日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年6月4日金曜日の終値が、前週の金曜日(5月28日)の終値に比べて上昇したのは12銘柄、下落したのは32銘柄、不変だったのは1銘柄だった。

 この間、上昇率の第1位はヘリオスで、+12.4%だった。第2位はジーンテクノサイエンスで+11.6%、第3位はセルソースで+9.2%と続いた。一方、下落率では大きい順にリプロセルが-17.3%、モダリスが-7.9%、トランスジェニックが-7.5%となっている。

ジーンテクノサイエンス(480円、前週比+11.6%)

 6月1日に、同社が出資する慶應義塾大学発スタートアップのHeartseed(東京・新宿、福田恵一社長)が、デンマークNovo Nordisk社と大型のライセンス契約を締結したことが材料視されている。発表翌日の2日に442円(前日比+4.7%)まで上がり、4日に480円(同+11.4%)と一段高の動きを見せた。ジーンテクノサイエンスの目利き力を評価した買いが入ったものとみられる。

 Heartseedの開発品HS-001は、iPS細胞から調整した心筋球を心臓の筋層に直接移植するもので、重症心不全を対象とした第1/2相臨床試験(LAPiS試験)が2021年後半にスタートする予定だ。HeartseedはNovo Nordisk社から5500万ドル(60億円)の一時金・短期マイルストーンを受け取る、細胞医薬としては世界的にもかなり大型の契約となった。開発が進み承認・販売マイルストーンまで含めると、最大5億9800万ドル(655億円)に上る。ジーンテクノサイエンスの出資比率は非公開だが、そのリターンだけでなく、Heartseedとの協業にも期待がかかる。

 もっとも、2020年に1000円を超えていた同社株は、現在その半値以下の水準にとどまる。小児の先天性心疾患(機能的単心室症)を対象とした自家心臓内幹細胞製品JRM-001が第3相臨床試験の段階にあり、自社開発品の上市を急いで値を戻したいところだ。

ナノキャリア(308円、前週比+3.4%)

 6月4日に上昇した(308円、前日比+6.2%)。遺伝子治療製品VB-111について導入元のイスラエルVBL Therapeutics社が、承認申請が1年早まる可能性を発表したことが材料となった。米食品医薬品局との協議の結果、国際共同第3相試験の主要評価項目に無増悪生存期間(PFS)が加わり、観察期間の関係から早期の承認申請が可能となった。前倒しで2022年にトップラインのデータが得られる見込みで、国内開発権を保有するナノキャリアは2023年中盤の承認申請が可能となりそうだ。

 VB-111は中間解析で奏効率が53%と高い数字を出し、2020年8月には第三者委員会の満場一致で試験の継続が決まった。国内の試験は2021年6月にもスタートする予定で、年内に症例登録が終わる見込み。特段の安全性シグナルや効果の違いが生じなければ、日本でも承認申請の時期が1年前倒しにできると考えられる。

 対象患者は卵巣がんのうち約2割に見られるプラチナ抵抗性の患者で、他に有効な治療薬が無いためアンメット・メディカル・ニーズが大きい。海外で試験が進む神経膠芽腫や大腸がんなど、卵巣がん以外の固形がんにも適応疾患を拡⼤する可能性もある。卵巣がんだけでも初年度から年間10億円以上の売上高が期待でき、同社の黒字化も前倒しということになりそうだ。

リプロセル(339円、前週比-17.3%)

 6月1日に大規模な増資を発表し、翌2日に株価が大幅に下落して(367円、前日比-9.0%)、3日に年初来安値を更新した。SMBC日興証券を対象に新株予約権を発行、概算で53億9000万円を調達する。同権利が全て行使された場合は20.25%の株式希薄化が生じるため、投資家が嫌気したようだ。

 ただ、直近の株価は400円超だったところ、株価も-17.3%と20%減に近づいており、下げ止まりのラインが見えてきた。資金は、脊髄小脳変性症に対する治験が進行中の細胞医薬「ステムカイマル」の開発や、前臨床の段階にあるiPS神経グリア細胞の開発費用、そして他社からの開発品導入などに充てる。

 同社は2020年度末時点で26億円の現金および預金残高を保有していたが、年間10億円前後の営業損失が発生していることに加え、株価がそこそこ持ち直していたこともあり、増資のタイミングとしては悪くなかったのだろう。ステムカイマルの今後の臨床開発に必要な資金は、今回の資金調達で完了する見通し。同社の当面のマイルストーンは、2023年3月期の黒字化、2024年3月期のステムカイマル承認取得だ。また、どのような開発品を導入できるか、パイプラインの拡充も楽しみだ。

順位社名株価(終値)騰落率
5月21日5月28日
1ヘリオス1592178912.4%
2ジーンテクノサイエンス43048011.6%
3セルソース11690127709.2%
4シンバイオ製薬184219606.4%
5ジーエヌアイグループ206321705.2%
6サンバイオ145715204.3%
7ナノキャリア2983083.4%
8ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ8078252.2%
9ソレイジア・ファーマ1431462.1%
10メディネット55561.8%
11免疫生物研究所5345411.3%
12フェニックスバイオ6066070.2%
13ブライトパス・バイオ1811810.0%
14そーせいグループ15681562-0.4%
15窪田製薬ホールディングス259258-0.4%
16セルシード233232-0.4%
17ラクオリア創薬10541049-0.5%
18オンコリスバイオファーマ13781370-0.6%
19ユーグレナ844834-1.2%
20ファンペップ472466-1.3%
21カルナバイオサイエンス12451227-1.4%
22オンコセラピー・サイエンス114112-1.8%
23ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング710697-1.8%
24クリングルファーマ851831-2.4%
25Delta-Fly Pharma15591521-2.4%
26デ・ウエスタン・セラピテクス研究所286278-2.8%
27リボミック320311-2.8%
28プレシジョン・システム・サイエンス840814-3.1%
29メディシノバ466449-3.6%
30テラ231222-3.9%
31DNAチップ研究所706677-4.1%
32ステラファーマ488467-4.3%
33アンジェス1039994-4.3%
34総医研ホールディングス482459-4.8%
35タカラバイオ29872844-4.8%
36キャンバス392371-5.4%
37ステムリム765724-5.4%
38カイオム・バイオサイエンス246232-5.7%
39メドレックス218205-6.0%
40ファーマフーズ30852892-6.3%
41ペプチドリーム50904765-6.4%
42スリー・ディー・マトリックス288268-6.9%
43トランスジェニック560518-7.5%
44モダリス14131302-7.9%
45リプロセル410339-17.3%