日本の株式市場に上場するバイオスタートアップの株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2022年4月15日金曜日の終値が、前週の週末(4月8日)の終値に比べて上昇したのは14銘柄、不変だったのは1銘柄、下落したのは35銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はメディネットで+13.7%だった。第2位はユーグレナで+8.2%、第3位はメディシノバで+3.7%と続いた。一方、下落率では大きい順にペルセウスプロテオミクスが-7.0%、Green Earth Instituteが-6.5%、フェニックスバイオが-6.4%となっている。

 今週は、対象50社の中から主要な発表と値動きをダイジェストで紹介する。

カルナバイオサイエンス(1067円、前週比+3.7%)

 4月15日に、同社が2019年6月に米Gilead Sciences社に対して、契約一時金2000万ドル(約21億円)、総額4億5000万ドル(約472億円)で導出した脂質キナーゼ阻害薬および創薬プログラムから創出されたジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)α阻害薬が、Gilead社の投資家向けイベントで新薬候補化合物GS-9911として紹介されたことが発表された。がん免疫療法の低分子化を実現するファースト・イン・クラスのポテンシャルを持つ化合物として紹介されている。DGはT細胞を活性化するシグナル分子で、GS-9911がDGKαを阻害することでDGの作用が維持される。抗PD-1抗体や抗TIGIT抗体など様々な薬剤との組み合わせが期待されるとしている。この発表を受けて15日のカルナバイオサイエンスの株価は一時1135円(前日比+9.9%)を付けたが、その後落ち着いた。

ラクオリア創薬(823円、前週比-3.2%)

 4月13日に、同社が韓国企業に導出していた胃食道逆流症治療薬テゴプラザンについて、中国で承認されたことが発表された。中国は消化性潰瘍治療薬の市場規模が3100億円とされ、中国での承認は同社の業績を押し上げる重要なマイルストーンとなっていた。同社は2022年中の承認が見込まれると発表していたが、予定通りの承認となった。これを受け、株価は14日に一時前日比+9%超となる900円近くまで上昇したが、その後落ち着き、前日並みの水準に戻った。

メディシノバ(389円、前週比+3.7%)

 4月13日に、同社が開発中のMN-166(イブジラスト)について、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)発症リスクを有する重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者を対象とした第2相臨床試験で、患者登録が完了したと発表された。値動きは13日に383円(前日比+3.0%)と、反応はさほど大きくなかった。最終患者の診察は完了したとのことで、近いうちに結果が公表されると期待できる。

サンバイオ(1161円、前週比-0.8%)

 4月13日に投資家・アナリスト向け説明会が開催され、細胞医薬SB623の外傷性脳損傷に対する第2相STEMTRA試験の結果が説明された。新たな情報としては、3つの用量(250万個、500万個、1000万個)に沿ったサブ解析によって、500万個の細胞を投与された群で最も運動機能スケール(FMMS)の改善効果が見られ、24週でプラセボに対してp=0.002、48週でp=0.02の統計学的有意差をもって有効性が確認されたと説明された。このため今後の臨床試験は500万個が選択されるとしている。発表前後で株価の変動は微小だった。なお本誌は説明会に招待されていない。

ブライトパス・バイオ(101円、前週比-2.9%)

 4月11日から13日にかけて、米がん学会(AACR)で複数の発表を行ったことが紹介された。BP2301(HER2標的キメラ抗原受容体T細胞[CAR-T]療法)、BP1209(個別化ネオアンチゲンワクチン)、BP1200(抗CD73抗体)に関する発表だ。同社はがんペプチドワクチンの治験失敗からパイプライン拡充を進め、特に抗体医薬のラインアップを広げている。今回発表された抗CD73抗体はがん免疫療法の新たな選択肢として開発されている。抗体はペプチドワクチンや細胞療法よりも製薬企業にアピール効果が高いと考えられ、他のTIM-3抗体なども含めて進展が期待される。なお株価への影響は見られなかった。

ソレイジア・ファーマ(90円、前週比±0.0%)

 4月11日に、東京工業大学発スタートアップのHikariQ Healthに出資する、資本業務提携契約を発表した。主に抗体薬物複合体(ADC)の探索や研究開発などで協力することで合意したとしている。HikariQは抗原と結合すると蛍光を消失する抗体、Q-bodyの技術を保有しており、抗原濃度を簡便に検査するための診断薬、検査薬としての開発を進めている。それ以外に、ペイロードが重鎖(VH)と軽鎖(VL)の内部に隠れて遊離しにくい、安定したADCの開発にも注力している。直ちにパイプライン拡充や業績拡大につながる性質のものではないためか、株価への影響は見られなかった。

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順位社名株価(終値)騰落率
4月8日4月15日
1メディネット515813.7%
2ユーグレナ8449138.2%
3メディシノバ3753893.7%
4ヘリオス8218493.4%
5アンジェス3773882.9%
6キッズウェル・バイオ4644772.8%
7ファーマフーズ184218912.7%
8カルナバイオサイエンス104410672.2%
9ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ5875951.4%
10スリー・ディー・マトリックス3673711.1%
11Delta-Fly Pharma120712170.8%
12リプロセル2252260.4%
13ナノキャリア2702710.4%
14シンバイオ製薬7177180.1%
15ソレイジア・ファーマ90900.0%
16サスメド11921187-0.4%
17サンバイオ11701161-0.8%
18トランスジェニック418414-1.0%
19カイオム・バイオサイエンス188186-1.1%
20キャンバス185183-1.1%
21オンコリスバイオファーマ659651-1.2%
22ステムリム755745-1.3%
23オンコセラピー・サイエンス7170-1.4%
24総医研ホールディングス328323-1.5%
25免疫生物研究所327322-1.5%
26ステムセル研究所41754105-1.7%
27デ・ウエスタン・セラピテクス研究所215211-1.9%
28メドレックス127124-2.4%
29DNAチップ研究所464453-2.4%
30リボミック208203-2.4%
31窪田製薬ホールディングス158154-2.5%
32ファンペップ225219-2.7%
33ブライトパス・バイオ104101-2.9%
34クリングルファーマ719698-2.9%
35ジーエヌアイグループ13461305-3.0%
36ステラファーマ588570-3.1%
37ラクオリア創薬850823-3.2%
38テラ8986-3.4%
39セルソース32553145-3.4%
40プレシジョン・システム・サイエンス463445-3.9%
41セルシード147141-4.1%
42タカラバイオ23252229-4.1%
43ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング554531-4.2%
44そーせいグループ14241360-4.5%
45ペプチドリーム22802165-5.0%
46レナサイエンス436413-5.3%
47モダリス387365-5.7%
48フェニックスバイオ549514-6.4%
49Green Earth Institute1021955-6.5%
50ペルセウスプロテオミクス401373-7.0%