日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年5月28日金曜日の終値が、前週の金曜日(5月21日)の終値に比べて上昇したのは18銘柄、下落したのは25銘柄、不変だったのは2銘柄だった。

バイオテクノロジーの専門情報が毎日届く無料メルマガの登録はこちらから
「日経バイオテク」の無料試読のお申し込みはこちらからお進みください。

 この間、上昇率の第1位はシンバイオ製薬で、+16.1%だった。第2位はファンペップで+8.0%、第3位はDelta-Fly Pharmaで+6.6%と続いた。一方、下落率では大きい順にプレシジョン・システム・サイエンスが-7.3%、ファーマフーズが-7.1%、サンバイオが-7.0%となっている。

シンバイオ製薬(1842円、前週比+16.1%)

 年初来高値を更新し、時価総額も過去最高の707億円に達した。3月に東証がシンバイオ製薬について上場廃止の猶予期間入りを発表したため、同社株は急落、しばらく低迷していた。しかしここ2週間で上昇トレンドに入り、急落直前に付けていた時価総額636億円を超え、同社の株価は上場廃止騒動の痛手から復活を遂げた。

 中外製薬の「ポライビー」(ポラツズマブベドチン)が5月19日に薬価収載され、難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象に、ポライビーとシンバイオ製薬の「トレアキシン」(ベンダムスチン)の併用療法が医療現場で使用できるようになった。急落後しばらくは、同社が2021年度に黒字化することに対して懐疑的な見方も一部あったようだが、それが徐々に薄れて株価が押し上げられているようだ。

 DLBCLは非ホジキンリンパ腫の中で最も患者数が多く、この分野で承認を取得することは同社にとって最重要課題だった。トレアキシンの投与対象となる患者層が大幅に増加するためだ。2021年3月にトレアキシン+「リツキサン」(リツキシマブ)との併用療法がDLBCLを対象に承認されたことで、その一部は達成された。しかし医療現場では既に、トレアキシン+リツキサンよりも好成績を収めたポライビー+リツキサン+トレアキシンの併用療法を試したいというニーズが大きくなっていた。

 今回のポライビーの薬価収載をもって、トレアキシンはDLBCL治療の大きな部分をカバーできるようになった。もちろん5月のポライビー薬価収載は3月の承認を受けた既定路線のイベントだったが、上昇トレンドの中で強いポジティブ材料になったようだ。

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(710円、前週比+5.8%)

 帝人による公開買付けで3月に820円を付けた同社(J-TEC)株は、その後緩やかに右肩下がりとなっていたが、ここへ来て盛り返してきた。5月24日、同社として4つ目となる再生医療等製品「COMET01」が部会を通過したことで、翌25日の株価が上昇した(714円、前日比+7.0%)。COMET01は眼科向け製品で、自家口腔粘膜から細胞シートを作成して患者の角膜部位に移植して用いる製品だ。国内の再生医療等製品のラインアップが増えている中(2021年5月時点で11製品)、同社の存在感が改めて高まっている。

 COMET01は角膜上皮幹細胞疲弊症が治療対象となる。先天的または後天的に角膜上皮幹細胞が失われることにより、角膜の透明性が低くなり視力低下や失明を来す疾患だ。先行して2020年6月に承認された同社の「ネピック」も、同じ疾患を対象とした再生医療等製品だが、ネピックは患者の自家角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養加工する製品で、対するCOMET01は患者の口腔粘膜を原料とする点が異なる。

 通常は角膜から作るネピックの使用が優先され、口腔粘膜から作るCOMET01は角膜上皮幹細胞が取れない患者向け、という補完的な位置づけだ。ただし市場性に関しては、ネピックと同程度の規模になる可能性もあると同社ではみている。ネピックには適用除外疾患としてスティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、移植片対宿主病などがあるため、一定のニーズがあるという。

 ネピックは保険償還価格975万円で、ピーク時使用患者数は7年後に54人と予測されており、3億から4億円を売り上げる製品になると考えられる。またJ-TECは販売2年目の2021年度にネピックの売上高として1.5億円前後を予測しているようで、このスピードでいけばピーク時3億円から4億円も十分に現実感がある数字だ。それと同程度の製品にCOMET01は育つ可能性があるということになる。COMET01は2021年秋以降に発売される見込み。2026年3月期に売上高50億円を目指す同社にとって、両製品は事業を支える重要なピースとなる。

順位社名株価(終値)騰落率
5月21日5月28日
1シンバイオ製薬1587184216.1%
2ファンペップ4374728.0%
3Delta-Fly Pharma146215596.6%
4ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング6717105.8%
5テラ2192315.5%
6スリー・ディー・マトリックス2742885.1%
7アンジェス100110393.8%
8ペプチドリーム492050903.5%
9カイオム・バイオサイエンス2382463.4%
10メディシノバ4524663.1%
11セルソース11360116902.9%
12ジーエヌアイグループ200620632.8%
13免疫生物研究所5205342.7%
14ラクオリア創薬103310542.0%
15デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2822861.4%
16ソレイジア・ファーマ1411431.4%
17タカラバイオ295029871.3%
18オンコリスバイオファーマ136813780.7%
19メディネット55550.0%
20カルナバイオサイエンス124512450.0%
21セルシード234233-0.4%
22DNAチップ研究所710706-0.6%
23ステムリム770765-0.6%
24クリングルファーマ857851-0.7%
25フェニックスバイオ611606-0.8%
26オンコセラピー・サイエンス115114-0.9%
27モダリス14271413-1.0%
28メドレックス221218-1.4%
29ブライトパス・バイオ184181-1.6%
30ナノキャリア303298-1.7%
31リプロセル417410-1.7%
32ヘリオス16201592-1.7%
33窪田製薬ホールディングス264259-1.9%
34そーせいグループ15991568-1.9%
35ステラファーマ504488-3.2%
36リボミック331320-3.3%
37ジーンテクノサイエンス445430-3.4%
38キャンバス407392-3.7%
39ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ841807-4.0%
40ユーグレナ884844-4.5%
41トランスジェニック589560-4.9%
42総医研ホールディングス507482-4.9%
43サンバイオ15661457-7.0%
44ファーマフーズ33203085-7.1%
45プレシジョン・システム・サイエンス906840-7.3%