日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年6月18日金曜日の終値が、前週の金曜日(6月11日)の終値に比べて上昇したのは25銘柄、下落したのは19銘柄、不変だったのは1銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はメディネットで、+72.4%だった。第2位はセルソースで+27.2%、第3位はオンコリスバイオファーマで+12.6%と続いた。一方、下落率では大きい順にメディシノバが-7.9%、スリー・ディー・マトリックスが-7.1%、サンバイオが-6.9%となっている。

メディネット(100円、前週比+72.4%)

 2021年6月14日に、メディネットから「ヤンセンファーマと治験製品製造のための細胞調製に関する契約を締結した」との発表があり、翌15日に買いが殺到してストップ高となった。株価は前日比+51.7%の88円となり、値上がり率は全市場で断トツ1位を記録した。それ以降も株価が乱高下し、18日は100円で引けた。

 同社が発表したのは上記の一文のみ。契約内容について同社は、「取引先との契約上、現時点ではこれ以上開示できない」としており、詳細を一切明らかにしていない。メディネットは、免疫力が増強した「糖鎖修飾改変Tリンパ球」を培養する技術を2020年1月に発表しており、これが評価されての契約であれば非常に前向きな材料となる。他の免疫細胞にも幅広く使われる可能性が見込めるためだ。しかし、今回は治験薬の製造に関する契約であり、タイミング的にも新たにその技術が今回の治験薬に使用されるとは考えにくい。これまでの免疫細胞加工の実績が買われての契約と考えられる。

 治験薬向けの細胞調整の受託自体はさほどインパクトが無い内容だが、メガファーマとの提携という字面が、短期筋を集めるのに奏功した様子だ。もともと株価が50円台に低迷し出来高も少なかったところ、株価上昇率で注目が集まり、個人投資家なども参入したといえる。同社株は2020年5月にも、特段の材料無しに吹け上がり、すぐに沈静化したことがある。その時と同様、今回の株価上昇も一時的な盛り上がりに終わることが想像できる。

 同社は医療機関から、自由診療の免疫細胞治療用に細胞の培養加工を事業の柱としているが、ここ数年は需要が減り続けている。2020年度の上半期売上高は前年同期に比べて半減している。再生医療等製品のパイプラインにも進展が見られない。そのような中、再生医療等製品製造業の許可を取得するなど、CDMO事業への注力が実を結び、今回の契約につながったともいえる。続けて案件を獲得して、医療機関の自由診療向け以外の収益源を強化していきたいところだ。

セルソース(16500円、前週比+27.2%)

 6月15日にストップ高の16500円(前日比+22.2%)を付けた。6月14日に上半期の決算発表があり、その結果を受けてのこと。売上高、営業利益ともに四半期の過去最高を更新したことに加え、通期業績が上方修正されたことで買いが集まった。2021年10月期の業績予想数値は、売上高が期初予想より10.8%上乗せの28億円、営業利益が32.6%上乗せの7.5億円となった。いずれも2020年10月期実績値の1.5倍を上回る。

 それだけでなく、エクソソーム治療への研究開発加速も好感されたようだ。6月11日に、順天堂大学とエクソソームを用いた脳梗塞後遺症およびパーキンソン病の治療について共同研究を実施すると発表した。同社は細胞加工を受託している関係で、様々な施設から細胞を調達できる強みがある。専用の培地なども開発し、エクソソームの大量精製法を確立した。大阪大学ともエクソソーム治療の共同研究契約を結ぶなど、エクソソーム研究を進めており、新たなパイプラインの確立に対する期待感の高まりもありそうだ。

クリングルファーマ(964円、前週比+12.1%)

 6月14日に964円(前日比+12.1%)と急騰した。同社が開発するヒト肝細胞増殖因子(HGF)製剤のKP-100ITについて、脊髄損傷急性期の患者を対象とした第1/2相臨床試験に関する発表が、6月9日~12日に開催されたアジア太平洋脊髄外科学会およびアジア太平洋小児整形外科学会で最優秀臨床研究賞を受賞したことが材料となったようだ。

 第1/2相試験の結果は既報だが、HGF群28人、プラセボ群17人に分けて行われた結果、安全性について大きな問題は見られず、有効性の指標はASIA motor soreの変化量で検討された結果、140日後の時点でHGF群がプラセボ群を上回った(p<0.05)。この結果を踏まえて2019年9月にKP-100ITは希少疾病用医薬品の指定を受けている。現在KP-100ITの脊髄損傷急性期に対する開発は現在第3相に入っており、2022年後半に試験が終了する予定。

順位社名株価(終値)騰落率
6月11日6月18日
1メディネット5810072.4%
2セルソース129701650027.2%
3オンコリスバイオファーマ1537173012.6%
4クリングルファーマ86096412.1%
5ジーンテクノサイエンス49755411.5%
6ステラファーマ5586089.0%
7カルナバイオサイエンス126613708.2%
8セルシード2302467.0%
9ペプチドリーム506054006.7%
10シンバイオ製薬227324236.6%
11モダリス139114826.5%
12そーせいグループ165317043.1%
13リボミック3293393.0%
14キャンバス3883982.6%
15メドレックス2142192.3%
16フェニックスバイオ6116252.3%
17ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ8959121.9%
18ファンペップ4674741.5%
19デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2822861.4%
20ソレイジア・ファーマ1571591.3%
21オンコセラピー・サイエンス1171180.9%
22Delta-Fly Pharma172517360.6%
23ブライトパス・バイオ1851860.5%
24ユーグレナ8858890.5%
25テラ2232240.4%
26ナノキャリア3133130.0%
27ラクオリア創薬11341131-0.3%
28タカラバイオ29702955-0.5%
29DNAチップ研究所694690-0.6%
30トランスジェニック551544-1.3%
31ヘリオス18401813-1.5%
32ステムリム779766-1.7%
33カイオム・バイオサイエンス266259-2.6%
34窪田製薬ホールディングス259251-3.1%
35総医研ホールディングス483468-3.1%
36アンジェス951919-3.4%
37免疫生物研究所556537-3.4%
38プレシジョン・システム・サイエンス847816-3.7%
39リプロセル354337-4.8%
40ジーエヌアイグループ22342125-4.9%
41ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング803749-6.7%
42ファーマフーズ28482652-6.9%
43サンバイオ15421435-6.9%
44スリー・ディー・マトリックス280260-7.1%
45メディシノバ468431-7.9%