日本の株式市場に上場するバイオスタートアップの株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2022年4月1日金曜日の終値が、前週の週末(3月25日)の終値に比べて上昇したのは31銘柄、不変だったのは3銘柄、下落したのは16銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はGreen Earth Instituteで+24.8%だった。第2位はステムセル研究所で+16.5%、第3位はセルソースで+10.7%と続いた。一方、下落率では大きい順にリボミックが-18.7%、ファーマフーズが-8.0%、サンバイオが-7.9%となっている。

Green Earth Institute(1042円、前週比+24.8%)

 3月31日にストップ高となる1060円(前日比+16.5%)を付けた。30日に、三井化学と「バイオポリプロピレン」の商用生産に向けた研究開発を開始すると発表したことが材料視されたと考えられる。これまでGreen Earth Institute(GEI)は提携企業をほとんど明らかにしていなかったため、大手総合化学メーカーとの提携はGEIへの評価を高める格好の材料となる。

 三井化学とはバイオイソプロパノールの製造で提携する。バイオプロセスによるイソプロパノールの製造法は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発プロジェクトにも採択されており、植物由来の糖を原料として発酵法で製造する。通常は工業用の洗浄剤などに用いられる物質だが、三井化学はこれを原料に汎用プラスチックであるポリプロピレンを製造する計画だ。

 ポリプロピレンは日本で生産されるプラスチックの2割強を占めるほどの主要なプラスチック素材だが、バイオマス原料化の難易度が高いため、これまでバイオプラスチックとしては工業的・商業的に実用化されていない。三井化学はイソプロパノールを脱水してプロピレンにする世界初の技術を開発しており、バイオイソプロパノールによるポリプロピレンの製造の実現に、大きな期待がかかる。

 今回の発表より少し前から、GEIの株価は上昇基調にあった。ロシアのウクライナ侵攻により脱石油の機運が高まっていることも背景にあるとみられ、株式の出来高も2021年末に上場した直後の勢いを、再び取り戻している。GEIの研究開発や設備投資は政府による支援プロジェクトにも採択されていることから、政府の脱石油政策との関連で今後も注目を集めそうだ。

ステムセル研究所(4020円、前週比+16.5%)

 2月下旬の2300円台を底に、この1カ月間、株価が上昇を続けた。2月下旬まではマザーズ市場全体のパフォーマンスが悪く、それに同社の株価も引きずられていたが、事業に対する再評価が進んで買われているようだ。

 まず、足元の業績が好調だ。直近の決算(2021年4月~12月)では、売上高が前年同期比+23.7%の13億1600万円、営業利益が+85.5%の1億6800万円で、期初の業績予想を上回るペースで進捗している。主な要因は2つあり、現事業のさい帯血保管サービスだけでなく、新たに「さい帯」の保管サービスを2021年4月から開始したこと、およびSEO対策やデジタル広告を強化したことで、顧客である妊婦へのダイレクトなPR戦略が奏功していることが挙げられる。

 さい帯の保管は、さい帯血の保管を依頼する顧客の約2割がセットで申し込んでおり、その場合売り上げが1人当たり1.6倍に増える。さい帯には間葉系幹細胞が含まれ、造血幹細胞がメーンのさい帯血とは異なる用途に活用できるとの期待から受注が増えている。今後の伸びしろもありそうだ。また、デジタル広告は、従来の産科医療施設への人的リソースを介した営業活動よりも効率的な顧客獲得ができており、同社のウェブサイトへのアクセス数が月3万程度だったのが、現在は1日6万程度にまで増えているという。好調な業績を反映して、同社の現金は2022年3月末時点で40億円前後にまで積み上がる見込みだ。

 さらに今春、米国でさい帯血投与に対応する民間のクリニックが開設される予定だ。これにより、米国でのさい帯血投与がさらに進むだけでなく、国内で臨床研究の選定基準に満たない日本人も、米国に渡航して治療を受けられる見込み。さい帯血を使う手段が広がるため、同社のさい帯血保管サービスの意義が現状よりも大きく高まることになる。

