日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年6月11日金曜日の終値が、前週の金曜日(6月4日)の終値に比べて上昇したのは42銘柄、下落したのは3銘柄だった。

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 米国でアルツハイマー病治療薬としてアデュカヌマブが迅速承認され、そのニュースが日本で流れた6月8日は、朝からエーザイ株がストップ高となった。それ以外にも医薬関連銘柄に買いが入り、バイオ関連株の多くも上昇した。本コラムで対象としているバイオ企業45社の時価総額は6月8日(終値)に2兆3700億円で前日比2.3%増となり、東証一部銘柄による指数のTOPIX(前日比0.1%増)に比べて大幅に高く、バイオ株への資金流入が目立った。

 この間、上昇率の第1位はステラファーマで、前週比+19.5%だった。第2位はシンバイオ製薬で+16.0%、第3位はジャパン・ティッシュ・エンジニアリングで+15.2%と続いた。他にカイオム・バイオサイエンス(+14.7%)、Delta-Fly Pharma(+13.4%)、オンコリスバイオファーマ(+12.2%)も2桁台のプラスとなった。

ステラファーマ(558円、前週比+19.5%)

 5月17日に公募価格の460円を割り込み、その後も460円に近い水準で推移していたが、6月8日に513円(前日比+9.4%)まで急上昇した。特に公表された材料は無いが、同社は薬事承認を受けているホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用の医薬品「ステボロニン」を保有しており、さらに適応拡大試験も頭頸部がん、脳腫瘍(悪性神経膠腫)、悪性髄膜腫など複数進行中であることから、再評価されたものと考えられる。

 ステボロニンの適応拡大で最も進んでいるのは悪性神経膠腫で、第2相臨床試験の結果を基に、先駆け総合評価相談に入っている。1年生存率は79.2%であり、比較対照とした後ろ向き研究のベバシズマブ群の34.5%を上回った。悪性神経膠腫に対する治療薬はテモゾロミドおよびベバシズマブに限定されていたが、6月11日付で第一三共のがん治療用ウイルスG47Δ製品「デリタクト」(テセルパツレブ)が承認された。デリタクトも先駆け審査指定制度による指定を受けており、ステボロニンの適応拡大にも期待がかかる。

シンバイオ製薬(2273円、前週比+16.0%)

 6月9日に2291円(前日比-4.5%)、6月10日に2118円(前日比-7.6%)と大幅続落したが、それでもトータルで前週比+16.0%の上昇を記録し、人気が続いている。10日に続落したのは増担保規制が原因だ。信用取引に関する委託保証金率が30%以上から50%以上に引き上げられた。増担保規制は、信用取引の利用が過度となった場合に適用される措置で、過熱感を冷ますために行われる。同社株は5月中旬から上昇を続けて2倍近くまで上がり、警戒感も高まっていた。今期の黒字化が確実視される他、導入品である抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの米国での承認が人気に拍車をかけており、11日は再び上昇した。

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(803円、前週比+15.2%)

 6月11日に、新たな再生医療等製品「オキュラル」が薬事承認され、株価が急騰した(803円、前日比+13.3%)。オキュラルは自家培養口腔粘膜から細胞シートを作成し、角膜の代替品として眼科領域の治療に用いられる。COMET01の開発名で申請され、5月24日に部会を通過していた。2020年6月に承認された「ネピック」と同じような疾患を対象に用いられる。

 ネピックは患者の自家角膜上皮幹細胞が材料で、オキュラルは患者の口腔粘膜を原料とする点が異なる。通常は角膜から作るネピックの使用が優先され、オキュラルは角膜上皮幹細胞が取れない患者向け、という補完的な位置付けとなる。ただし、ネピックにはスティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、移植片対宿主病などの患者では使用できないため、オキュラルにも一定のニーズがあると考えられる。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングでは、オキュラルの売上高としてピーク時3億円から4億円を見込んでいるようだ。

順位社名株価(終値)騰落率
6月4日6月11日
1ステラファーマ46755819.5%
2シンバイオ製薬1960227316.0%
3ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング69780315.2%
4カイオム・バイオサイエンス23226614.7%
5Delta-Fly Pharma1521172513.4%
6オンコリスバイオファーマ1370153712.2%
7ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ8258958.5%
8ラクオリア創薬104911348.1%
9ステムリム7247797.6%
10ソレイジア・ファーマ1461577.5%
11モダリス130213916.8%
12トランスジェニック5185516.4%
13ペプチドリーム476550606.2%
14ユーグレナ8348856.1%
15そーせいグループ156216535.8%
16リボミック3113295.8%
17総医研ホールディングス4594835.2%
18キャンバス3713884.6%
19スリー・ディー・マトリックス2682804.5%
20オンコセラピー・サイエンス1121174.5%
21タカラバイオ284429704.4%
22リプロセル3393544.4%
23メドレックス2052144.4%
24メディシノバ4494684.2%
25プレシジョン・システム・サイエンス8148474.1%
26メディネット56583.6%
27ジーンテクノサイエンス4804973.5%
28クリングルファーマ8318603.5%
29カルナバイオサイエンス122712663.2%
30ジーエヌアイグループ217022342.9%
31ヘリオス178918402.9%
32免疫生物研究所5415562.8%
33DNAチップ研究所6776942.5%
34ブライトパス・バイオ1811852.2%
35ナノキャリア3083131.6%
36セルソース12770129701.6%
37サンバイオ152015421.4%
38デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2782821.4%
39フェニックスバイオ6076110.7%
40テラ2222230.5%
41窪田製薬ホールディングス2582590.4%
42ファンペップ4664670.2%
43セルシード232230-0.9%
44ファーマフーズ28922848-1.5%
45アンジェス994951-4.3%