日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年5月21日金曜日の終値が、前週の金曜日(5月14日)の終値に比べて上昇したのは40銘柄、下落したのは5銘柄だった。ゴールデンウイーク中から明けの週にかけて、米国発の株安によって多くの銘柄が下落していたが、週が明けて戻し基調に入っている。ただし、4月23日時点の株価と比較して値上がりしているのは45銘柄中14銘柄にとどまり、全体の3分の2以上はまだ値が戻っていない。回復はまだ途上といえる。

バイオテクノロジーの専門情報が毎日届く無料メルマガの登録はこちらから
「日経バイオテク」の無料試読のお申し込みはこちらからお進みください。

 この間、上昇率の第1位はDelta-Fly Pharmaで、+17.1%だった。第2位はシンバイオ製薬で+14.8%、第3位はカイオム・バイオサイエンスで+9.7%と続いた。一方、下落率では大きい順にプレシジョン・システム・サイエンスが-5.5%、モダリスが-2.8%、メドレックスが-2.2%となっている。

Delta-Fly Pharma(1462円、前週比+17.1%)

 がん治療薬のパイプラインを複数持つ同社が大幅に値上がりした。国内で非小細胞肺がんを対象に第2相臨床試験が実施されているDFP-14323について、中間データが良好であったことを背景に買われているようだ。

 DFP-14323は、急性非リンパ性白血病治療薬の「ベスタチン」(ウベニメクス)のドラッグリポジショニングである。2021年2月にデータが学会発表されたが、5月14日に行われた決算説明会でその最新データについて言及があった。4月末時点で無増悪生存期間(PFS)が中央値に到達しておらず、16.3カ月よりも大きな数字になる見込み。EGFR変異陽性非小細胞肺がんの主力であるチロシンキナーゼ阻害薬「タグリッソ」(オシメルチニブ)の中央値18.9カ月に近づきつつあり、同等以上の効果が得られるのでは、との期待感が高まっている。

カイオム・バイオサイエンス(238円、前週比+9.7%)

 材料によって値上がりした様子は感じられず、抗体技術に関するポテンシャル評価で買われたとみられる。同社は、DLK-1を標的とした抗体薬物複合体(ADCT-701)、同じくDLK-1を標的とした抗体医薬(CBA-1205)、3つの分子を認識できるマルチスペシフィック抗体(CBA-1535)、TROP-2をターゲットとしたADCなどのユニークな開発品をラインアップしている。

 このうち抗DLK-1抗体のCBA-1205が第1相臨床試験に入っているが、DLK-1をターゲットにした化合物は他に臨床入りしているものが無く、現時点ではこれがファースト・イン・クラスになる可能性がある。また、マルチスペシフィック抗体のCBA-1535は臨床試験の準備中で治験薬製造などを行っている段階だが、その製造・精製には高度な技術を要するとみられ、臨床試験を手掛けている企業はまだ少ない。同社で2021年末をめどにCBA-1535の臨床試験入りを想定しており、実現すればさらに評価は高まりそうだ。

ジーエヌアイグループ(2006円、前週比+3.7%)

 週全体で見れば値動きは小さく収まったが、週半ばには乱高下した。5月18日に2149円(前日比+17.8%)、19日はさらに2330円(同+8.4%)まで買われ連騰したが、20日には一転して1993円(同-14.5%)と急落した。

 18日に上昇したのは好決算による。17日に発表した第1四半期決算では、売上高が前年同期比82.2%増の38億7000万円、営業利益も同85.7%増の7億7000万円となった。中国で販売する主力のアイスーリュイ(ピルフェニドン)が好調で、売上高も営業利益も約2倍になったことがその主な要因と考えられる。

 しかしその直後に急落した。理由は、遅れて発表された決算概要の資料の内容による。肝線維症治療薬として開発中のF351(ヒドロニドン)について、「第3相臨床試験はまもなく開始予定」と記載されていたからだ。第3相試験を経ずに承認されると期待していた投資家から失望売りを浴びせられたと考えられる。

 F351は2020年8月に第2相の好結果が発表され、中国で画期的治療薬に指定されている。とはいえ正式承認に向けて第3相試験の結果は必要であり、そのための第3相試験実施は、2021年3月にF351が画期的治療薬に指定されたときにも言及されていた。このため早期承認に関するステータスの変化とは考えにくく、いわば既定路線の情報といえるだろう。ステータスに変化が生じれば同社はすぐに開示するとしており、その報告を待つしかなさそうだ。

順位社名株価(終値)騰落率
5月14日5月21日
1Delta-Fly Pharma1248146217.1%
2シンバイオ製薬1382158714.8%
3カイオム・バイオサイエンス2172389.7%
4ジーンテクノサイエンス4104458.5%
5オンコリスバイオファーマ127813687.0%
6スリー・ディー・マトリックス2562747.0%
7リボミック3103316.8%
8そーせいグループ150515996.2%
9ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ7938416.1%
10ソレイジア・ファーマ1331416.0%
11サンバイオ147915665.9%
12ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング6346715.8%
13ファンペップ4144375.6%
14ナノキャリア2883035.2%
15窪田製薬ホールディングス2512645.2%
16オンコセラピー・サイエンス1101154.5%
17アンジェス96110014.2%
18ステムリム7417703.9%
19フェニックスバイオ5886113.9%
20ジーエヌアイグループ193520063.7%
21総医研ホールディングス4925073.0%
22ブライトパス・バイオ1791842.8%
23ステラファーマ4915042.6%
24ペプチドリーム482049202.1%
25メディシノバ4434522.0%
26キャンバス3994072.0%
27メディネット54551.9%
28ファーマフーズ326033201.8%
29免疫生物研究所5115201.8%
30リプロセル4104171.7%
31ヘリオス159316201.7%
32ラクオリア創薬102210331.1%
33テラ2172190.9%
34カルナバイオサイエンス123412450.9%
35セルシード2322340.9%
36ユーグレナ8778840.8%
37タカラバイオ293629500.5%
38DNAチップ研究所7077100.4%
39トランスジェニック5875890.3%
40セルソース11340113600.2%
41デ・ウエスタン・セラピテクス研究所285282-1.1%
42クリングルファーマ871857-1.6%
43メドレックス226221-2.2%
44モダリス14681427-2.8%
45プレシジョン・システム・サイエンス959906-5.5%