 また、研究開発も進んでいる。まずは脳性麻痺に対する高知大学での臨床研究は、第1相相当の試験が終了し、近く論文掲載が見込まれる。さらに、製品化を目指したプログラムとして、さい帯由来間葉系幹細胞を用いた半月板損傷プログラムは、2024年の第1相臨床試験を予定し、2022年度から安全性試験などが進む予定だ。同じくさい帯由来間葉系幹細胞の口唇口蓋裂プログラムは、2024年の非臨床試験スタートに向けて開発を進める。同社には潤沢な資金もあり、こうした再生医療等製品の実用化に対する期待感から、投資家から支持を受けているものとみられる。

モダリス(375円、前週比+3.3%)

 3月30日に415円(前日比+18.2%)を付けた。同社は大株主のロックアップ違反による株式売却やアステラス製薬からのパイプライン契約解除など、ネガティブなニュースが続いていた。そのため株価が継続的に低下していたが、2月から3月にかけて株価がボックス圏で上下し、下げ止まった感が強まっていたところ、29日に株主総会を無事に終えたタイミングで買い戻されている。

 同社の遺伝子治療パイプラインは、協業3本、自社開発4本が公表されており、2022年度は主にMDL-101(筋ジストロフィー)、MDL-104(タウオパチー)、MDL-205(中枢神経疾患、エーザイと共同研究)、MDL-206(エンジェルマン症候群)のパートナリング収入を目指している。このうち最も進展が期待されるのがMDL-101だ。

 計画では、2023年中にMDL-101の治験を申請し、速やかに試験に入るとしている。2024年後半には中間解析などで有効性に関するデータが得られてPOCを取得したい考え。モダリスは2020年12月に、MDL-101のパートナリング収入が得られなかったことから売上高を7億円ほど下方修正しており、治験申請前にパートナリング契約締結ならそれと同程度の一時金収入、POC取得後ならさらに上乗せが期待できそうだ。またアステラス製薬のプログラムも2024年までに臨床入りすることが期待され、マイルストーンがモダリスに入ると、収入面では比較的大きな成長となる。

 同社に対しては、上場時に期待された黒字化路線が維持できなかったことに対する投資家の落胆がこれまで大きかった。モダリスの事業の性格上、継続的な黒字を維持するのは困難だが、遺伝子治療の開発プログラムを進展させ報告していくことで、創薬に通じた投資家を呼び込められれば、株価を再び上昇基調に戻せるのではないだろうか。

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順位社名株価(終値)騰落率
3月25日4月1日
1Green Earth Institute835104224.8%
2ステムセル研究所3450402016.5%
3セルソース2644292710.7%
4セルシード14115610.6%
5ステムリム7408079.1%
6アンジェス3303557.6%
7ソレイジア・ファーマ82876.1%
8メドレックス1181255.9%
9窪田製薬ホールディングス1531625.9%
10プレシジョン・システム・サイエンス4164405.8%
11キッズウェル・バイオ4374625.7%
12スリー・ディー・マトリックス3103265.2%
13フェニックスバイオ5055294.8%
14免疫生物研究所3193344.7%
15DNAチップ研究所4334534.6%
16ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング5045223.6%
17ラクオリア創薬7828083.3%
18モダリス3633753.3%
19ブライトパス・バイオ971003.1%
20オンコセラピー・サイエンス68702.9%
21キャンバス1871922.7%
22サスメド121012412.6%
23ペルセウスプロテオミクス4054152.5%
24ナノキャリア2602651.9%
25シンバイオ製薬7597681.2%
26クリングルファーマ8008081.0%
27ペプチドリーム213021500.9%
28オンコリスバイオファーマ6456500.8%
29ユーグレナ8228280.7%
30デ・ウエスタン・セラピテクス研究所2132140.5%
31ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ5825840.3%
32メディネット51510.0%
33テラ90900.0%
34リプロセル2272270.0%
35カルナバイオサイエンス10401036-0.4%
36ステラファーマ601598-0.5%
37総医研ホールディングス331329-0.6%
38レナサイエンス448445-0.7%
39トランスジェニック425421-0.9%
40ジーエヌアイグループ14071385-1.6%
41カイオム・バイオサイエンス191188-1.6%
42メディシノバ327317-3.1%
43タカラバイオ23322259-3.1%
44Delta-Fly Pharma12951250-3.5%
45ファンペップ239227-5.0%
46そーせいグループ14891403-5.8%
47ヘリオス12141119-7.8%
48サンバイオ12861184-7.9%
49ファーマフーズ21041936-8.0%
50リボミック252205-18.7%