けている。創薬関連では主に4つのパイプラインを保有している。肝臓がんおよび固形がんを対象とする抗グリピカン3(GPC3)抗体を中外製薬に導出している他、富士フイルムホールディングスにも2種類の抗体医薬を導出している。

 一方、ステムセル研究所は臍帯血バンクを運営する企業で、幹細胞を中心とした「細胞バンク事業」を主事業としており、少なくとも2016年3月期から直近まで連続して黒字を継続している、いわゆる「黒字バイオ」だ。検体提供者の臍帯血から幹細胞を分離し、超低温で10年、20年などの長期にわたり保管する。必要な際に再生医療などの用途で使用することができる。

 ペルセウスプロテオミクスは、公募価格の870円に対し、公開日の初値こそ1005円でこれを上回ったものの、終値では866円と割り込んだ。一方、ステムセル研究所は公募価格2800円に対し、初値が4830円、終値も4130円と高い評価を維持している。公開直後の値動きでは両社は明暗を分けた格好だ。

 これについてある市場関係者は、「ステムセル研究所は、たとえ目的とする用途に再生医療等製品が実用化していなくとも、将来に向けた費用として顧客が金を出す。現状は自社で開発を行っているわけでないため、開発リスクが少ないことが非常に大きく、再生医療銘柄としての期待感もあり、値上がりしやすい」と分析する。先に上場して業績も株価も好調なセルソースと同じく、幹細胞を扱い、自社での開発リスクを負わずに成長できる点が似ており、成長を連想しやすいといった背景もあるようだ。

 一方、ペルセウスプロテオミクスはパイプラインこそ豊富なものの、黒字化には少なくとも数年かかる。「典型的なパイプライン型バイオスタートアップとの印象が強く、収益化までの期間が長いこともあり、やや人気が高まりにくかったのでは」(同)との声が聞かれた。中外製薬に導出している抗GPC3抗体の特許期間が2022年までと残り短く、マイルストーンなどが得られない可能性が高まっていこともネガティブ材料となっていそうだ。

順位社名株価(終値)騰落率
6月18日6月25日
1クリングルファーマ964122026.6%
2Delta-Fly Pharma1736194912.3%
3スリー・ディー・マトリックス2602807.7%
4オンコリスバイオファーマ173018476.8%
5モダリス148215806.6%
6ステムリム7668166.5%
7ジーンテクノサイエンス5545896.3%
8ラクオリア創薬113111753.9%
9そーせいグループ170417633.5%
10セルシード2462543.3%
11メディネット1001033.0%
12ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング7497672.4%
13メドレックス2192242.3%
14キャンバス3984072.3%
15フェニックスバイオ6256371.9%
16メディシノバ4314391.9%
17タカラバイオ295530001.5%
18リプロセル3373421.5%
19リボミック3393441.5%
20サンバイオ143514460.8%
21カルナバイオサイエンス137013800.7%
22ファーマフーズ265226650.5%
23トランスジェニック5445460.4%
24ナノキャリア3133130.0%
25ペプチドリーム540054000.0%
26ヘリオス181318130.0%
27窪田製薬ホールディングス2512510.0%
28プレシジョン・システム・サイエンス816815-0.1%
29ユーグレナ889887-0.2%
30テラ224223-0.4%
31総医研ホールディングス468463-1.1%
32デ・ウエスタン・セラピテクス研究所286281-1.7%
33ソレイジア・ファーマ159156-1.9%
34ジーエヌアイグループ21252084-1.9%
35カイオム・バイオサイエンス259254-1.9%
36ブライトパス・バイオ186182-2.2%
37DNAチップ研究所690672-2.6%
38アンジェス919895-2.6%
39免疫生物研究所537522-2.8%
40オンコセラピー・サイエンス118114-3.4%
41ステラファーマ608586-3.6%
42ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ912870-4.6%
43セルソース1650015530-5.9%
44シンバイオ製薬24232208-8.9%
45ファンペップ474418-11.8%
新規上場ペルセウスプロテオミクス-805-
新規上場ステムセル研究所-4130-